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312.ナハナ迷宮国

もう9日は海を渡っているか?

正直、日にちの感覚がなくなるレベルで景色が変わらない。


「ライルさん!見えてきましたよ」

「え?」

アースが指差す方向に島のようなものが見えた。


「あれがナハナ迷宮国?」

「そうです。あれは本島ではないですが」

本島ではないと言われた島は城壁に囲まれていた。

想像以上に物騒だ。


進んでいくとちらほら船が見えてくる。


「いろんな国から定期船が出てるんです」

「へー。他国と関係がいいのか」

「んー関係がいいというか、迷宮国のダンジョンで出るドロップアイテムが目的の国が多いですね。ナハナは国ですが国っぽくないというか」

「どういうこと?」

「大量のダンジョンの管理ができるのが冒険者ギルドしかないですし、ドロップアイテムを占領もしないし、すべての冒険者に平等ということはすべての国に平等なので、他国も文句を言わない」

「あー力こそすべてって感じ?」

「在り方はライル商会と似てるかもです」

「それはそうかも。規模が全然違うけど」

アースは元の世界の知識もあるからとても話しやすい。


「あそこが本島です」

目の前に大量の船が泊まっている船着き場があった。


「ちょっとずらして上陸しますね」

「うん」

シキは船着き場から少し外れたところに上陸した。


「ここから島の中心までは馬車移動です。乗合馬車があるので乗りましょう」

シキは小さくなり、アースの服の中に入っていった。


▽ ▽ ▽


ナハナの中心地についた。

ダンジョンが大量にあるような街には思えなかった。

とても栄えていた。

カラッカの街とは比べ物にならないレベル。

異世界を発展させた最終形態のような街並みだ。


ここに来るまでの乗合馬車も凄かった。

5台ほどが連なっていて、フリードよりもムキムキなウマのモンスターが引っ張っていた。


「ライルさん。あれが冒険者ギルドです」

「でっか」

ヤルクのどんな建物よりもでかい。

城規模の大きさなのに気品さはなく、強さや荒さを感じられる建物だった。


「冒険者ギルドで土地を購入します」

「わかった。行こう」

俺はアースに付いて行く。


「あーちょうどあそこが九神教の本部ですよ」

「え?」

まさに教会という巨大な建物があった。

冒険者ギルドとは逆で気品さを感じられる建物だった。


「豪華な建物だけど、いやな感じはしないな」

「あー。教会本部がお金を無駄遣いしてるかもって思ってましたか?」

「うん」

「九神教はだいぶまともです。上層部が私腹を肥やしている宗教も当然ありますけどね」

「少し安心したわ」

教会の気品さや豪華さは必要最低限で、無駄使いをしているイメージはなかった。



冒険者ギルドに到着した。

本当に多くの冒険者が居た。

他種族もちらほらいるが、9割は人族だ。


「えーっと、土地の購入はこっちだったはず。その前に冒険者ギルドカードにこれを統合してください」

アースはカードを1枚取り出した。


「え?なに?」

「統合すればいいので」

俺は言われた通りにカードを統合させた。

「それではついてきてください」

俺はアースに付いて行き、受付に到着した。



「こちらは土地購入の窓口です」

「はい。この少年が土地を購入します」

アースはスムーズに受付嬢と話している。


「では冒険者ギルドカードの御提示をお願いします」

俺は受付のお姉さんにギルドカードを渡した。


「ライル様ですね。えー個人かクランで購入することができますが、どちらになさいますか?」

「クラン?」

俺が首を傾げていると、アースが口を挟んだ。

「クランでお願いします」

「承知いたしました。5パーティ以上のクランですのでこちらからお選びください。土地のみの場合はこちらからお選びください」

受付のお姉さんは紙を2枚渡してくれた。


「ライルさん。どうしますか?」

「土地だけかな」

俺はアースと土地を選んだ。


「お支払いは何でされますか?」

「ワイアット硬貨で」

「承知しました」

アースが対応してくれているので俺はお金を払うだけで済んだ。


「またお越しください」

笑顔の受付嬢に見送られ、冒険者ギルドを後にした。



「アース。クランって?」

俺は先ほどのやり取りで気になった部分を追求した。

「クランとは複数のパーティでグループを組むことです。ナハナに来る途中に島がありましたよね?あそことかはクランでしか入れないんです。それに個人やパーティの家はランクが上がれば質が上がるんですが狭いんですよ」

