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219. ライとヒューとリリとクー

俺達はポゼッションドールを使い、カラッカの街に来ていた。

今回は昼食をしっかり取り、昼過ぎからの稼働だ。


クララさんは5歳の身体ではなく、10歳の身体にしてもらった。

カラッカの街では冒険者の格好をしている5歳が目立つそうだ。主に俺と弟子達が原因で。

身体を放置するわけにもいかないので、ゴーレにもしっかりついてきてもらっている。


「ライ、どこに行きたい?案内してやるよ」

「どういうものに需要があるのかを見たいので、色んな店に行きたいです。あと朝早くに出て行った弟子達の進捗が少し気になりますね」

「じゃあ少し街を見て回ってから冒険者ギルドに行くか。さすがにこの姿で気付くやつはいないいだろう」

「お願いしますね」

俺達はノリノリだった。


ヒューズさん達に最初に案内されたのは、領主館だった。

近くまではさすがに行けないから遠目で見たが、ものすごく反省した。

建物の豪華さは完全に負けているが、サイズは領主代行館がちょっと勝っていた。

「お前がどんだけ異常なものを建てたかわかったか?」

ヒューズさんはドヤ顔で言ってくる。

だいぶむかついた。

「はい。ちょっと反省しましたので、疾風の斧の家を小さくしようと思います」

「ちょっと!ライルくんを鬼モードにさせないでよ」

「そうだよリーダー!鬼ライルは本当にやるよー」

俺の発言のせいでヒューズさんが2人に詰め寄られていた。

こういう状況になるとすぐヒューズさんが責められるのが面白かった。


次に来たのは市場だったが、昼過ぎだったので店が少なかった。

ここには1度来たことあったが、その時とあまり品揃いは変わっていなかった。

変わっている商品はあったが、商人ギルド直営店でライル商会の商品が売られているだけだった。

「うーん。あんまり参考にならなそうですね」

「遠方から来た店がないからしょうがない」

「また時間あるときにでも見にきます」

「おう。この後どうする?屋台でも行って、なんか食うか?」

「ヒュー、この身体じゃご飯は食べれないでしょ」

「そうだった。じゃあ目的の冒険者ギルドにでも行くか」

「はい!」


俺達は冒険者ギルドへ向かった。


▽ ▽ ▽


冒険者ギルドについた。

この目線で見るのが新鮮すぎて、すこしワクワクした。

昼過ぎだからか、冒険者の数はそれほど多くなかった。

ギルド内の掲示板には、光剣の輝きがダンジョン攻略したことが書いてある紙が張り出されていた。

「やっぱなんか嫌だな」

「おいおい。あいつらも心入れ替えたらしいから、大目に見てやれよ」

「わかってるんですけどね」

ヒューズさんに宥められるが、やっぱり少しむかつく。


俺達が冒険者ギルド内を見物していると、大声を上げた冒険者がギルドに入ってきた。

「ダンジョンが消滅したぞ!」

それを聞いた、職員が冒険者に問いかける。

「それはどっちのダンジョンですか?昨日発見された方ですか?それとも光剣の輝きが攻略中のダンジョンですか?」

「光剣が攻略しているほうだ」

「なんと、2つも攻略してしまうとは。さすが元Bランク冒険者」

冒険者の報告に職員は驚いていた。

その様子を見た冒険者は慌てて口を開いた。

「ち、ちがう。攻略したのは、鬼将軍のところのやつらだ」

「えっ!」


俺はそれを聞き、にやけが止まらなかった。

横を見ると、ヒューズさん達もにやけていた。


「ということは、鬼将軍の剱と鋭牙ですね。昨日攻略始めたばかりなのにすごい。ちょっとギルドマスターに報告してきます。鬼将軍の剱と鋭牙はこちらに向かってるんですね?」

