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292.2年ぶりのヤルク村①

「昨日はさすがに疲れたなー。てか寒いな」

雪がうっすら積もっていた。

庭にはフリード達の姿はない。


昨日ゴーレから聞いた話だと、フリード達はガッツさんと共に危険地域に行ってるらしい。

ノコ虫軍もほとんどが行ってるらしいから弟子達が大怪我をすることはないだろう。


身体を慣らすために庭を歩いていると、ゴーレがやってきた。

「マスター。調子はいかがですか?」

「問題ないよ。今日は村を歩こうかなと」

「ご一緒します」


俺はライルダンジョンに向かった。


▽ ▽ ▽


ライルダンジョンの最下層に着くと、ものすごい勢いでリビングアーマージェネラルのショーグンが詰め寄ってきた。

「主君!体調はよろしいのですか?」

「大丈夫だよ。元気にしてた?」

「はい。問題ありませぬ」


ショーグン達にはこのダンジョンでの素材集めと、村の警備をしてもらっている。

ライル商会にもヤルク村にもとっても重要な存在だ。


「なんか困ったことある?」

「いえ。ありませぬ。あえて挙げるのであれば、バウンドシープの肉の在庫が溜まっております」

「あー。バウンドシープって毛皮目的だったから肉の存在忘れてた」

今度ブライズさんとシープ肉の料理をチャレンジしてみるか。


「マスター」

どんな料理を作ろうか考えていると、ゴーレが声をかけてきた。


「どうしたの?」

「危険地域で手に入れたダンジョンコアが3つあります」

「まじ?」

「勝手にレベルを上げるわけにはいかなかったので、私の方で管理しております」

「よし。そしたらライルダンジョンのレベルを上げるか!」


俺はゴーレからダンジョンコアを3つ受け取った。

現在、ライルダンジョンはレベル5でヤルクダンジョンがレベル6だ。

とりあえず両方レベル7にすることにした。


ダンジョンコアを吸収させるとディスプレイが目の前に現れた。

「お!やれること増えてる![ダンジョンコイン作成]と[モンスター進化]か」


ダンジョンコインはライルダンジョンには必要なさそうだが、モンスター進化は興味があった。

ダンジョンに居るモンスターを進化させることができるらしい。

とりあえず進化可能となっているモンスターを進化させることにした。


オークの階層には、オーク・オークナイト・オークジェネラル・オークキングが出現するようになった。

ミノタウロスやフレイムコッコの階も同じように上位種が出るようになった。


他に進化可能だったのはバウンドシープとウォーリーバッファローだ。

ボスバウンドシープとボスウォーリーバッファローが出るようになった。


「これって素材の質が上がりそうだな。よし、ショーグン!」

「はい!」

「素材取りに行くから付き合って!」

「お供致します!!」


▽ ▽ ▽


モンスター進化は良い機能だった。

やはり上位種を倒すと質が高い素材が出てきた。

これは肉や服にランクを付けてもいいかもしれない。


「次はヤルクダンジョンですか?」

「うん。てか家からしか秘密の通路を繋げてないの忘れてた」

俺とゴーレは家へと向かった。


▽ ▽ ▽


最下層に着くとセイリューがいた。


「おお。主!」

「久しぶり」

「倒れていると聞いたが、大丈夫だったのか?」

「え?」


セイリューはショーグンと違って、簡単には外に出ないはず。

なのに俺が倒れていたことを知っていた。


「なんで知ってる?」

「ん?時々、ルークから聞いたぞ」

「え?」

「時々だが、子龍に戦い方を教えてやっている」

「そうだったの?」

村の防衛のためにセイリューを紹介したけど、まさかちょくちょく会っているとは。


「それで今日は?」

「ダンジョンのレベルアップとダンジョンコインを作りにだよ」

「そうか。主。たまにでいいのだが外に出てもいいか?」

「えーっと」

セイリューは体を小さくできるけど、村の人も驚くだろうし。

ライドンになれてるから平気か?


悩んでいるとゴーレが口を開いた。

「マスター。セイリュー殿に外に出る許可は出してなかったのですか?」

「え?緊急時のみ、村を助けてくれと言ってはいたけど」

「そうですか・・・」

「ゴ、ゴーレ殿!」

ゴーレの発言にセイリューが焦り始めた。


「マスター。申し訳ありません。この2年間、セイリュー殿は頻繁に街で過ごしております」

「え!?セイリュー!!」

俺が怒鳴ると、セイリューは巨大な頭部を地面にこすりつけた。


「すまぬ!すまぬ!暇だったんじゃ」

「だからと言って、約束破るの?」

「済まぬ。本当に暇で。最初はルークと一緒に出ていたんじゃが、最近は1人で出ていた」

「村の人がびっくりするだろ?」

「いや、そんなことはなかったが。村が襲撃されたときに一緒に戦ったもの達は良く話しかけてくれるぞ」

「それは冒険者で、耐性があるから!」

「そうなのか?」

「そうだよ。ドラゴンってモンスターの頂点なんだよ?」

「そうか。それはすまなかった。みんながあまりにも受け入れてくれるから、村の者はそういうものだと思っていた。まさか主の母君やブライズ殿が冒険者だったとは」

「ん?」


俺は違和感を感じた。


「なんで母さんとブライズさんの名前が出てくるの」

「ん?主の母やブライズ殿には良くしてもらっているぞ。他にも色々いるが」

「ん?ん?」


なんか話が通じていない?


「セイリュー。話しかけてくれるのは一緒に戦った人なんだよね?」

「ああ」

「母さんやブライズさんは?」

「一緒に戦ったぞ」

「ん?ん?」


俺は嫌な予感がした。

ゴーレを見ると、首を横に振っている。

ゴーレも知らなかったみたいだ。


「セイリュー。体を小さくするなら、外に出る許可を出してもいい」

「本当か?」

「そのかわり覚えている限りでいいから、村の防衛戦で戦ってた人を教えて」

「まかせろ」


俺とゴーレはセイリューから話を聞いた。

まさか村に居たライル商会全員が戦闘していたなんて。


「ゴーレ。あの時、村を任せたの誰だっけ?」

「えークララ殿だったと思います」

「なるほど。総動員しないといけないほどの襲撃だったの?」

「いえ。怪我人なし。余裕過ぎたとクララ殿から聞いておりました」

「なるほど」


罰を与えなきゃいけない人が1人増えた。




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