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278.謎の人型モンスター

「ドロップアイテムも出ないのか……」

ヒューズさんは何かを考えていた。


「やっぱおかしいですよね。ダンジョンのモンスターでドロップアイテムが出ないのは」

「おかしい。ガッツ!ドロップアイテムが出ないことはあるのか?」

「いやしょぼいアイテムが出ることはあるが、まったく出ないことはない」

ガッツさんは不思議そうにしていた。


「これは早めに攻略しないと、外に悪影響を及ぼすかもな」

「そうですね」

俺達は先に進むことを決めた。



階段を降りると先ほどと同じ空間に出た。

地下22階層の中央には人型の何かが居た。


「また知らないモンスターですか?」

「ああ。なんだあれは」

「まずい予感がする」

ヒューズさん達はすぐに武器を構えた。


人型のモンスターは幽霊?いや違う。

実体があるのかどうかもわからないほどぼんやりとした姿。

だが禍々しいオーラに包まれているせいで圧が凄い。

俺は『鑑定』を使った。


○鑑定結果不明

鑑定結果不明


またしても詳細が出なかった。


「ん?女性?」

「見た目は女だな。魔人族そっくりな容姿だ」

「魔人族?」

「あの角と羽根は魔人族の特徴にそっくりだ。だけどあのぼんやりとした姿は何なんだ」


ヒューズさんの言う通り、人型の何かは短くて太い角が2つ生えていて悪魔のような羽根がついていた。


「あと気付いてるか?あの異常な魔力」

「この圧は魔力ですか?」

「そうだ。気を引き締めろ、今まで戦ったモンスターの中で一番手強いぞ」

「はい」


ヒューズさんが脅しでそんなことは言わない。

本当にやばいのだろう。



「行くぞ!長引かせるな、全力で全員で潰すぞ」

「はい!」

「おう!」

「承知しました!」

ジジジジジ!

ポニョン!


俺達は謎の人型に向かって行った。




「いいこと思いついた。ノコ!俺に雷魔法を!」

ジジジジジ!

ノコはガッツさんに雷魔法を当てた。


「いいねー!」

ガッツさんはノコの雷魔法を身体に纏って、ものすごい速さで人型モンスターの正面に突っ込んだ。


「ヒューズ!合わせろ」

「任せろ」

ヒューズさんは斧を投げ、瞬間移動をして後ろに回り込む。


ガッツさんは正面から殴ろうとし、ヒューズさんは背後から斧を振りかぶった。

人型モンスターが手をあげると2人の正面に風の盾が現れた。

盾を攻撃した瞬間、盾は弾けて突風が巻き起こって2人は吹き飛ばされた。


俺とゴーレも人型モンスターに近づく。

「ワープ!ワープ!ワープ!」


俺は風の盾を出されないようにワープを連続で使い、顔面目掛けて森帝のロッドを振る。

ゴーレも俺に合わせて土帝の大剣を突き刺す。


人型のモンスターが腕を振ると、横風が起きて俺達も吹き飛ばされた。

「ぐっ!まじかよ。強すぎだろ」


ジジジジジジ!

ノコは魔法で攻撃するが風の盾で防がれ、エアアームで殴られ吹き飛ばされた。


ライムは巨大化し、人型のモンスターを丸呑みする。

「よし!いいぞライム」


しかしライムの体内に居る人型のモンスターは微動だにしない。

よく見てみると風の球体で身体を包んでいて、全くダメージが入っていない。


人型のモンスターが手を真上にあげた。

俺はそれを見て嫌な予感がした。

「ライム!吐き出せ!」


ライムが吐き出した瞬間、人型のモンスターを中心に竜巻が起きた。

巻き込まれていたら、ライムも無事ではなかっただろう。



人型のモンスターは俺達を指差す。

すると周囲に風でできた大鎌が数十本現れた。


「ヒューズさん。これはまずくないですか?」

「ははは。やばいなこれは」


手を振り下ろすと俺達に向かって風の大鎌が飛んできた。


ライムが巨大化し、風の大鎌を飲み込む。

「ありがとうライム」

ポニョ!ポニョ!


ライムのおかげで防御はできるが、攻撃が全く通らなかった。


▽ ▽ ▽


1時間ほど戦いを続けたが、まったく攻撃が届かない。


俺の風魔法も全く同じ魔法で相殺され、ガッツさんの『雷虎纏い』の攻撃も風の盾で弾かれた。

相手の攻撃はライムが防いでくれるから、こちらのダメージもないのだが何も進展しない。


「ヒューズさん。どうしましょう」

「1つ気になることがある」

「え?」

ヒューズさんはジーっと人型のモンスターを見ていた。


「ライルとガッツとノコで全力の魔法攻撃をしてくれないか?」

「わかりました」

「全力だな」


俺達は人型のモンスターを囲むように散らばった。


「ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」

「くらえ!」

ジジジジジ!

俺達は全力で魔法攻撃を放った。


しかし風の盾ですべての攻撃を防がれてしまった。

突風が巻き起こり、俺達は再び吹き飛ばされた。



体勢を立て直し、ヒューズさんの元に戻る。


「何かわかりましたか?」

「ああ。あいつは魔法を使うたびに身体が少しずつ小さくなってる」

「え?」


人型のモンスターを見てみると、確かに少し小さくなっていた。


「たぶんあの身体は魔力で形成されてる。だから魔法をたくさん使わせれば」

「どんどん小さくなって、最終的に消える?」

「その可能性がある」

「それに賭けるしかなさそうですね……」


一時間戦って、一回りほどしか小さくなっていない。

ライムに防御を頼めば、何時間でも時間を潰せる。

倒せるのは確定だ。

だけど何時間戦えばいいのだろうか。


そんなことを俺が考えていると、ヒューズさんはニヤニヤし始めた。


「なんで笑ってるんですか?」

「このままライムに防御を任せて時間を使うのもいいけど、俺達の攻撃が当たらないのは気に食わないよな」

「え?」

「絶対攻撃を通すぞ」

「戦うんですか?」

「ああ。楽しくなってきたな」


ヒューズさんはやる気に満ち溢れていた。


「ライル。弟子に遅れを取らないように、こいつで特訓しておけ」

「はぁ。わかりましたよ」


俺達は再び、人型のモンスターを囲んだ。




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