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309.不退の聖女

先ほど手紙を送ったマジックアイテムの下に紙を敷いて放置してあった。


「これは何を?」

「こうしておくと、返事が下の紙に書かれるんです」

「なるほど」

無属性と火属性の魔法なのか?

少し気になった。


「返事が来ると魔石が光るので、少し待っておきましょう」

「わかりました」

俺達は話しながら、返事を待つことにした。


待っているとゴーレがやってきた。

「子供達が起きてきたので温泉施設に行かせて、今はレストランライルで食事をしています」

「ありがとう。ゴーレ」

「皆さんの分の食事も持ってきました」

そう言ってマジックバックからハンバーガーを取り出した。



「食べてください。うちの料理は美味しいですよ」

「「「ありがとうございます」」」


シスターユーア達はハンバーガーにかぶりついた。

「ん!」

「えー!!」

「美味しいです!!」

3人は黙々と食べ続けた。


「てか今更ですけど、3人はライル商会に所属することになっても大丈夫ですか?」

「はい。色々学べると感じましたので。本部の許可が出れば所属させていただきたいです」

「私もお願いしたいです」

「私も」

「わかりました。所属になった暁にはよろしくお願いします。あと所属になったらタメ口になってしまうんですが、平気ですか?」

「「「大丈夫です」」」

一応商会長だからね。

敬語が抜けない相手も居るけど、できるだけ部下にはタメ口にするようにしている。


ハンバーガーを食べ終わって数分経った。

一旦解散するかと考えていたら、マジックアイテムの魔石が光りだした。


「ライル様!返事が来ました」

シスターユーアが紙を取り、内容を確認した。


「どうでした?」

「移転の連絡も問題なく再所属できました。商会への所属も問題ないそうです」

「よし!ではこれからはライル商会の従業員なのでよろしく」

「「「よろしくおねがいします」」」


俺はシスター達を連れて、レストランライルへ向かった。


▽ ▽ ▽


子供達は嬉しそうに食事をしていた。

シスター達とナノン達はお世話でバタバタしていた。


「ゴーレ。フィンとフォンを呼んできて。食事が終わったら子供達と一緒に遊んでって伝えて」

「わかりました」

「孤児院の遊具を使っていいよって言っておいて」

「はい。伝えておきます」

そう言ってゴーレはレストランから出て行った。


俺は厨房に入り、プリンの在庫をみんなに運んだ。


▽ ▽ ▽


賑やかな声が聞こえてくる。

子供達の面倒は裁縫部門の母さん達に任せている。


「えーっと。孤児院で働いてもらう予定の2人だ。ナノンとミジュマナ。元奴隷で獣人だ」

「ライル様。私達は気にしません」

「いや、2人の前でも言ってもらいたくてね。2人が安心して仕事をしてほしいからね」

「ではしっかり私の口からしっかり言います。種族や元奴隷なんて関係ありません。個人としてしっかり仲良くさせていただきたいです」

「はい。私もです」

「お願いします!」

シスター達はナノンとミジュマナに手を伸ばした。

2人はその手を掴んだ。


「ライル様は本当に九神教のことをご存じないんですね」

「そうだね」

「九神の中には他種族の神様も居るんですよ」

「え?そうなの?」

「はい。なので人族至上主義なわけがないのです」

シスターユーアは自信満々に言った。


「いや、九神以外を崇めているとか色んな宗教があると聞いてたからさ、人族至上主義の宗教があってもおかしくないでしょ」

「実際にそのような宗教があるとは聞いたことありますから、九神教ではない宗教だったら警戒してもいいとは思います」

「まあ勉強不足で圧をかけちゃったってことか」

「いえ。私の態度や言動も悪かったので、気にしないでください」

シスターユーアは数時間前と雰囲気がだいぶ変わったように感じた。


「獣人は何の宗教を信仰しているの?」

俺はナノンとミジュマナに問いかけた。


「九神教か獣神教が多いです。信仰が深い人はあまり多くないと思います」

「獣神教?」

「九神の1人と言われている神様です」

「じゃあ問題ないのかな?」

