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316.ギルドマスターの悪手

カラッカ邸を出て、カラッカの家に戻っていた。


「本当にギョウザが好きなんだね」

「はい。本当によく作ってました」

あれだけお土産あげたのに、ラドニークさんはギョウザが一番うれしかったみたいだ。


「よし。俺は冒険者ギルドに行きますけど」

「どうしましょう。付いて行きましょうかね」

家に着くとゴーレとヴァイオレット達とエルデオ達が居た。


「よし。冒険者登録に行こう」

俺がそういうとヴァイオレットが口を開いた。


「なんでデスヘルでしないんすか?」

「カラッカの腑抜けた冒険者を懲らしめるのと、ヴァイオレット達のお披露目かな?」

「お披露目っすか?」

「まあついてきてよ」


俺達は冒険者ギルドへ向かった。


▽ ▽ ▽


冒険者ギルドに着くとギルドマスターがいた。

昨日マリーナさんに伝えておいたので、模擬戦の相手の準備などで連絡が来ていたのだろう。


「ライル。目が覚めてよかったよ」

「ご心配かけました」

「それで、カラッカの店の話なんだが」

「なんです?」

「また開店してくれないか?」

「無理ですねー。腑抜けた冒険者に売る物はないです」

俺がそういうとギルドマスターは落ち込んだ。


「それにそんな話をしに来てないんですよ。冒険者登録に来たんです」

「ああそうだったな」

「今回はこのエルデオ達です。獣人なので強いですよ」


ギルドマスターはヴァイオレット達を見て口を開いた。

「この娘さん達は?」

「ああ。気にしないでいいですよ。早く模擬戦をしましょう」



広場に行くと冒険者が4人いた。

「Dランク冒険者の【千の闘拳】だ」

千の拳は名前負けじゃないか?


