311.念願の部位
デスヘルで作業を終わらせて、ヤルクに戻るとニーナが待っていた。
「あれ?どうしたの?」
「ライルくん。ダンジョンコアです!」
「えー本当に!」
ニーナは俺にダンジョンコアを渡した。
「ありがとう。長い期間、危険地域に居たんだからしっかり休んでね」
「はーい」
そう言ってニーナは帰っていった。
俺はゴーレを連れてライルダンジョンへ向かった。
ニーナにもらったダンジョンコアを吸収させた。
ライルダンジョンがレベル8になった。
「新機能はドロップアイテム増加Lv1か。今でも十分取れてるから別にいいんだけどなー」
何か設定ができないか確認したが、特に何もできない。
俺は上振れしなかったことに凹み、ダンジョンを出た。
▽ ▽ ▽
俺はガルスタンとアリソンと焼肉屋で会議だ。
なぜかアースもいる。
「ガルスタン。このロースターで使える、こういうの作ってほしいんだ」
俺は紙を渡した。
俺の画力を最大限に汲み取ったアリソンが清書した絵が描いてある。
「うーん。山型の鉄板ですか?」
「そうだね。取り外し出来て、重くなくて、洗えるものがいいな」
「了解です。これくらいならすぐできます」
「おー。この焼肉屋のお披露目で使いたかったんだ」
「わかりました。ちょっと作ってみます」
ガルスタンは俺からの依頼を毎回楽しそうに受けてくれる。
様子を見ていたアリソンが口を開いた。
「ライル様。この焼肉屋の意図をブライズさんから聞いたのですが」
「うん。なんかあった?」
「制服はライル商会の制服でいいんですか?」
「あー。ちょっとかわいい系がいいかどうかってこと?」
「そうです!」
アリソンはなぜか目を輝かせていた。
「あー。ウェイトレスっぽいのとかかなー。でもさすがに絵は描けないぞ。どういう構造かも知らないし」
俺は横を見ると自信気なアースが居た。
「アース。お願いできる?」
「はい。記憶力と絵は少し自信があります」
「もっと違う能力が凄かったら、俺を暗殺未遂なんてしなかっただろうね」
自信気なアースに腹が立ったので、言葉で殴っておいた。
「とりあえず焼肉屋のお披露目とシスターと子供達と獣人達の歓迎会を一緒にしちゃうか。デスヘルのこともあるから、ジェイク達がデスヘルに付いたら、ヒューズさん達ものびのび飲めるだろう。2人共、10日後くらいまでにはできる?」
「大丈夫です!」
「余裕です!」
2人は笑顔で答えた。
「じゃあアース。明日にでもタラモーラに向かう?」
「え?行きますか?」
「うん。先延ばしにしてもしょうがないしね」
「わかりました。準備しておきます。今回はライルさんとどなたですか?」
「ゴーレかな」
「わかりました。ならすぐにでも制服のデザインを終わらせます」
アースはそう言って鉛筆を走らせた。
▽ ▽ ▽
焼肉屋を出るとゴーレが待っていた。
「マスター。ショーグンが探しておりました」
「え?なんで?」
「なんでも、新しいドロップアイテムが何個か出たようです」
「は?え?」
まさか『ドロップアイテム増加』は量ではなく、品数の増加だったのだろうか。
「えーっと新しくドロップした物を工場エリアに持って来させて。そこで確認するよ」
「わかりました。すぐ持って行くように伝えます」
俺とゴーレは工場エリアに向かった。
工場エリアの中に入るとショーグンがドロップアイテムを持っていた。
「主君。これが新しくドロップしたアイテムですぞ」
ショーグンの手には赤い羽根と青い羽根があった。
「見てみるね。鑑定!」
〇レインボーパラキートの火羽根
レインボーパラキートの珍しい羽根。
火の魔力が籠もっている羽根で、この羽根を付けている個体には滅多に出会えない。
〇レインボーパラキートの水羽根
レインボーパラキートの珍しい羽根。
水の魔力が籠もっている羽根で、この羽根を付けている個体には滅多に出会えない。
「なるほど。レアドロップみたいなもんか。これは鍛冶部門と裁縫部門に丸投げだな。他には何かあった?」
「あとはほとんど肉ですな。今までとは違う形で、領も少なく感じますぞ」
「肉?来たー!!」
「まだ上位種を倒していないので、オークとミノタウロスとフレイムコッコのドロップだけを持ってきました」
「全然いいよ。見せて!」
俺はショーグンから肉を受け取り鑑定をした。
〇オークのバラ肉
オークの肉。
オークの濃厚な脂を感じられ、口当たりが柔らかい。
赤味と脂身が層になっている。
〇オークのロース肉
オークの肉。
脂身に甘みや旨みを感じられる。
やわらかい中に歯ごたえを感じられる
〇オークのモモ肉
オークの肉。
赤身が中心で脂身が少ない。
あっさりとした味わい。
〇ミノタウロスのバラ肉
ミノタウロスの肉。
脂が多く、濃厚な味わい。
〇ミノタウロスの舌
ミノタウロスの肉。
旨みが強く。適度な歯ごたえがある。
〇ミノタウロスの横隔膜
ミノタウロスの肉。
脂が少なくあっさりしている。
〇ミノタウロスの大腸
ミノタウロスの内臓。
コリコリとした弾力のある食感。
甘い脂がたっぷりと付いている。
〇フレイムコッコのモモ肉
フレイムコッコの肉。
脂肪が多めの赤身肉。
コクがあり歯ごたえもとても良い。
〇フレイムコッコのムネ肉
フレイムコッコの肉。
脂が少ないあっさりな味。
〇フレイムコッコのムネ肉
フレイムコッコの肉。
脂が少ない淡白な味。
火を通しすぎるとすこしパサパサになる。
〇フレイムコッコのテール
フレイムコッコの肉。
旨みが強く、脂がのっている。
〇バウンドシープの肩ロース肉
バウンドシープの肉。
赤身と脂のバランスが良い。
やわらかくて食べやすい。
〇バウンドシープのロース肉(骨)
バウンドシープの骨付き肉。
脂が多くて旨みが多い。
骨周りの肉も食用可。
「きたきたきたきた!」
俺は完全な上振れにテンションが上がった。
「ショーグン。この肉をいっぱい頼む」
「承知いたしました」
そういうと将軍はすぐにダンジョンに戻った。
「うーん。これを試作したいけど、焼肉屋オープン前にやるかー。さすがに明日からタラモーラに向かうからなー」
俺はすぐに試作したいという欲を抑え込んだ。
「ゴーレもタラモーラに行くからよろしくね」
「わかりました」
俺とゴーレは新しいドロップアイテムをしまって、家に戻った。
▽ ▽ ▽
翌日、俺とゴーレとアースはマヌセラに来ていた。
「そろそろ出発ですがいいですか?」
「うん。いいよ」
俺とゴーレはシキに乗った。
「ライルさん。途中で面白い国があるんですが寄りませんか?」
「えー。土地買えるの?」
「はい。冒険者なら購入可能です」
「冒険者なら?珍しいシステムだな。なんて国?」
「ナハナ迷宮国。冒険者ギルドの本部があり、大量のダンジョンを管理している島国です」
「うわー!それは長居したくなるぞ」
「家だけ買えばいつでも来れるんですから。それにライルさんが行きたがってくれると思ったので、いろいろ準備をしておきました。では出発します」
シキは俺達を乗せて動き出した。
アースの発言が少し怖かったが、気にしてもしょうがない。




