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284.カラッカVSソブラ(ヤルク村①)

俺は久々の金になる仕事に腕が鳴っている。


「おい!本当に金目のものがあるんだろうな?」

「ああ。付くまで黙っていろ!なんでこんな奴と行動しないといけないんだ?」

「あ?ぐちぐち言うな。俺だってお前みたいな偉そうなやつといたくねーよ」


俺はガスター商会からの仕事でグリモスという男と共にある村に向かっていた。


最近力を付けている商会の本拠地らしく、完全に潰してほしいとのことだ。

商会同士のいざこざはよくわかんないが、金目のものも住人も好きにしていいらしい。


グリモスは商会長に恨みがあったらしいが、商会長はすでに暗殺済みらしい。

専属の高ランク冒険者も暗殺したみたいだから、単純に村の女や子供で鬱憤を晴らすためについてきたようだ。


俺の『小鬼の友人』というエクストラスキルはゴブリンを率いることができる。

最初はゴブリンを率いるスキルは珍しいとちやほやされて傭兵団を作ってみたが、時間が経つにつれて「汚い」「気色悪い」など言われ始めて、最近はクソみたいな依頼しか来ていなかった。


だが今回は違う。

ガスター商会にゴブリンの卵をくれと言われて渡してみると上位種のゴブリンが生まれ、周りにいたゴブリンも集まってきた。

今や元の10倍の5000体のゴブリン軍になった。そのうち500体は上位種でゴブリンジェネラルまでいるし、『ゴブリン合成』で作った特殊なゴブリンもいる。

しかも『小鬼の抜け穴』というスキルのおかげでゴブリンの出し入れが自由自在だ。

最強となった我がゴブリン軍がそこら辺の村を潰すなんていとも簡単な話だ。



「あー早く村につかねーかなー」


俺はグリモスと共に目的の村へと足を進めた。


▽ ▽ ▽


俺は夢を見ているのだろうか。


襲撃予定の村は、街と言うべき景観をしていた。

なんでこの規模で街じゃないんだ。


しかも予想外だったのは先行して500体のゴブリンを向かわせたが、子供の冒険者に蹂躙された。

一応ゴブリンメイジやゴブリンナイトも送ったのだが、柵に傷すらつけれなかった。


「グリモス。これはどういうことだ?」

「お前とその汚らしいゴブリンが弱いだけだ!さっさと数で押し切れ!」

「あ、ああ。そうだよな。数が足りなかったんだよな」


俺は『小鬼の抜け穴』を使って、2000匹のゴブリンを村に向かわせた。


「これなら余裕だ」



▽ ▽ ▽



「クララさん!さっきの倍以上の数のゴブリン型が村に向かっています。見たことない上位種や変異種も居るみたいです」

エルフのアルナが『砂駝鳥の眼』で敵を捕らえた。


「ありがとー。それじゃカシムとアルナはここで弓での攻撃ねー。それとーさっきはスキルも魔法も使わなかったけど、今度は使っていいからね!村に被害が出るとライルが鬼になるから」

「「「「「「「「はい!!」」」」」」」

鬼将軍の弟子達は元気よく返事をした。


「襲撃するのにゴブリンだけなんてありえないから!しっかり体力を温存してねー」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

「飛んでる変異種はルークとライドンとラーちゃん。その他はニーナの指示で戦ってね」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

「がんばります!」


ニーナはやる気に満ち溢れているから大丈夫だろう。


「じゃあゴブリン達を倒して、相手の奥の手をさっさと見せてもらいましょー」

私がそう言うと弟子達はゴブリンに向かって行った。


ルークがライドンに跨る。

ギャーオギャー!

「え?どうしたの?」

ライドンがルークを乗せたまま、猛スピードでゴブリン達と反対方向へ向かってしまった。


「あれー?どうしたんだろー」

「クララさん。飛んでる敵はどうしますか?」

ニーナが心配そうに聞いてきた。


「ん?ニーナはどうする?」

私がそう聞くと、ニーナは頷いた。


「カシムとアルナ。弓で飛んでるモンスターをお願い!できるだけ地上からも魔法で攻撃するから」

「「わかった」」

「ラーちゃん!飛んでる敵には全力でいいからね」

キュー!