ギルドマスターは思いついたように口を開いた。

「ライル。こんなことは良くないんだが、もし【千の闘拳】が模擬戦に勝ったら、カラッカに店を作ってくれないか?」

「は?」

「ダメか?」

「うーん。良いですよ。その話を公開するなら」

「え?」

「呼べるだけ冒険者を呼んでください。観客として。それでこの模擬戦で勝てばまた店が開かれるって公言してください」

「それは・・・」

「なんです?こっちは冒険者になりに来た4人。そっちはDランク。賭けもこっちの利益がない」

「わ、わかった。言う通りにしよう」

ギルドマスターは選択をミスった。



俺はエルデオ達を集めて指示を出した。

「本気でいいよ。ボコボコに」

「「「「はい」」」」

「4人ならDランクには負けないから。徹底的にね」

「「「「はい」」」」


俺はヴァイオレット達を呼んだ。

「エルデオ達を過剰に応援して」

「どういうことっすか?」

「カラッカの冒険者達がエルデオ達を羨ましく思うようにさせたい」

「なるほどっすね。得意分野なんで任せてください」

戦場の毒花は俺の意図を理解してくれたようだ。


「先輩!服着替えてきていいっすか?」

「え?まだ時間あるからいいけど」

「魅力マックスで応援します」

「ああ。わかった」

少し不安になったが任せることにした。


▽ ▽ ▽


冒険者達が集まってきた。

「鬼将軍だ。久々に見た」

「襲撃の日に俺は見たぞ」

「あの襲撃を止めたって噂は本当か?」

「強いって言ってもさすがに子供だぞ?」

噂話は聞こえないように言ってほしい。


「ライル。こんなもんでどうだ?」

「いいですね」

「それじゃあ始めるか?」

「ちょっと待ってください。まだ来てない人が」

「「「「うお!!!!」」」」

冒険者達から歓声が上がった。


冒険者の目線の先にはヴァイオレット達が居た。

服が少しセクシーになっているが、まあ許容範囲。

「きれい!」

セフィーナさんも目を奪われていた。


「いいですよ。始めて」

「お、おう!」


ギルドマスターは中心に立った。

「この模擬戦は冒険者登録のためだが、ライルと個人的な賭けをしている」

「「「「おー!!」」」」

観客は盛り上がっている。


「千の闘拳が勝利したら、再びライル商会が店を出してくれる!」

「「「「おー!」」」」

観客は益々盛り上がる。


だがその空気を変える声が響いた。

「エルデオーかっこいいよ!!」

「ロブ!がんばってー」

「フゾートこっち向いて!!」

「ジャボかわいい!」

広場の歓声は荒々しいものから黄色いものに変わった。


「なんだ。あのかわいい子達は挑戦者を応援してるのか」

「おい!ずるくないか?」

「俺も女の子に応援されたい」

「あーてかこの模擬戦重すぎ」

千の闘拳はテンションが落ちていた。


「では試合開始!」

ギルドマスターの合図とともに8人は動き出した。


▽ ▽ ▽


模擬戦は圧勝で終わった。


初手、エルデオとフゾートの攻撃で2人吹き飛ばされて気絶。

ロブとジャボにすぐに加勢して、人数差で大勝利。

なんの糧にもならない試合だった。


「お疲れ4人共」

「あ、ありがとあああああ」

エルデオ達はヴァイオレット達に絡まれていた。

抱きしめられたり頬にキスをされたり、4人はものすごく戸惑っていた。

「ラ、ライル様―」

「うん。いまは楽しんで」


その様子を見ている冒険者達の歯ぎしりが聞こえてくるように感じた。


俺は広場の中心に行く。

「えーギルドマスターとの賭けに勝ってしまったので、今後カラッカの街に店を出すことができなくなりました!」

「え?」

ギルドマスターは口を開けて固まっている。


「だって賭けの結果を反故にすることしちゃダメでしょ?冒険者が勝ったら店を出す、何もないのに勝手に店を出したら賭けを反故したことになるでしょ?」

「い、いや。それはちがう」

俺は無視した。


「みなさんに贔屓にしていただいていた鬼将軍の調理場は、危険地域に新しく出来たデスヘルの街に移転しました。なんと挑戦者を応援していた女性達もデスヘルの娼館で働いています。みなさん機会があったら是非デスヘルの街にお越しください!」

俺はしっかり宣伝を入れて、みんなの元へ戻った。


「ライル様・・・」

セフィーナさんがあきれ顔で俺を見ていた。


「いや、あれはギルドマスターが悪いでしょ」

「私もなんでライル様相手にあんな悪手をと思いましたが」

「デスヘルの宣伝もできたし帰ろう!」

「はあ。お父様。すみません」


すぐに冒険者登録の手続きをし、みんなを連れて冒険者ギルドを出た。

その間、戦場の毒花はずっとエルデオ達にくっついていた。

エルデオ達は助けを求めるような目線を向けてくるが、無視をした。



家に着いた。


「そろそろエルデオ達が限界だ」

そういうと戦場の毒花は離れて行った。


「「「「ライル様―」」」」

エルデオ達は模擬戦よりも疲れたみたいだ。

「えーっと、パーティ名は本当にあれでよかったの?」

「「「「はい!」」」」

「ならいいけど」

エルデオ達は【鬼将軍の重鎧】という名前になった。


ヴァイオレット達も盛り上がっていた。

「ライル先輩!まじでエルデオ達強かったっすね!」

「そうだね。デスヘルではうまく協力してくれ」

「はい!てかどうでした?過剰に応援しましたけど」

「幻聴だけど、冒険者達の歯ぎしりが聞こえてきたよ」

「私も聞こえたんで幻聴じゃないっす」

ほぼ全員が羨ましがってたみたいだ。


セフィーナさんは戦場の毒花をジーっと見ていた。

「どうしました?」

「いや皆さんがお綺麗で」

「セフィーナ様にそう言われるとまじで嬉しいっす」

ヴァイオレット達は少し照れていた。


「先輩。なんか色々話聞いて思ったんすけど」

「ん?」

「金持った冒険者がうちの店に来るのってあんまりですよね?」

「あー危険地域で依頼をしないで、店目的にデスヘルに来るってことか」

「そうっす。なんで、うちの店で使える金を作ってくれません?」

「ん?」

「冒険者ギルドにも顔利くじゃないですか、素材を売りに来たらその特別なお金が換金できるみたいな」

「あーそれ面白そう」

「いいですね」

セフィーナさんも賛成の様だ。


「そうなると、素材の買い取りをするギルド職員は男にしてもらうか」

「あーそうっすね」

「娼館に行きます!!!!って感じがして恥ずかしい思いするかも」

「あっ!そういうことですか」

セフィーナさんは理解してなかったみたいだ。


俺達は少し娼館のシステムについて相談し、ヤルクへ戻った。




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