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318.井出綾乃

ブライズさん達とタレ作りをしていると、ゴーレがやってきた。


「マスター。ミジュマナが探しておりました。あの方が喋ったそうです」

「え?まじ?」

俺はタレ作りを任せて、孤児院へ向かった。


ここ数日、起きている時間が増えていたとは報告を受けていた。

食事もちゃんと食べていたみたいで少し安心していた。

だが言葉を全く話さなかった。


孤児院に到着すると、井出綾乃がミジュマナに支えられて立っていた。


「えーっとアヤノさん?」

「はい。ミジュマナさんから聞きました。助けていただきありがとうございます」

井出綾乃は頭を下げた。


「えーっとこんな子供で不安だと思いますが、話をしたいんですけど大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です」

井出綾乃は少し震えていた。


「じゃあミジュマナ、俺の家に連れて行ってあげれる?」

「はい。お任せください」

ミジュマナは井出綾乃をうちに連れて行った。


「えーっとゴーレ!アースとヴァイオレットをすぐに呼んで!」

「はい。既にアカとドリーを向かわせてます」

「本当にさすがすぎる」

俺はミジュマナ達を追って、一緒に家に向かった。


▽ ▽ ▽


アースとヴァイオレットが到着した。


「とりあえず席に座って」

「はい」

「了解っす」

2人は席に着いた。


井出綾乃はアースの姿を見ると立ち上がり頭を下げた。

「助けていただきありがとうございます」

「覚えてたんですね」

「はい。うっすらですが大きなヘビに乗って移動していたのも覚えています」

「そうですか。回復して安心しましたよ」

「ありがとうございます」

井出綾乃は深く頭を下げた。


「えーっと話をしていい?」

「はい」

井出綾乃は怯えている。


「まずアヤノさんは異世界から来たであってますか?」

「え!」

井出綾乃は驚いていた。


「アースが言うにはゼネバース皇国に勇者召喚されて、この世界に来たのではないのかと」

「あ、あってます」

井出綾乃は震えている。

これから自分がひどい目に合うのかと思っているのだろう。


「えーまず安心してほしいので言いますが、この部屋にいるあなた含めた4人は日本出身です」

「え!え!ごほっごほ」

驚きすぎてむせていた。


「それに私もゼネバース皇国に召喚されたんだー。即逃げしたけど」

「そうなんですか。えーっと」

「ヴァイオレット!こっちではそういう名前」

「ヴァイオレットさん」

ヴァイオレットのこういうキャラは本当に助かる。


「私も転移者ですね。日本出身の可能性があったので助けました」

「本当にありがとうございます」

井出綾乃は再び頭を下げた。


「それで俺は転生者。こっちの世界に生まれ変わってて、いまはライル商会っていう商会の商会長」

「はー。子供が凄い大人びて話しているので貴族かと思ってました」

「全然違うよ」

井出綾乃は少しずつ力が抜けているように見えた。


「アヤノって呼んでも?」

「はい」

「アヤノはどこまでを覚えてる?辛かったら話さなくていいんだけど」

「だ、大丈夫です」


アヤノはこっちに来てからの話をしてくれた。


ゼネバース皇国に勇者召喚されたのは5人。

その中でエクストラスキルが戦闘向けじゃないと、アヤノを含めた3人が雑な扱いを受けた。

まともな食事をもらえずに訓練する日が続いた。

ある日勇者の義務だと言われ、モンスター討伐に行くことに。

そこで大型のモンスターと遭遇し、付き添いの兵士と同じ転移者2人が目の前で殺された。


アヤノは涙を流しながら話してくれた。


「ここはゼネバース皇国から離れているから安心して」

「それにライル商会の戦力はゼネバース皇国と戦えるレベルです」

「え?そうなの」

「何も考えなければ国を落せる戦力ですよ」

「え!」

俺自身も予想外だった。


「とりあえずアヤノはうちで保護するから、元気が出たらなんか手伝ってよ」

「は、はい。頑張ってみます!」

「アヤノっちは日本で何してたの?」

「えーっと親のケーキ屋を手伝ってて、製菓の専門学校に通ってました。それが原因なのかエクストラスキルもこういうので」

アヤノがそういうと、机の上に小さな茶色い兵士が現れた。


「え?え?これって」

「『チョコナイト』っていうエクストラスキルです。チョコの兵士や盾を出したりするだけです。大型モンスターに襲われたときはチョコの球体の中に入ってました」

「アヤノ!最高だよ!」

「え?」

アヤノは困惑していた。


「ケーキ屋さんをやろう!てか和菓子は作れる?」

「材料があれば大半の甘い物が作れます。ですがこの世界の牛乳や卵は質が悪くて」

「ライル商会を舐めないでいただきたい。ヴァイオレット、アヤノにこの商会を案内してあげなさい」

「了解っす。てかアヤノっちいくつ?」

「19です」

「なんだタメじゃーん。敬語じゃなくていいからねー」

ヴァイオレットはそう言いながらアヤノを連れて行った。


「ライルさん」

「ん?」

「私がこの世界に来た時の話をしましたよね」

