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235.ノヴァの不運

俺達は海を巡回することになった。

卵を撒いてる奴を捕まえて、吐かせるのが一番の証拠になる。

ライルが帰ってくるまでに、徹底的につぶすための証拠集めだ。

「ノヴァ。お前その釣竿を使うなよ」

「わかってるよ。今日乗る船はお父さんの最後の船だから壊れるような不運が起きたら困るからね」

「信用してるからな」

「うん」

ノヴァに釘を刺し、俺達は海へ向かった。


▽ ▽ ▽


俺達は海で大量発生したハングリーシェルと戦っていた。

俺の腕を何体ものハングリーシェルが貝殻で挟んでいた。

「攻撃はまったく痛くないが煩わしいな」

「そうね。魔法も聞きにくいし」

リリアンはそう言いながら杖でハングリーシェルの殻を砕いていた。

「リーダー!上位種来たよ」

クララが指差す方向を見ると、ハングリーシェルの3倍ほどでの大きさのモンスターが居た。

「ノヴァ。あれは?」

「ジャグシェルだね。貝殻がハングリーシェルと違ってギザギザだから気をつけて」

「わかった。お前は手を出すなよ」

「うん。あっ!」

ジャグシェルは船に噛みつこうと近づいてきていた。

「お父さんの最後の船なんだから壊さないでよね!」

ノヴァはマジックバックから釣竿を取り出した。


「おい!やめろ」

ノヴァは俺を無視して、釣竿の持ち手に付いている数字が書いてある回転盤を回した。

「4!くらえ!」

ノヴァが釣竿ジャグシェル目掛けて振った。

すると釣竿の先についている針が飛んで行った。

針はジャグシェルに近づくにつれて形を変えていき、大きな鉄球になりジャグシェルの殻を砕いた。

「よし!お父さんの船は壊させないからね」

ノヴァはジャグシェルを倒した。


俺はその様子を見て、頭を抱えた。

「おい。戦うなって言ったよな?」

ノヴァはジャグシェルの死体を漁っていた。

「だってお父さんの船が壊されそうだったから」

「髑髏じゃなくて良かっただけだぞ」

「…ごめん」

俺は再度、ノヴァに釘を刺した。


「リーダー!また上位種かも」

クララが叫んだ。

船が大きく揺れた。

「まじかよ。髑髏は出てないんだよな?」

「出して無いよ!」

海が盛り上がってくる。

その中から大きなカメ型のモンスターの顔が出てきた。

「デカすぎだろ…」

船より身体がデカいのが顔を見ただけでわかった。

「みんな!気合入れろ!」

俺はみんなに喝を入れ、斧を構えた。


「ちょっとまって!」

ノヴァが叫んだ。

カメの顔はどんどんノヴァに近づいていく。

「え?本当に?」

ノヴァはなぜか驚いている。

ギャーム!

カメのモンスターはなぜかノヴァに頬ずりをした。

「は?」



俺は謎の光景に唖然としていた。

「どういうことか説明してくれ」

俺がそういうとノヴァがカメを撫でながら口を開いた。

「うちが冒険者になる前に仲良くなったモンスターなの」

「は?」

俺は理解が出来なかった。

「うちのエクストラスキルって『海獣に愛されるもの』でしょ?海のモンスターと仲良くなれる能力もあるの。まあ魚のモンスターとは仲良くなれないんだけどね」

「そんな効果もあるのか。ということは『テイム』を取得してるのか?」

「ううん。してないよ」

「エクストラスキルだからって思うしかないのか」

謎が深まったが、ひとまず安心した。


「それでこのモンスターはなんて種類なんだ?」

「タック!えーっとキャリータートルだっけ?昔はこんなに大きくなかったんだけどね。甲羅に開けられる場所があって、釣りの餌とか入れてたんだよ」

「進化したってことか…。このサイズなら人も入れるんじゃないか」

「え?やってみる!いい?タック」

ギャーム!


ノヴァはそういうとタックの甲羅にのぼった。

「ここだった気がするんだけどな」

ノヴァは甲羅を触り始めた。

するとノヴァの姿が消えた。

「「「え?」」」

俺らが驚いていると、ノヴァの姿が現れる。

「すごいよ!みんな来て!」

ノヴァに呼ばれて、俺らもタックの甲羅の上に乗った。

「甲羅のこの部分に触れてみて」

「わ、わかった」

すると俺達の身体はどこかに転送された。


転送された場所はもの凄く広かった。

「なんだこれ…これは甲羅の中だよな…」

「そうみたいね」

半球体のような空間で、甲羅が透明になっていて外が丸見えだった。

「外からは見えなかったよな」

「うん…」

家具なんかを持ってきたら、この空間で生活ができるレベルだった。

俺達が唖然としていると、ノヴァが口を開く。

「出るときはここに触れると出れるよ」

ノヴァが触れると姿は無くなり、天井の上に居た。


▽ ▽ ▽


俺達はタックと別れ、家に帰ってきた。

ノヴァはタックにモンスターの討伐をお願いしていた。


家にはゴーレさんが居た。

「おっ!ゴーレさん。ガスター商会はどうだった?」

今回ゴーレさんはライルについて行かず、俺らのサポートをするために残ってくれた。

なので俺達が大量発生を討伐に行っている間、ゴーレさんにガスター商会を見張ってもらっていた。

「特に大きな動きはありませんでした。マジックアイテムの船は何隻か港から出ていきましたが、普通に漁をしていたようですぐに帰ってきました」

「そうか…」

「街の方々にそれとなく話を聞いてみたら、この街には商会長はいないみたいです。商会長の代わりにメーサルという女性が責任者をしているそうです」

「なるほど…」

「メーサルは数日前に一番大きなマジックアイテムの船でどこかへ行ったそうです」

「卵の調達をしに行った可能性があるな。ゴーレさんありがとう。明日もよろしく」

「承知致しました」

ゴーレさんは頭を下げるとまた街へ行った。


「ノヴァ。明日も海を巡回するんだろ?」

「うん。そのつもり」

「卵を撒いてるやつらを捕まえないとな」

「うん」

「タックにも協力してもらえればいいな」

「そうだね。会えたらお願いしてみる」

そういうとノヴァは家に帰って行った。


俺達もレストランで食事をしに、一度村へ戻った。



▽ ▽ ▽



翌日。

俺達は海に出ようと港に行くと、ガスター商会の港に大きな船が泊まっていた。

「あれか?メーサルってやつが乗ってたって船は」

「そうかもね。港に泊まってるってことは帰って来てる…」

「卵を調達に行ってたとしたら、今日か明日に卵を海に撒きに来るかもな」

「警戒しないとダメそうだねー」

「なんかあったらゴーレさんが報告に来てくれるはずだ」

俺達はノヴァと合流し、昨日のように大量発生を探しに行った。


▽ ▽ ▽


異常なことは何も起きなかった。

大量発生にも遭遇しなかった。

俺達の考えすぎだったのか。


船をズサスさんに返し、家に向かおうと思っているとゴーレさんがやってきた。

「ヒューズ殿!」

「どうでした?」

「それが…。見たことのない種族が鎖に繋がれていました」

ゴーレさんは無表情だが深刻そうに話す。

「見たことのない種族?」

「はい。巨大な人です」

その情報で思い当たる種族は1つしかなかった。

「巨人族か…」




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