「へー」

「それに比べてクランで買える土地や建物はとにかく広いんです。なのでマリーナさんにお願いして、クランを作っておきました」

「準備ってそれ?」

「はい。ライル商会に所属している冒険者は[鬼兵軍]に入っています」

「ん?」

「あっ!」

「またやった?」

「いや。こういうの好きで。本当に反省してます」

ネーミングに関して注意したが、アースは本当に懲りていないらしい。


「まあ今回はいいや。アースが案内してくれなかったら、この国に来るのも何年も後になってただろうし」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「じゃあ土地まで案内してくれる?」

「はい!行きましょう」

俺はアースに付いて行った。


▽ ▽ ▽


到着した。

周りには広い庭付きの大きな家が何軒も建っていた。


「あの家とかは別のクランの家なの?」

「そうですね。ここら辺はクランの居住区エリアなので」


周りの家は大体3階建て。

俺も合わせた方がいいだろう。


「秘密基地!」


更更 B

更更 A

01


石塀で周りを囲んで、門扉(大)を取り付ける。

バッフン!バッフン!


手前は庭にして、奥を家にしよう。

バッフン!バッフン!


3階建てにして、厩舎や馬車置きの代わりに1階部分が外と繋がっているようにしよう。

バッフン!バッフン!


木造だけど、周りの建物との協調させるために調整して。

バッフン!バッフン!


「よし。こんなもんでいいだろう」

「いやーすごいですね」

アースは感心していた。


「今から中をいじるから、今日はナハナに泊まろう」

「そうですね」


俺は家に入り、細かい所をいじっていった。


▽ ▽ ▽


「はー疲れたー」

「お疲れ様です」

ゴーレがイチゴミルクをくれた。


「ありがとう。アースは?」

「アースさんは色々と情報収取に行かれました」

「そうか」

「マスターの作業が終わったら、夜市に行ってみることを勧められました」

「夜市?いいね!行こう」

俺はゴーレと共に夜市へ向かった。



ナハナの大通りに屋台が並んでいた。

「おーいいね。ヤルクでもやりたいな」

「面白そうですね」


屋台で売られている食べ物はダンジョン産の食材だろう。

あまり聞いたことのない物が多かった。


「グリフォンの串だ。食べてみよう」

肉が硬い。下処理が微妙なのか?


「次はシュガースライムの切り落とし?」

俺は恐る恐る口に運ぶ。

「甘い!甘すぎ!」


食材の珍しさはナハナのほうがレベルが高い。

しかし料理のレベルはライル商会の方が勝っているみたいだ。


「うーん。珍しそうなものを見つけたら帰ろう」

「そうですね。薬草類なんてどうでしょうか」


俺達は薬草を何種類か購入して家へ帰った。


▽ ▽ ▽


家へ帰るとアースが居た。

なぜか申し訳なさそうな表情をしていた。


「ライルさん。相談があって」

「ん?」

「知り合いの冒険者が貴族に狙われているらしく」

「ほー。それで」

「冒険者をしつつ店を経営しているんですが、経営能力が乏しい所を狙われて、貴族が店ごと買い取ろうとしているんです」

「ん?狙われてるってそういうこと?女性なの?」

「はい」

アースに女性の知り合いがいたとは。


「別に来たいなら、ヤルクで受け入れてもいいけど」

「それがですね、その冒険者の店が娼館なんです」

「あー。なるほど」

娼館となると少しややこしくなりそう。


「娼婦に対して世間は少し下に見ている傾向があります。ライル商会の人々が偏見を持っているとは言いませんが、子供が多いのでどう思うか」

「そうだね。俺がこの話をしているのも、嫌がる可能性はある。どうしても助けたいの?」

「ですね。転移者はできるだけ助けたくて」

「ん?は?え?」

突然の告白に俺は驚いた。




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