「なんとなく。行き来してたんだよね?」

「はい。そこに行けばもしかしたら帰れる可能性があるんです」

「うーん。希望を持たせるのも微妙かも」

「ですよね。言わなくてよかった」


アースも色々考えているようだ。


▽ ▽ ▽


「す、すごかったです。これがライルさんのエクストラスキル」

帰ってきたアヤノは目を輝かせていた。


「ねー凄いでしょ?私達の仕事着もライル商会で作ってもらったんだ」

ヴァイオレットは自分の仕事の話もしたようだ。


「それでケーキ屋を作ろうと思うんだけど、どう?」

「いいんですか?」

「いきなり異世界に来て、慣れないことをずーっとしてきたんだ。少しは好きなことをゆっくりしてもいいんじゃない?」

「ありがとうございます!!」

「和菓子屋もやってもらおうとしたんだけど、小豆がないからとりあえずケーキ屋で!」

「はい!」


俺はすぐにケーキ屋を作りに行った。

『小屋作成』でケーキ屋を選び、残り3ポイント。


「秘密基地!」


バッフン!バッフン!バッフン!


肉屋と魚屋もせっかくだから作って、色々調整をした。



牛鶏▢家家厩庭ダ扉▢ワワ工工食食▢宿宿宿▢ K

牛鶏▢家家庭庭庭庭▢未未工工食食▢宿宿宿▢ J

芝芝▢家倉庭庭庭庭▢未未風工食食▢宿宿宿▢ I 

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢門▢▢▢▢▢ H 

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工工▢肉▢温温温▢ G 

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢▢魚▢温温温▢ F

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢店店▢温温温▢ E

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢店店▢商商商▢ D

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢服服▢商商商▢ C

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢領領▢商商商▢ B

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢工工工▢領領▢▢▢▢広 A+

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従扉▢領領▢▢▢▢広 Aー

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従従▢領領▢冒冒冒▢ B

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従従▢木木▢冒冒冒▢ Ⅽ

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従従▢店店▢冒冒冒▢ D

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従従▢窯窯▢冒ダ▢▢ E

畑畑畑畑畑畑畑畑畑▢従従従▢焼焼▢鍛鍛パ▢ F

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢焼焼▢鍛鍛パ▢ G

未未未未未未▢庭庭▢庭庭庭▢▢門▢▢▢▢▢ H

未未未未未未▢庭庭▢庭庭庭▢庭孤▢未未ケ▢ I

未未未未未未▢疾疾▢庭学学▢公孤▢未未未▢ J

未未未未未未▢疾疾▢庭学学▢教教▢未未未▢ K

10987654321012345678910

- +


ケーキ屋はやや上振れた。

冷気を出すショーケースとマジックオーブンが2台とマジックミキサーが2台。

そしてマジック容器製造機があった。

マジック容器製造機はケーキを入れる厚紙でできた箱が大中小で作れるみたいだ。


まあやや上振れ。

早く『ガチャ』が復活してほしい。



「どう?」

俺はアヤノに問いかけた。

「は、はい。まさか自分のお店を持てるなんて」

「期待してるから色々作ってみて!あ!」

「な、なんですか」

俺がいきなり叫んだせいでアヤノは驚いていた。


「バニラを育てて収穫もしてるんだけど、俺が知ってるバニラビーンズにする方法がわかんないんだよ。アヤノ知ってたりする?」

「確かキュアリング?ってのをしてるはずです。乾燥させて発酵させるはずです」

「発酵かー。バニラを使うのは少し後になりそう」

「わかりました」

アヤノは頷いた。


「アヤノッちが作るお菓子早く食べたいなー」

ヴァイオレットはずっとアヤノと腕を組んでいた。


「ヴァイオレット、うちの父さんと母さんとブライズさんとガートンさんにアヤノを紹介してきて。あっ!俺達が転移者だったり転生者なのは内緒にしてるから」

「わかりました!」

「じゃあいってくるっす!」

ヴァイオレットはそう言ってアヤノを連れて行った。



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