30.スライムパーティ
朝早くからフリードにゴーレと二人乗りをし、森へ向かう。ノコはシモン達と御留守番をさせている。
家を出るとき、お母さんは笑顔で森に行く許可を出してくれた。
その横で疲れ切った顔をしているお父さんがいた。
頑張って説得したんだろうな。少し申し訳なくなったが気にせず家を出た。
「この前、うさぎとかスライムがいた場所に向かってくれ」
ヒヒーン
▽ ▽ ▽
「よし、ここら辺か。そういえばゴーレはどれくらい戦えるの?」
「戦ったことがありませんので、わかりません」
「じゃあ、最初は確認程度で戦おうか」
「承知致しました」
そんなことを話しているとスライムが1匹、草むらから現れた。
「とりあえず、鞍に入ってる大剣を使って倒してみようか!」
「承知致しました」
ゴーレは大剣を取り出して構えた。
「よし!やってみよう!」
ゴーレは大剣を振りかぶり、スライムに叩きつけた。
ドーン!
スライムは魔石以外は全て吹き飛び、
地面が大きく凹んでいた。
「倒せました。マスター!」
「あっ、うん」
忘れていた。ゴーレは戦闘アビリティは持っていないが、筋力が500あったことを。
ダンディな執事の見た目とは真反対の技術なしのパワーゴリ押しタイプだとは。
その音に寄ってきたのか、スライムがぞろぞろと現れてきた。
「ゴーレ、こういう風に横に斬って、一気に何匹も倒してみよう」
ブーン
風を切るものすごい音がすると、
10匹ほどのスライムが魔石を残して姿を消した。
スライムの集団をゴーレが殲滅した。
「すごいな。まだやれそうか?」
「問題ありません」
スライムは森の奥から来てたみたいだからちょっと奥まで行ってみることにした。
『掃除』で魔石を回収して、森の奥へ向かった。
▽ ▽ ▽
「おー練習相手がいっぱいいるな」
森を進んだ先に小さな池があり、そのまわりには数えられないほど密集したスライムがいた。
「ゴーレ、いってこい!」
「承知致しました」
ゴーレは大剣持って走り出した。
▽ ▽ ▽
30分ほど経過したか。
スライムは残り少なくなってきた。
ちなみに俺とフリードは見てるだけだった。
ゴーレムだから、体力が無尽蔵なのだろう。
大剣をどんだけ振っても、衰えていなかった。
「あとちょっとだ、頑張れ」
すると、池の水が溢れ出してきた。
「ん?なにあれ?でかいスライム?上位種がいたのか」
池の中からスライムの10倍ほど大きいスライムが現れた。
「ゴーレ!多分そいつは上位種だ。気をつけて戦え!」
「承知致しました!」
ゴーレは大剣を構え直し、大きいスライムに剣を振った。
ゴーレはスライムを切り倒した。
「よくやったぞゴーレ!」
ゴーレに近寄り誉めていると、大きいスライムが再生していた。
「再生能力あるタイプか!ゴーレ!身体の中心にある魔石を引き剥がせ」
ゴーレは何度も切り刻むが、大きいスライムはものすごいスピードで再生する。
何度か同じような攻防を繰り返したが、スライムの再生のスピードが早く、倒すことができない。
すると、ゴーレが俺に近寄ってきた。
「マスター申し訳ありません。お借りしていた大剣ですが使い物にならなくなってしまいました」
大剣を見てみると形はギリギリ保っているが、至る所が溶けてなくなっていた。
「あのスライムの身体は酸みたいな効果あるのかよ。ゴーレ、大剣のことは気にしなくていいから。あいつ、俺がやってみてもいい?」
「よろしくお願いいたします」
「うーん。どうやって倒そうかなーー。とりあえずエアショット!」
エアショットはスライムに当たるが、スライムの身体で威力を殺され、魔石に届かない。
「じゃあ、ウィンドアロー!」
6本の風の矢がスライムに当たり、身体を削るがすぐに再生されてしまう。
「ダメか。次もダメだろうけど、試しにエアアーム!」
風の腕が現れ、スライムに向かっていく。
両腕をスライムに突き刺し、スライムの身体を開くようにする。
一瞬、魔石が剥き出しになった瞬間、腕を伸ばし魔石を引きちぎった。
すると大きなスライムは形を保てなくなり、倒れていった。
「おっ!やれた。ラッキー!これがダメだったら、ウィンドアローの同時使用しかなかったからよかったわー」
「流石ですマスター」
ヒヒーン!
「それにしてもでかい魔石だな。ゴブリンジェネラルと同じくらいだな」
大きいスライム魔石をバッグにしまった。
散らばっている大量のスライムの魔石を『掃除』で回収してると、身体が勝手に池に入っていった。
「うわ!冷た!池に魔石ないだろ」
池は浅かったが、5歳の身体には十分深かった。
顎下まで池に浸かると、
何かを掴んで、池から上がった。
「なんだこれ?卵?」
池の中にあったのは綺麗な水色の卵だった。
現在の成果
スライムの魔石 368個
大きいスライムの魔石 1個
謎の卵
「てか、天気良くてよかった。服はびしょびしょで少し汚れたけど。そういえば、まだあれを検証してない!」
俺は自分の身体に触れた。
「クリーン!」
一瞬にして、服の汚れと体の汚れがなくなる感覚に襲われた。
「やっぱり、異世界転生定番スキルは便利すぎる!」
ゴーレとフリードにも『クリーン』してあげると喜んでいた。
「マスターこちらもお願いできますか?」
ゴーレは酸がついた大剣を差し出した。
「クリーン!」
酸はなくなったが、溶けた部分は修復されなかった。
「期待してたけど、当然か」
ゴーレは残念そうに大剣を鞍にしまった。
「この卵どうしたほうがいいと思う?」
卵を見せながらゴーレに問いかける。
「これはモンスターの卵ですね。放置していると孵化してしまう可能性がありますので、馬車のマジックボックスに入れておくことをお勧めします」
「わかった。そうしよう」
鞍からマジック馬車を出して、マジックボックスに卵を入れた。
「スライムの魔石も多いな。これは『ガチャ』に使ってもいい?」
「問題ありません。マスターのために手に入れた魔石です」
「ありがと」
スライムの魔石を『ガチャ』に入れた。
所持ポイント1,290




