247.ゴーレの拾い物
村に帰ってきてから3日経った。
ここ3日は村とカラッカとマヌセラを行き来しまくっていた。
カラッカの街では、強弓と鋭牙は問題なく依頼をこなしているようだった。
冒険者として依頼を受ける経験が剱と剛角より少ないので、いい経験になるだろう。
ヤリネ奴隷商へも行ってみたが、ヤリネさんは居なかった。
街の外に出てるようで、数日は帰ってこないらしい。
戻ってきたらすぐに連絡をくれると言うので、それを待つことにした。
セフィーナさんとアイザックさんはカラッカの街で頑張っているみたいだ。
領主に掛け合って調整してくれているようだ。
ノヴァは瓦礫の撤去が終わるまで、カラッカに避難した人の対応をしてくれている。
ライル商会で漁師をやりたい人などに声をかけてくれているみたいだ。
マヌセラでは疾風の斧とガボガ達が瓦礫の撤去をしている。
街の人達が持って逃げれなかった物とかもあるので、慎重にやって貰っている。
剱と剛角はササントのダンジョンに挑戦していた。
夜には村に帰ってきて、俺に報告をしにきてくれる。
ダンジョン内はヤルクダンジョンくらい広いようで、まだ10階層までしか行けていないようだ。
俺か疾風の斧が落ち着いたら、ダンジョン内で野宿して攻略を進めたいと言っていた。
いまはスタンピードを起こさないための討伐のようだ。
俺は少し時間が空いたので、ゴーレが拾ってきたガスター商会のマジックアイテムを確認することにした。
「ゴーレ。本当にお手柄だね」
「ありがとうございます」
「じゃあ。ガスター商会の落とし物を確認していこう」
俺の鑑定では大まかな情報しか得られないが、まあいいだろう。
ゴーレは自分のマジックバックから宝箱のような箱を取り出した。
「これがリリアンさんが壊した大きな船に乗っていたマジックボックスです」
「これに船が20隻入ってるの?」
「いえ、このマジックボックスの容量はあまりないみたいです。この中にはマジックバックが8個入っているだけです」
「あーそうやって種類ごとに分けてるのか」
「そうだと思います」
ゴーレはマジックバックを8個取り出した。
巾着のようなものが4つ、ショルダーバックのようなものが3つ、リュックサックが1つだった。
中身の容量は俺が持っているマジックバックより大きい。
「俺のを新しくできるし、弟子にも渡せるな。最高すぎるよゴーレ」
「ありがとうございます」
マジックバックの中身を確認した。
1つ目の巾着型のマジックバックの中身を出した。100枚以上の金貨と数枚の大金貨が入っていた。
「ガスター商会はだいぶ儲かってたんだな。これは復興に回すか。ゴーレ、預かっておいて」
「承知致しました」
俺は巾着型のマジックバックをゴーレに渡した。
「他の巾着には何が入ってるんだ?」
俺は残り3つの巾着の中身を確認すると食糧と日用品が入っていた。
「これも復興に回そう」
「わかりました。預かっておきます」
巾着はすべてゴーレに預けた。
「次はショルダーバックか。俺のマジックバックはこれにしたいな」
俺はマジックバックの中身を出そうとしたが、中身があまりにも大きかったので驚いた。
マジックアイテムには小型船が10隻入っていた。
「容量すごいな。小型船も全部マジックアイテムだし。これってゴーレの方で確認とかしたの?」
「できる範囲でですが、確認しました。どれも魔力で動く船です。強度が普通の船より高いですが、それ以外の効果は付いていないようです」
「そうなんだ。まあこれも漁で使えるよね?」
「使えると思います」
「船はこれで終わり?」
「いえ、こちらのリュックサックの方にさっきの船より2回りほど大きい漁船が10隻入っています」
「さすがにそれはここでは確認できないな。効果はなんかついてた?」
「小型船と同じ効果しかついていませんでした。ただどの船にもマジックボックスが付いていたので、釣った魚を入れるんだと思います」
「わかった。ありがとう。ノヴァがどれだけの漁師を集められるかわからないけど、これだけあれば何とかなりそうだね」
「そうですね。問題なく使えると思います」
俺は残りのショルダーバック2つを確認した。
「なんだこれ?」
中身は大小様々な針の無い注射器のようなもの、そして大きなタンクにノズル付きホースが繋がっているものだった。
「タンクに何か入ってるよね?これって…」
俺はタンクに触れると馴染のある感覚だった。
「はい。魔力だと思われます」
「だよね…」
これはたぶん卵に魔力を入れこんでいる装置だ。
注射器みたいな方はこれの小型版だと思う。
「これはヒューズさんとセフィーナさん案件かな?」
俺は丸投げすることを決めた。
▽ ▽ ▽
「そろそろガチャをしたいんだけどな」
最近バタバタで『ガチャ』を使えていなかった。
「でも魔石はダンジョンに使っているからあんまり手持ちがないんだよね」
上位種の魔石以外はほとんど持っていなかった。
俺の予想だと上位種の魔石はコスパが悪いし、『ガチャ』以外の使い方が出来るので今まで使っていなかった。
「うーん。悩む」
俺が悩んでいるとゴーレが口を開いた。
「ヒューズ殿が呼んでいるみたいです」
他のゴーレムから連絡が入ったのだろう。
「わかった。じゃあマヌセラに行こうか」
「はい」
俺はゴーレと共にマヌセラに向かった。




