表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/389

242.マヌセラ防衛戦⑤

船が燃えて沈んでいく。

攻撃の衝撃で乗組員は気絶した状態で海に浮かんでいる。

ただ1人を除いて。

「ねぇ。あなた魔法使いなんでしょ?このままだと部下が死んじゃうから、この火を水魔法で消してくれない?」

こいつがメーサルだろう。

ヒューズが言っていた様に戦える雰囲気を感じる。

それにメーサルの下にいるモンスターはなんだ?

さっきの雷魔法はそいつの攻撃のはず。

「ねー聞こえてないの?火を消せないの?」

メーサルはこの状況を分かっていないような口ぶりだ。


「バブルクラウド」

船の上に大きな雲が現れ、水の泡が降り注ぐ。

ぶつかると泡が弾けて船を鎮火していく。

「これでどう?まああなたも濡れちゃったから、さっきの雷魔法は使わない方がいいわよ」

「ありがと。使えない部下だけど、拠点に帰ったらやってもらうことがたくさんあるから助かったわ」

「あなた、この状況で帰れると思ってるの?」

メーサルはニヤッと笑った。

「帰れるわよ?」

メーサルがそういうと海の中から光る何かが出てきて、私に向かって雷を飛ばしてきた。

「ストーンシールド」

石の盾を出して雷を防いだ。


メーサルを見ると感電していない。

「なんで感電していないのかしら」

メーサルは手を見せながら口を開く。

「これよ。この指輪は雷を吸収するのよ。だからもともと感電なんてしないのよ」

「なるほど。それでそろそろその下に居るモンスターを拝んでおきたいのだけど」

「え?グラーモちゃんを見たいの?かわいいわよ」

メーサルがそう言うと海面が上昇していく。

出てきたのは先端が光る玉の触覚が頭ついている魚のモンスターだった。

「どう?かわいいでしょ?」

「はい?よくそんな気味が悪いモンスターに乗ってられるわね」

メーサルはため息をついた。

「はぁー。これだから魔法使いはセンスがないのよ?」

私はこの女の態度が気に食わなかった。


「さっきから魔法使い魔法使いうるさいけど、何か恨みでもあるの?」

「恨み?ミャハハハハハ!あるわけないじゃない。魔法使いなんて冒険者の中で一番弱いのに」

「はぁ?」

「だってそうでしょ?遠距離から攻撃して、敵が近距離になったら戦えない。あなたのその良い装備も打撃や近接の防御特化でしょ?ミャハハ!まあそうよね、近づかれたらやられちゃうんだから」

こいつは魔法使いを舐めきっている。

「それならどっちが強いかやってみる?」

「ミャハハ。良いわよやりましょ。私とグラーモちゃんをあなたが倒せるとは思えないけどね」

メーサルがそういうとブス魚は雷を飛ばしてくる。

私は風魔法を使って雷を避けていく。

「ミャハハハ。その風魔法がうざいなー」

メーサルは手のひらを私に向けた。

「縛っちゃうね」

メーサルは掌を握った。

「え?あれ?」

私は風魔法を急に出せなくなり海に落ちた。

何が起きた?私は状況が理解できなかった。


「ぷはっ!」

「ミャハハ!自慢の魔法が使えなくなった気分はどう?」

この女、やっかいなスキルを持ってるみたいね。

私は土魔法を使い、海の上に足場を作った。

土魔法は使える。

「土魔法も縛っちゃおうか」

メーサルはまた手のひらを私に向け、拳を握った。

土魔法が出なくなった。風魔法も出ないままだ。

これはさすがにちょっとまずい。

「土と風が使えなくて、グラーモちゃんの攻撃は防げるのかな?」

バリバリバリ!

目の前から雷が飛んできた。

「エレキボール!増殖!」

私は大量のエレキボールで雷を分散させた。


「えー。雷魔法も使えるんだー。もう魔法全部うざいね。縛っちゃおうか」

まずい。防ぎ方がまだ分かっていない。

メーサルはまた手のひらを私に向け、拳を握った。

「え?うそ?」

私は何度も魔法を出そうとするが、どの魔法も出すことができない。

「ミャハハハ!もう魔法使いじゃなくなっちゃったね」

「え?え?なんで…」

「じゃあ私も時間がないの。速く拠点に帰らないとだから。グラーモちゃんおねがい」

触覚の先端が今まで以上に光る。

これは避けられない。

バリバリバリバリ!

私の身体に雷が直撃した。

「ぐっ!」

私はその場に倒れた。


▽ ▽ ▽


「ミャハハハ!だから魔法使いは弱いのよ」

私のエクストラスキル『束縛する女』で魔法を縛っただけで何もできなくなる。

この魔法が使えない魔法使いちゃんに船を壊されちゃったせいで、拠点に帰るのが遅くなってしまう。

「やっぱり鬱憤は晴らさないとね。それに魔法使いは雑魚って身体に刻んであげないと」


私は魔法使いちゃんが倒れている石の足場に飛び乗った。

「こんな状態になっちゃって。魔法防御に特化してないからこうなるのよ」

私は魔法使いちゃんを立たせる。

「グラーモちゃん!」

バリバリバリバリ!

「ぐっ!」

グラーモちゃんの雷が魔法使いちゃんの身体に直撃する。

私は指輪のおかげで無傷だ。


私は魔法使いちゃんに何度も何度も雷を浴びせ続けた。

「ミャハハ!もうボロボロじゃない」

髪の毛を掴む。

「魔法なんか練習した意味あった?ないよね?こんな簡単に負けちゃって」

魔法使いちゃんは意識がもうろうとしているようだ。

「最後は私が魔法使いちゃんのこれまでの人生がいかに無駄だったかを伝えてあげるね」

魔法使いちゃんは返事をしない。

「私が装備で守れないかわいいお顔をボコボコ殴ってあげるね」

「…増殖」

「え?何か言った?ん?」

私は何者かに肩を叩かれた。

「え?だれ?」

無理やり身体を振り向かされると目の前には魔法使いちゃんが居た。

私は混乱した。

魔法使いちゃんが2人いる。

しかもものすごい力で掴まれているせいで動けない。

「な、なんで?魔法使いちゃん?それに2人?」

魔法使いちゃんはニコニコしている。

「さ、さっきまでボロボロだったのに」

「どうして私の装備が魔力防御じゃないと思ったの?」

「え?でも、さっきまで朦朧としてたじゃない」

「知らないの?圧倒的な勝利より、劣勢から逆転するほうがかっこいいのよ」

「え?演技?」

「私の師匠の教えよ」

魔法使いちゃんはそう言うと私を離し、高く跳びあがり私を蹴り飛ばす。

「ぐっ!」

私は飛ばされ何かに背中をぶつけた。

もう一人の魔法使いちゃんだ。

魔法使いちゃんはもの凄い力で私の身体に抱き着いている。

「私、肉弾戦も得意なのよ」

魔法使いちゃんは私の身体に抱き着いたまま後ろに倒れこんだ。

私はその勢いで頭から地面に叩きつけられた。


「ジャーマンスープレックスとか、子供の頃にヒューズにした以来だったけど意外とできるものね」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