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243.まさかの再会

俺はレオに巨人達の回復を指示した。

クララもゴーレさんも満身創痍になっているようだ。

クララは本気を出した後はいつも頭を使うのを嫌がる。

そのせいでいつもバカみたいだ。


「ちょっとヒューズ!手伝ってよ」

リリアンが俺を呼ぶ。

無事だったようだ。

リリアンはメーサルを担いでた。

「平気だったようだな」

俺がそういうとリリアンは怒った。

「全然平気じゃないわよ。メーサルと肉弾戦した後、デカい魚のモンスターも倒す羽目になったんだから」

「肉弾戦?お前が肉弾戦するなんて子供の時以来じゃないか?」

「そうよ。コングさんに教わった、ジャーマンスープレックスを決めたやったわ」

「え?」

俺の脳裏に嫌な思い出がよぎった。

メーサルに少し同情をした。


「そっちも何とかうまくやったみたいね」

「おお。俺は何もやってないけどな」

「ヒューズは想定外の事が起きた時のために戦わない方が私は安心するけどね」

「そうか?」

「でもこの街の壊滅具合はどうにかできなかったの?」

「すまん」

リリアンの言うとおりだった。

街の人を守ることはできたが、街を守ることはできなかった。

「これはどうにか復興しないとダメだな」

「そうね…」

俺達は頭を抱えた。


「おい!その女を渡してくれないか?」

「え?」

声の聞こえる方向を見ると、大剣を背負った男が立っていた。

「お前は誰だ?」

男はニヤッと笑った。

「俺を知らないのか?」

「ああ。申し訳ないが知らないな」

「俺はジャンガルだ。名前は聞いたことあるだろ?」

「いやまったく。知ってるかリリアン?」

リリアンは首を振った。


ジャンガルは高笑いをした。

「ハハハハハ!俺を知らないのか残念だな」

急に空気が変わった。

「その女を渡せ。ついでに俺の事も記憶しろ」

「残念ながらそれは無理だ」

「そうか…残念だ」

ジャンガルはそういうと足に何かを刺した。

「ハハハハハハ!くそ女ぁ!無駄に魔力を使いやがってぇ!」

ジャンガルは明らかに様子がおかしくなった。

「何でそんなアホ女を俺が助けに来なきゃいけねぇーんだよ!巨人も3体も使い潰しやがってぇ!」

俺は斧を構えた。


すると目の前に居たジャンガルは一瞬でいなくなった。

そのかわりジャンガルの居た場所にはオークがいた。

このオークも雰囲気がおかしい。

「おい。お前、もしかしてカラッカを襲撃したオークか?」

オークはこっちを見るが何も言わない。

「リリアン。いつでも動けるようにしておけ」

「うん」

俺達は再度武器を構え直した。


「ヒューズ!リリアン!デカくなったな?」

俺は聞いたことある声が聞こえ、振り向いた。

そこには子供の頃、1か月ほどだったが俺に戦い方を教えてくれた黒髪の冒険者が居た。

俺が出会ったころと何一つ変わっていないその姿に俺は目を疑った。

「え?こ、コータさん?」

「おう!久しぶり!」

「「お久しぶりです…」」

俺は混乱していた。

リリアンを見るとリリアンも混乱しているようだ。


「悪いけどあの男、俺らが貰っちゃっていいか?」

「え?」

「さっきオクスがぶん殴って吹っ飛んだ男」

そう言いながらコータさんはオークを指さした。

「え?ぶん殴った?」

俺の目には見えなかった。

あのオークのような人物はそれほどまでに強いということなのか?


俺が混乱していると、コータさんが喋り出す。

「いいか?それにしてもリリアンはだいぶ綺麗になったな」

「あ、ありがとうございます…」

「リリアンは昔と変わらず静かでおしとやかな良い女性になったな」

リリアンは緊張しているのか、昔のようになっている。


「あの…あの男を渡すのは問題ないんですけど」

「そうか、ありがとう!お礼にこれ渡しとくよ」

コータさんは何かを投げた。

俺は受け取って見てみると白い繭のようなものが3つだった。

「これは?」

「回復してくれるマジックアイテムだ。あの巨人に使ってやれ」

コータさんは遠くで気絶している巨人達を指さした。

「あ、ありがとうございます」

「おう!それじゃ俺達はそろそろ行くわ!」

コータさんは走り出そうとする。

「忘れてた。俺達の事と、あの男の話はお前ら2人の中にしまっておけ」

「え?なんでですか?」

「ややこしくなるから!」

「は、はい。わかりました」

「じゃ!」

そういうとコータさんとオークのような男は走り去っていった。


「おい、リリアン」

「え?ごめん」

「なんか緊張したな」

「うん。何でだろう…。私達もそれなりに強くなったから?」

「ああ。あれには勝てないな」

俺達は子供の時には気付けなかったコータさんの強さの圧を感じた。


「とりあえず、貰ったこれを使ってくるわ」

「私も行く」

リリアンはなぜか俺の袖を握っている。

子供の時のことが懐かしくなった。


▽ ▽ ▽


コータさんから貰ったマジックアイテムは3人の巨人を包み込んだ。

これで回復できているのだろうか。

「とりあえず様子見だ」

「そうね。それにしてもこの街の状況、ライルくんに怒られそう」

「あっ!」

俺は一番厄介なものを思い出した。

「あーなんか案を考えておかないとダメかもな…」

「とりあえずこれ以上街が壊れない様にしよう」

「それは絶対ね」

俺とリリアンは固く誓った。


「リーダー!タックが陸に!」

「え?」

クララに言われて海の方を見ると、タックがゆっくりだがこっちに向かってきていた。

「おい!だめだ!」

タックは海から一直線で俺らのところに来ているようで、通った場所にあった建物が全部破壊されていた。

俺とリリアンは頭を抱えた。



タックを止めるべく近づいていくと、タックに咥えられて甲羅の上に乗せられた。

甲羅の上には爆睡しているノヴァが居た。

「『海獣化』を使ったみたいだな」

俺はノヴァを担いでタックから降りた。

するとタックは海へ帰って行った。

建物をなぎ倒しながら。






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