「はい。それに私とミジュマナは九神教ですので」

「「「そうなのですか!」」」

それを聞いたシスター達が目を輝かせた。


「は、はい。私は奴隷になる前は何度か教会に通っていました」

「私は親が九神教徒でしたので、そのまま」

「じゃあ教会の仕事に興味はありますか?」

「「え!?」」

ナノンとミジュマナはシスター勢いに押されていた。


「九神教の教会で見習いとして3年働けばシスターになれるんです!お2人がご興味あればと思ったのですが」

シスターユーアは俺のことを見ていた。


「えー2人が興味あるならやってみてもいいよ」

「「いいんですか?」」

「うん。孤児院も元々は教会の仕事だからね。まあ考えてみて」

「「考えてみます」」

2人はなぜか嬉しそうにしていた。



「シスター達はどんなエクストラスキルか聞いてもいい?」


俺がそういうとシスターカモーエが前に出た。

「は、はい。わ、私は『神聖料理人』というスキルで、食べると体力や魔力を回復させる料理を作れます」

「えー最高です。ライル商会には凄腕料理人がいっぱいいるので、色々手伝ってください」

「は、はい。先ほどの食事、とても美味しかったです」

「みんな料理のレベルを上げるようとしてるから、商会内でレシピや調理法などは共有してるから、是非聞いてみて」

「わ、わかりました!」

シスターカモーエは嬉しそうにしていた。


次はシスターミアナが口を開いた。

「私は『聖なる薬師』です。薬の調合やポーションを作れるみたいなんですが、薬にできる素材を手に入れられなかったので、作った経験はありません」

「あれ?また最高だな」

俺はゴーレに言って、キーを呼び出してもらった。


俺はすぐに執務室側にある階段の踊場の床を取り外した。

「キー!ここに穴をあけてくれ。地下室を作る」

キーは黙々と土魔法を使う。

それに合わせて俺は秘密基地を多用する。


「うん。いい出来だ。こだわり部分はあとでいいだろう」

俺はシスターミアナを呼んだ。


「ここで薬師のスキル上げをしていいよ。素材ならうちのを使っていいから」

「いいんですか?」

「うん。これもあげるから使って」

俺は眠り続けていた調合セットを渡した。


「俺のテイムモンスターのライムがポーションを作れるから今度会わせるね。あとこれ、うちのヒール草。品質は十分高いから使って。失敗してもいいから数をこなすように」

「わかりました!頑張ります!」

シスターミアナは嬉しそうにヒール草を受け取った。


「そして最後はシスターユーア。どんな最高なんだい?」

「えーっと私は」

シスターユーアは気まずそうにしている。


「『不退の聖女』というスキルです」

「え!聖女!!」

俺は驚いた。


「いえ聖女と言っても教会関係者には多いスキルでなんです。それに本部で働く方は『聖女』というエクストラスキルで『何とかの聖女』というエクストラスキルは少し質が落ちていると言いますか」

「あーなるほど。でも聖女なんでしょ?」

「一般的に聖女様と呼ばれるのは『聖女』と『大聖女』のエクストラスキルを持っている人のみです。私はただのシスターです」

俺は疑問を感じた。

聖女という言葉がスキル名に入っているのだから、何か特別なはずだ。


「なにか特別なことはないの?」

「回復魔法を使えることと、祝福を与えることですかね。あと教会内では魔力が減りません」

「普通に凄くない?」

「そうなんですかね?」

シスターユーアは少し嬉しそうだった。


「てか3人ともシスター向きのスキル何だね」

「幼い時から教会にいる者がそのようなスキルを取得すると聞いたことがあります。私は祖父と教会で暮らしていましたし、シスターミアナとシスターカモーエは元々孤児院出身なので幼い時から教会で暮らしていました」

「なるほど。ナノンの『神癒の獣』も幼い頃教会に行っていたのが要因かもな」

「ナノンさんもそのようなスキルを?」

シスターユーアは驚いていた。


「ミジュマナも『慈愛の獣』ってスキルだから孤児院で働かせようと思ったんだよね」

「お2人共!ぜひシスターになりましょう!」


シスターユーアは俺の話を半分も聞かずに2人の勧誘をしに行った。




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