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301.大大大改造②

次は上振れ期待の焼肉屋に来た。

木造だが見た目は問題ない。


4マスだったのが誤算だが、人気店になれば問題ないはずだ。

おしゃれな庭があるので、店自体は3.5マス程だろう。


中に入ると、ファミリー焼肉店のような4人席や6人席が並んでいた。

各席には天井にからパイプが下がっていた。

多分煙を吸い込むやつだ。


店の奥へ行くと、少し雰囲気が変わった。

個室席ゾーンだ。

先ほどよりもゆったり座れる使用の個室が並んでいた。

これは人気が出るぞ。


厨房に入ると、マジックボックスが置いてあった。

中身は大量の肉焼き網だ。

交換用だろう。


厨房の施設はレストランと同じくマジックアイテムが置いてあった。

マジック冷蔵庫・マジック製氷機・マジック食器洗浄乾燥機。


そして見覚えのあるマジックアイテムがあった。

液体調味料製造タンクが2つあった。

既に中身は設定されていたが、焼肉のたれ甘口・辛口は上振れだ。


調理器具も備え付けだし、あと足りないのは皿だけ。

一旦木製にして、陶器が出来たら変更しよう。


そんなことを考えていると、ゴーレが獣人4人とブライズさんを連れてきた。

「ライルくん。またなんかすごいことしたね」

「ははは。レストランもすごかったでしょ」

「なんか面白い仕様だったけど、あれは?」

「入り口を2つにしました。門の外側は一般客用で、門の内側は従業員や関係者用です」

「なるほど。だから店内も半分に仕切ってあったんだね」

「はい。ブライズさんの負担を減らしたかったので、従業員はマジックボックスから自分で料理を取り出せるようにしました。作り置きしても良さそうなものや人気商品はマジックボックスに入れておいてください」

「助かるよ!厨房が真ん中にあるから、接客も問題なさそうだね」

「仕切りを外すこともできるので、パーティとかする時は外しましょう」

ブライズさんには仕事を押し付けてしまっているので、負担が減ってくれればいいなと思ってる。


「それでここは?」

ブライズさんは店内を見回した。

「新しい飲食店です」

「これはなんだい?」

ブライズさんはテーブルのロースターを指差してる。


「まあまあ。ちょっと待ってくださいよ」

俺はそういうと獣人4人の元へ行く。


「4人共、名前教えてもらえる?」

「エーダです」

リスの獣人のエーダは笑顔で言った。

「ヨウラです!」

「キアリです!」

ヨウラはネコでキアリはウマの獣人のようだ。

「ジュオルです」

ウシの獣人のジュオルは大人っぽかった。

たぶんエクストラスキルの影響だろう。


今回は事前にゴーレから4人のエクストラスキルを聞いていた。

4人の雰囲気を聞いて、良いことを思いついていた。


「じゃあブライズさんと4人はこっちきて」

「「「「はい!」」」」

俺はみんなを個室席に案内した。


「このお店はライル商会の新しい飲食店です。このお店はこの4人に任せようと思ってます」

「「「「え!!!」」」」

4人は驚いていた。

ブライズさんはすこし渋い表情をしていた。


「ライルくん。こんなことをこの子たちの前で言うのは心が痛いんだけど、獣人差別の思想がない人間の中にも、獣人が作った食事に抵抗がある人は少なくない」

ブライズさんは申し訳なさそうに言った。


ブライズさんは獣人差別の思想は全くない。

むしろ獣人とも仲が良く、獣人が作った料理だって喜んで食べるだろう。

だけど世間は違うということを大人として俺に教えたいのだろう。


「ごめんね4人共。傷つけるようなことを言ってしまった」

ブライズさんは4人に頭を下げた。


「大丈夫です。気を使ってもらえてるのは感じてます」

「そうです。私達は元奴隷なので、そういう人族も居るということは知っています」

キアリとジュオルはブライズさんを見ながらそう言った。


「いや、俺は考えたんです」

「何をだい?」

「この店が成功すれば、少なからず獣人差別の思考を薄めさせられるはずです」

「どうやってやるんだい?」

ブライズさんは俺に問いかけた。


「まずここでしか食べれないものを提供する。獣人差別の思想があると、この料理を食べれないってなると考え方も改めるはず。むしろ改めようと思うほどの料理を提供するんです」

「なるほど。ライルくんの料理ならできなくもないか」

「そしてブライズさん、この4人を見てください」

「え?」

「まだ少し栄養が足りていなさそうですが、4人とも容姿がとてもいい。こんな子達が頑張って働いている姿を見て、この街に来た男の冒険者達は店に通い詰めるはずです」

「ライルくんっていくつだっけ?ニーナと同い年だよね?」

ブライズさんは俺のことをジーっと見た。


「そんなことはいいんです。別に色仕掛けとかをさせるつもりはないです。純粋にこの子達を応援したいと思った客が他の人にその話をすれば、獣人差別の思想をなくす1手になると思いませんか?」

「うーん。実際ありではある。カラッカの鬼将軍の調理場はアルゴットとフィアダに会いに来る客がいるみたいだし」

初めて聞いた話だったが、アルゴットとフィアダは美形だから納得だった。


「うーん。あとは本人達次第かな?求めていない好意は不快に感じることもあるしね」

「まあそうですね。どう?話を聞いてどう思った?」

俺は4人に問いかけた。


「私はやってみたいです。どんなきっかけでも、獣人を嫌いな人が好きになってくれる可能性があるならやりたいです!!」

「そうですね。ライル様やブライズさんが私達のために意見を出し合ってくれているのに、私達が怖気づいたらダメだと思います」

「うん。私も頑張りたいです」

「私のエクストラスキル向きなので、是非やらせてほしいです」

4人はやる気だった。


「よし!じゃあやろう。まずはどんな料理を提供するか教えるね」

俺は急いで厨房に向かった。


▽ ▽ ▽


「「「「おいしい!!」」」」

4人はミノタウロス肉の極上を食べながら叫んでいた。


逆にブライズさんは静かに味わって食べていた。

「お客に調理をしてもらから必要なのは下準備だけか」

「そうですね」

「でもこれだと似たお店が出てこないかい?」

「似たお店はどんどん出てほしいです。でもこの質の肉や野菜を常に出せる店はないと思います。それにこのタレは簡単には真似できないと思います」


元の世界でよく食べた焼肉のタレだ。

俺の知識と『料理』をもってしてもこのクオリティを作るのは大変だろう。


「なるほど。でもお酒が欲しくなるね。パンもタラン米も合わなそう」

「そうですね。お酒は欲しいですね。さすがにレストランライルからビールを持ってくるのはできなくないですが、あんまりやりたくないですね。なのでワインかな?」

「ビールのマジックアイテムはもう1個あるよね?」

「あるにはありますが」


マジックドリンク製造タンクはあと1個。

正直、ビールを被らせたくはない。

でも焼肉にビールはほしい。


「うーん。わかりました。残りの1つでビールを出しますか」

「それが良いと思うよ」

こういう時のブライズさんは頼りになる。


「メニューも肉と野菜以外も出すの?」

「そのつもりですが、まだ考えてないです」

「じゃあ考えてみてもいいかな?この4人と一緒に」

「いいんですか?」

「うん。4人にも『料理』を取得させたいんでしょ?」

「はい。お願いできますか」

「いいよ」

ブライズさんが料理を教えた人は、全員『料理』を取得している。

肉や野菜を切って提供するのがメインだが、『料理』を持っていれば可能性が広がる。


「よし!じゃあこれを食べながら新メニューの案出ししましょう」

そういって俺も席に座った。




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