「いや、ダンジョンがあったところで呑気にうまそうな飯を食ってたよ。たぶん報告に来るのはあとになると思う」

「え?わ、わかりました。とりあえず私はギルドマスターに報告してきます」

職員は首をかしげながら2階へ行った。

普通は自分の功績をすぐに報告したがる冒険者が、報告にも来ないで飯を食べてるのが理解できなかったのだろう。


俺は弟子達の頑張りに満足していた。

「褒めてあげないとですね」

「そうだな。まあ10階層レベルのダンジョンなら、過剰戦力なんだけどな」

「そうね、剱も鋭牙もテイムモンスターいるしね」

「でも褒めてあげないとねー」

俺達はあまり目立たない様に、ギルドの端っこで弟子達が来るのを待つことにした。


すると先ほど報告に行った職員が入った部屋から、女の子が出てきた。

「ダンジョンの報告に来た方はどなたですか?」

いきなり呼ばれた冒険者は、声の主を見てビビッていた。

「お、王女殿下。わ、私です」

「貴方ですか。わざわざ報告ありがとうございます。攻略をした冒険者達に会いたいのですが、呼んできてもらうことはできますか?」

「は、はい。今すぐ!」

冒険者は走って、ギルドの外へ出て行った。

その様子を見た王女は、部屋に戻って行った。


俺とヒューズさんはお互いの顔を見た。

「ライ、まずいぞ」

「まずいですね。俺、この場に居たくないんですけど」

「俺もだ」

「駄目よ。あの子達が失敗するとは思えないけど、もし粗相でもしたらフォローしてあげないと」

「いやでも…」

俺とヒューズさんはだいぶ難色を示していた。

するとゴーレが口を開いた。

「何かありましたら、私が対応致しますよ」

「ほんと?」

「既に私は少し目立っているようです。光剣の輝きとの模擬戦を見ていた人が意外といるのかもしれません」

そう言われて周りを見てみると、ゴーレに視線を向けてる人がちらほらいた。


「じゃあホントごめんだけど、何かあったらお願い」

「承知致しました」



数分後。

冒険者に連れられて、剱と鋭牙がやってきた。

ニーナはゴーレに気付いたようだが、俺達には気づいていないようだ。

冒険者が職員に報告に行くと、職員が2階に上がって行った。

すると部屋から、ギルドマスターと王女と甲冑を着た男性が2名出てきた。


4人は剱と鋭牙の前まで来ると、ギルドマスターが口を開いた。

「ダンジョンを攻略したと聞いたが本当か?」

ギルドマスターの問いにニーナが答える。

「はい」

「光剣の輝きが数日前から苦戦していた、コウモリ型のモンスターがいる階層はどうやって攻略したのだ?」

「私達のパーティには空を飛べるテイムモンスターが居るのでその子達にお願いしました」

「なるほど。ダンジョン討伐の証明はもっているか?」

「はい」

ニーナはアイテムバッグから割れたダンジョンコアを取り出した。

「王女殿下。本当のようです」


ギルドマスターにそう言われ、王女は口を開いた。

「本当に私よりも年下の冒険者なんですね。セフィーナは元気ですか?」

「は、はい。セフィーナちゃ、セフィーナ様は元気にされています」

「ふふふ。セフィーナとも仲良くしているようね」

「は、はい」

さすがのニーナも緊張しているようだ。


王女は隣にいる甲冑を着た男性に話しかけた。

「オステオ、この子達もメンバーに入れたいわ」

「本当ですか?雷虎の拳と光剣の輝きとセフィーナ様の村にいる疾風の斧だけでいいんじゃないですか?」

「いいえ。疾風の斧もメンバーに入れますが、この子達ともう1つのダンジョンを攻略したパーティも入れますよ」

「そんな大所帯で平気ですか?」

「大量発生の原因を突き止めるためです。私は王国内でいざこざを起こしている馬鹿者を早く見つけ出したいのです」

「わかりました。ではアイリーン様からお伝えください」

するとアイリーン王女は鬼将軍の剱・鋭牙の方を向いた。

「鬼将軍の剱・鬼将軍の鋭牙の両パーティは、数日後に出発する大量発生の原因の調査及び排除を目的とした遠征に参加を命じます」

「「「「「は、はい」」」」」

「貴方達はセフィーナの村で暮らしていると聞きました。私もセフィーナに会いに村に行く予定ですので、村で出発の指示を待ちなさい」

「「「「「わかりました」」」」」

「そして、ここにいる冒険者の方々にお伝えします。もう1つのダンジョンを攻略したパーティにも遠征に参加してもらいます。遠征に参加したパーティには報酬を王族から渡します」

「「「「「「おー!」」」」」」

ギルド内の冒険者たちは沸いていた。

俺からしたら、だいぶまずいことになってしまった。

「ですのでみなさん。ダンジョンに挑戦をし、攻略を目指してください!私はみなさんに期待しております」

「「「「「「うぉおおおー!!!!!」」」」」」

ギルド内の熱量は最高に上がっていた。


剱と鋭牙が捕まったのはまずかったが、剛角と強弓は村に帰ってきたらダンジョン攻略をやめるように伝えよう。

俺がそんなことを考えていると、冒険者が大声を上げてギルドに入ってきた。

「ダンジョンが消滅した!攻略したのは鬼将軍のところのやつだ!」

「攻略した冒険者たちは今どこに?」

「ダンジョンがあったところで食事を、、え?王女殿下?」


俺は頭を抱えた。

横を見ると、疾風の斧も頭を抱えていた。




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