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283.カラッカVSソブラ(ササント②)

「なかなかしぶといですね。だいぶ痛いと思うんですが」

ガスターは嬉しそうに言った。


魔装で防いでいるから耐えられているが、魔力が切れたらまずい。

だが正直、勝機はある。


「うーん。優秀な冒険者は顔も歪まないんですねー」

俺を斬りつけながらガスターはぼそぼそ喋っている。


こいつはたぶん戦闘に慣れてない。

戦闘に慣れてないやつにこんなにやられているのは屈辱的だが、相性がすこぶる悪いからしょうがない。


「どうしましょうかねー」

ひたすら俺の身体を溶かそうと剣を押し当ててくる。


「魔装はやっかいですねー。そうですね、魔力を取っちゃいましょう」

ガスターはそう言うとライルが言っていた注射器を取り出した。


「痛いですけど我慢してくださいね。時期に力が抜けていきますので」

ガスターはそう言いながら近づいてくる。

「ちくっとするだうううううううううううううう!!!」


間に合った。

注射を刺そうとしていたガスターは巨大化したライムに飲み込まれていた。


俺は耐えるだけでよかった。

ガスター以外のやつをライムが無力化するまで待つだけだった。


「ライム。装備は完全に溶かしてくれ」

ポニョ!


ガスターはライムの身体の中でもがいている。

俺を苦しめていた武器が溶けていく。


「窒息するまで身体の中に入れておいてくれ」

ポニョ!


俺は頑張って沼から抜け出そうとしていると、ライムが引き抜いてくれた。

「何から何まですまんな」

ポニョ!


ガスターの様子を見てみると、さっき持っていた注射器とは別の中身が入っている注射器を自分の身体に刺していた。

「ライム!その注射器はまずい!すぐに溶かしてくれ」

俺の指示が遅かった。

注射器が溶け切るときには、中身はガスターの身体に注入されていた。


「すまん!俺の指示が遅かった。ライム、そいつを絶対に外に出すな」

ポニョ!


ガスターはライムの身体の中でもがいているが徐々に様子が変わっていった。

身体が大きくなり、獣のように毛が生えている。


「な?獣人か?」

ガスターはライムの中で暴れだす。


ポ、ポニョ!

ライムも抑えるのが厳しくなっているようだ。


「ライム。もういい!こいつごと溶かしてくれ」

ポニョ!


バシュッ!

ライムに指示を出した瞬間、ガスターがライムの身体から出てきてしまった。


「ギャオオオオ!!!」

ガスターが叫ぶと地面が揺れる。

禍々しい魔力が身体の中からにじみ出ていた。


「ライム!こいつを捕縛は無理だ。殺さないと俺達がやられる」

ポニョ!


俺とライムはガスターから距離をとる。


「ギャオオオオオ!!」

ガスターは俺に向かって飛んでくる。


俺は拳を当てて、ガスターを吹き飛ばす。

さっきより身体が軽い。

奪われていた速さが戻ってきたみたいだ。


「よし!めんどくさいマジックアイテムもない。これならいけるぞ」


▽ ▽ ▽


吹き飛ばしたガスターがさっきよりも速く俺に向かってきた。

殴りかかるが、石を纏った腕に防がれる。


「なんだよ!さっきと動きが全然違う」

殴りあっていると、石の槍が四方から飛んでくる。


「くそっ!煩わしい!」

拳で弾き、撃ち漏らしたのをライムが防いでくれる。


ガスターは全く視線を動かさずまっすぐ俺を見ながら様々なところから魔法攻撃をしてくる。

俺は攻撃を弾いて『蓄電』をする。


「グワアアアアアア!」

ガスターが叫び始めた。完全に我を忘れている。


めちゃくちゃに攻撃をし続けるおかげで、『蓄電』ができた。

「雷虎纏い!」



俺は猛スピードでガスターに詰め寄り、雷の爪で斬りつける。

「ガアアアアアア!」

さすがにこれは効いたようだ。


ガスターを何度も斬りつけると、俺と距離を取った。


「ギャラアアアアア!」

ガスターの身体に岩がまとわり始めた。

岩は形を変え、巨大な岩のオオカミのようになった。


「おいおい。雷効かなくなるなよ」

岩を纏っているのにスピードは変わらず早い。


「ライム!攻撃にも手を貸してくれ」

ライムは触手のように身体を伸ばしてガスターに攻撃を仕掛ける。


「ギャグアアアア!」

ガスターが叫ぶと石の刃がライムに向かって飛んで行く。

ライムはそれを身体に入れて溶かす。

地面が揺れだしライムの足元から分厚い岩の壁が出てきて、ライムの身体を覆ってしまった。


「あーなんでこんなめんどくさいんだよ!」

ライムを覆う壁は簡単に壊れなそうだ。



ガスターが足を踏み鳴らすと、俺の足元から石の針が突き出てくる。


跳び上がって避けようとするが、石の針は俺を追いかけるように伸びてくる。

「あー!めんどくさい!」

石の針を殴って壊すが、壊しても壊しても針は伸びてくる。

「本当に相性が悪すぎる。最近めんどくさい事ばっかりだが、お前が一番めんどくさいぞ」


俺は石の針を避けながら、ガスターに向かって行く。

「ガアアアアア!」


岩のオオカミになったガスターは4足歩行で俺に向かってくる。

「もうこれしかない!」

ガスターとぶつかる瞬間、拳を突き出して岩のオオカミの口に拳を突っ込む。


「これで倒せなかったらきついな」

蓄電した雷を手のひらに集めて放出させた。


バリバリバリ!


岩のオオカミの身体の中からものすごい音が鳴り響いた。


バリバリバリバリ!

ボンッ!


爆発音がすると、岩のオオカミの身体がボロボロと崩れ落ちた。

岩のオオカミが消滅すると、ガスターだったと思われる肉片が岩に張り付いていた。


▽ ▽ ▽


顔に何かがかかっているのに気づき目が覚めた。

ライムのポーションだ。

ライムが覆われていた岩の壁も岩のオオカミと共に崩れたのだろう。


「アボアッバッバ!ラ、ライム!もう起きたから、ポーションをかけなくていいぞ」

ポニョン!

俺がそう言うとライムは満足そうに弾んだ。


「他の所にもめんどくさい奴がいないといいが。とりあえずライルの所に向かうか。その前にササントの冒険者の回復だな」


俺はライムを肩に乗せ、ササントの街に向かった。



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