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286.カラッカVSソブラ(カラッカの街②)

「おい!他の4人は?」

「あ?1体はよくわからんが爆発した。2体は別のところにいてギルドマスターや他の冒険者が対応中だ」

「残りの1人は?」

「最初に現れてからどこかにいった」

「まじかよ。ちゃんと見とけよ」

「うるせーよ」

俺は悪魔貴族と戦いながらジェイクから情報をもらっていた。


「癒やしの風!おい、そんな攻撃当たるなよ」

「無茶言うな。お前のワープだっけ?そんな風に避けられねーから」

「まずはありがとうが先だろ」

「あ、ありがとう」

俺とジェイクとフリードで何度も攻撃をしているが、悪魔貴族はダメージを食らっていない。


「回復してないか?」

「ああ。さすがにこれだけ攻撃して効いてないのはおかしい」

「この雲を出したのは?」

「消えた1人」

「あーそいつを先にやらないとかー。ここにいるやつらでここ守れるか?」

俺がそう問いかけるとジェイクは俺の目を見ていった。


「やるしかないなら全力でやってやる」

「弱いんだから敵から目をそらすな。癒やしの風!」

「す、すまん」

とりあえずジェイク達にここを任せることにした。


「倒さなくていい。死ぬな」

「わかった」

「エアアーム!」

俺は拳を握り、エアアームで悪魔貴族を殴り飛ばした。



「フリード!」

ヒヒーン!


俺はすぐにフリードに跨る。


「弱いんだから絶対に死ぬなよ」

「ああ。うるせーよ」


俺とフリードは暗雲の中に入っていった。


▽ ▽ ▽


暗雲の中は禍々しい雰囲気が漂っていた。


「フリード、なんか感じるか?」

ブルルル

「だよなー。どこにいるんだ?」

暗雲の中を走り回るが、ソブラの姿が見当たらない。


「ん?」

俺は急に何かを感じた。


「フリード、上だ。防壁の真上。オステオさん達の真上だ」

ブルル?

フリードは何も感じていないようだ。


「俺もなんでかわかんないけど、たぶん上に居る」

ヒヒーン!


俺がそう言うとフリードは頷いて、『空歩』で防壁の上を目指した。

フリードのレベルはだいぶ上がっているが、さすがにオステオさん達の真上までは歩けない。


「見える位置に行ければいいからがんばってくれ」

ヒヒーン!


フリードはどんどん高度を上げていく。


上に上がるにつれて暗雲は濃くなっていく。


「見えた。やっぱりあそこから禍々しい空気を感じる」

ヒヒーン!

「ここで大丈夫。あとは地上におびき寄せればいい」


フリードには平気と言ったが、この距離からソブラがいるであろう場所に的確に攻撃を当てる方法が1つしかない。

しかも反動が付いてくる。


「やるか。ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

鼻から血が流れるのを感じた。


あのゴブリンナイトを倒したときよりも俺は遥かに強くなっているはず。

まだいける。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウ、ウィンドアロー!ウ、ウィンドアロー……」


もう何本かわからない。

だけどこれだけあれば1発は当たるはずだ。


俺は暗雲に向かって指を差す。

すると風の矢が一斉に暗雲に向かって飛んで行く。


「ど、どうだ?」

鼻血は止まらないし、頭がくらくらする。


ヒヒーン!

フリードがいなないた。


暗雲を見ると、中から角が生えて羽根が生えている背の低い中年のジジイがでてきた。

「ん?黒いスターホースに子供。お前がライルか。死んだと聞いていたが、ラドニークめ謀りおったな」


悪魔ジジイは俺達に近づいてくる。

「お、お前がソブラか?」

「いかにも」

ソブラは俺を見て笑みを浮かべる。


ソブラの額には魔石のようなものが埋め込まれていて、とても異様な姿をしている。


「お前にはいろいろと邪魔をされた。ここでカラッカ家を皆殺しにする前に、お前で遊んでやるか」

ソブラがそう言うと一瞬で俺達の目の前に現れた。


「フ、フリード!地上へ逃げろ!」

ヒヒーン!


フリードはすぐに走り出すが、ソブラに殴られて俺ごと地面に吹き飛ばされた。



ものすごい衝撃で地面に叩きつけられた。

フリードがかばってくれていなかったら死んでいた。


「こ、これはまずい。癒やしの風!癒やしの風!」

フリードを回復しようとするが、簡単に治るダメージではないようだ。


「スターホースは動けないようだな」

振り返るとソブラが真後ろに居た。

「ぐっ!」

身体に衝撃が走り、吹き飛ばされた。


ソブラは木にぶつかった俺に近づいてくる。

「癒やしの風!癒やしの風!」

多少だが痛みが減った。


「ワシをここに連れてくるだけでそんなにボロボロになるとは、鬼将軍という名は過剰評価のようだな」

ソブラは蹴ろうとするが、俺はすぐに「ワープ」と唱えて距離を取る。


「ほー。無属性魔法か。珍しいものを持っているな」

「うるせーよ。俺なんかよりお前の姿のほうがよっぽど珍しいぞ」

「カッハハハ!それもそうだ。これはワシの願いを叶えるために用意をしてもらった唯一無二の素晴らしい力だ」

「唯一無二?お前以外にも4人も同じような姿をしてたけど」

「あんなものと一緒にするな。あいつらは理性も保てないマヌケだったろ?ワシはこの力を自分の物にしている。ほらあいつらはこんな美しい武器を持っていたか?」

そう言うとソブラの手には真っ黒で毒々しい大鎌が現れた。


「そういえばお前はラドニークの息子と娘に好かれているんだったな。こいつで首を刈って、手土産にしたらさぞ喜ぶだろ」

「そんなことさせねーよ。ウィンドアロー!」

「効かぬわ!」

俺が放った風の矢はソブラの手に当たってかき消された。


「くっ!ワープ」

俺はソブラの背後に回った。


「ここだな」

「ぐっ!」

俺のワープ先を読まれ、ソブラに胸ぐらを掴まれる。


「こんな雑魚の小童にワシの計画を止められるとはな」

「……うるせー」

ソブラは胸ぐらを掴みながら俺を引き寄せる。


「死んで詫びろ。そして首を手土産にしてやろう」

「……させねーよ」

俺はソブラに頭突きをした。


俺の額がソブラの額に当たり、俺の意識は遠のいた。



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