ラーちゃんは嬉しそうにくるくると宙を回っていた。



「よーし。私もなんかあったときのために準備しておくかー。カシムとアルナ、黒幕っぽい人を見つけたら教えてねー」

「「わかりました」」

私は戦場を弟子達に任せて、マジックバッグを漁った。



▽ ▽ ▽



俺はやっぱり夢を見てるんだ。


ゴブリン達が子供の冒険者に蹂躙されている。

多分半分は既にやられている。


おかしい。

こんなことがあるわけない。


ゴブリンとスライムを合成したゴブリンスライムは白いストーングリズリーに踏み潰された。

ゴブリンの骨で作ったゴブリンスケルトンは獣人の子供に粉々にされた。

ゴブリンとグレートホースを合成したゴブリンホースは炎を纏った小さな何かに燃やされた。


信じられない。


それにゴブリンとワイバーンを合成したゴブリンワイバーンも急に現れたドラゴン2体に蹂躙された。


「おい!シャギラ!もっとゴブリンを出せ!数が足りんぞ」

グリモスに言い返す気力も無かった。


なんでこんなことに……。


「……残りのゴブリンを全部出す。これで大丈夫なはずだ」


俺は残りのすべてのゴブリンを村へ向かわせた。



▽ ▽ ▽



ルークとライドンが居なくなったときは驚いたが、まさかセイリューを連れてくるとは。

ライルから最終兵器だって聞いてたけど、まだ出すタイミングじゃない。


ゴブリンだけの襲撃はおかしすぎる。何か裏があるはず。


「クララさん」

「ん?」

振り返るとそこには商会の大人達が勢揃いしていた。


「あれ?どうしたのー?」

大人達は真剣なまなざしで私を見ている。


ガルスタンが一歩前に出て口を開いた。


「オイラ達も村を守りたいんだ」

「えー」

みんなをよく見ると武器のようなものを持っている。


「さすがにライルに怒られちゃうからダメかなー」

そう言うとカインさんが口を開く。


「お願いします。いつもライルや子供達に戦わせてしまってるんです。全部倒せるなんて思ってないです。モンスターなんて今まで倒したことがない。ですが村を守るために戦いたいんです」

「うーん」

私が悩んでいるとマイアが前に出る。


「私達が怪我をしないために、ショーグンちゃん達に護衛をお願いしました。絶対に怪我しないですし、ライルにも言いません」

言われてみれば、みんなの後ろにはショーグン達が整列していた。


「うーん。わかったよー。絶対に怪我しないでよー」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」

さすがライルの親だ。

無理を押し付けるのが上手い。


「あのートサカとルビーもいいですか?」

「あーもういいよ!全員大集合で!」

「ありがとうございます!」

ハーマンは頭を下げた。


「もー心配だから私も行くー。カシムとアルナはここで弓を持っている人達に指示出して」

「「わ、わかりました」」


私はしょうがなく、村の大人達と共に戦場に向かった。


「絶対ライルに怒られるよー」



▽ ▽ ▽



何を見せられているんだ。


ゴブリンジェネラルは子供の冒険者にボコボコにされた。

残りは蹂躙されるの確定のゴブリンだけ。


しかもあれはなんなんだ。


村から大人達が現れたと思ったら、変な武器でゴブリンを少しずつ倒している。

あれはなんだ?鍬とフライパンを持っているやつもいる。

と思ったら雨のように矢が降り注ぐ。


この村はなんなんだ?

簡単に稼げる仕事じゃないのか?


俺は頭を抱えた。



「あーゴブリンもこいつも使い物にならん。こうなったらソブラ様にもらったこれを使うしかない」


グリモスは何か言いながら、変な液体が入ったものを取り出した。


パリン!


取り出したものはなぜか割れている。

「え?」



▽ ▽ ▽



「危ない危ない!」

私は間一髪、注射器を破壊することができた。


「アルナ、ありがとね」

「いえ」

アルナから人影報告が無かったら、あの注射器を身体に打ち込まれて厄介なことになっていた。


「てかあそこにいるのってシャギラだよね?だいぶ前に別の国に行ったって聞いてたけど。シャギラが居るってことはゴブリンだけだねー」


私達は村総出で残りのゴブリンを殲滅に向かった。



「ラーちゃん!あそこの2人を捕まえといて」

キュー!


「あーなんか過剰戦力だったみたい。とりあえず殲滅終わったら、援軍を送った方が良さそうだねー」


私も村の人達と共にゴブリンの元へ向かった。



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