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210.家族の再会

「じゃあ始めますね」

「わかりました」

キョトンとしてる3人を放置し、大改造を始める。


バッフン

バッフン

バッフン


壁壁壁壁壁壁壁壁

壁庭家家食店店店

壁庭道道道道道道

壁厩道未未未未未

壁未道道道道道道



家と庭の場所を移動させ、元々うちとマリーナさんの家の2棟だったのをだいぶ大きめの1棟にした。

うちの冒険者パーティは疾風の斧も合わせると5パーティもいるため、大部屋を多めに用意した。

厩舎もだいぶ大きくし、横には馬車置場も作った。

石塀でしっかり囲い、門扉(大)を設置した。

家の横にはレストランと店舗を3つ建てた。

俺の中の想定では、パン屋・武器屋・服屋をイメージしてカスタマイズをした。



「えっとこれは一体・・・」

3人のうち、唯一声を出せたのはリーラさんだった。

「慣れなさい。一緒に行くヤルク村では日常茶飯事だ」

「は、はい」

「そこの2人も慣れてもらわないと困るからな」

「「は、はい!」」

フィーゴさんとシェリィさんもあわてて返事をした。


「ライルさん。この3人には例の事を伝えてもらいたいのですが」

「全員ですか?」

「リーラとフィーゴは絶対に裏切りません。フィーゴの妻になるシェリィも信用していいと思います」

「わかりました。一応本人たちの覚悟だけ確認いただけると」

「はい。わかりました」


そういうと、アイザックさんは3人のもとに行った。

「これから最後の引き継ぎを行うが、この引き継ぎをしてしまうとあとには戻れなくなるがいいか?」

「え?どういうことですか?」

「私達が何か重要な情報を知るってことですか?」

「そうだ。親にもギルドマスターにも言ってはいけない」

3人は考え込んだがフィーゴさんが口を開いた。


「僕はアイザック先輩が手を差し伸べてくれなければ、あてもない状態でシェリィとどこかに行くところでした。家族から離れさせてくれて、家も仕事も用意してくれた先輩を裏切ることはしません」

「私もです」

フィーゴさんとシェリィさんがそういうとリーラさんも口を開いた。

「私は新人の時代からアイザック先輩の部下ですからね。地獄だとしてもついて行きますよ」

「わかった。ライルさん問題ありません」

「了解です。じゃあついて来てください」

4人は俺について、家に入って行った。



俺は1階のリビング横の部屋にみんなを案内した。

「この部屋になんかあるんですか?」

「まだ何もないですよ。秘密通路作成!」

俺はマップを使い、学び舎へ繋いだ。


「え?ドア?でもこの先って壁ですよね?」

俺はすぐにこの4人を含めた、秘密の通路を使う可能性がある人を登録した。


「開けて入ってみてください」

3人は秘密の通路を通った。


「え?ここは一体」

「町の城壁の裏ですか?」

「いえ、ここはヤルク村です」

アイザックさんは俺の代わりに説明してくれた。

「ライルさんのスキルでカラッカの街とヤルク村を繋いだんです」

「「「えー!!」」」

とりあえず、3人になれてもらうために、温泉施設やレストランなどの案内をアイザックさんにお願いした。


俺はちょっと疲れてしまったので、カラッカの拠点に戻って細かいカスタマイズをしながら待つことにした。

疲れた様子の俺を見て、チャールズ兄とニーナがついてきた。


「師匠。お昼ご飯食べてないでしょ?なんか僕が作るね」

「ありがとう、チャールズ兄」

「ライルくん。何か手伝えることある?」

「うーん。そしたらここの厩舎とヤルク村の厩舎を秘密の通路で繋ぐから、みんなが通れるかどうか試してくれない?」

「わかったー」

ニーナはすぐに厩舎に向かった。俺はディスプレイをいじり、秘密の通路を繋いだ。



チャールズ兄が作ってくれたご飯を食べながら庭を見てみると、フリード・グーちゃん・ライドンが居たので無事に通れたことが分かった。

庭からニーナちゃんが走ってやってくるのが見えた。

「どうしたの?」

「いま、ネイサンって人が来て」

「わかった。なにか商品が入ったって話かな?」

「うん。そう言ってた」

「わかった。ちょっと行ってくる」

俺はヤリネ奴隷商へ向かった。


▽ ▽ ▽


俺が奴隷商に入るといつものようにヤリネ商会長が待っていた。

「ライル様。お久しぶりでございます。また拠点を大きくしたと聞きました。それにダンジョンも攻略されたと」

「本当に情報通ですね」

「情報はとても重要ですからね」

ヤリネ商会長はニヤニヤしているが、なぜか不快感はなかった。

片手で数えるレベルでしか関わってないが、ヤリネ商会長は何か理念に基づいて仕事をしている様に感じるからだ。


「それで今回は?」

「エルフとドワーフです」

「うちの村にはもういますけど、俺みたいな子供の奴隷になることに納得してるんですか?」

「いえ、まったく」

「なら・・・」

「いえ、一度お話してください。双方の利害は一致するはずです」

ヤリネ商会長のいうことを一旦信じて会うことにした。



数分待つと、1人の男性エルフと1人女性ドワーフがヤリネ商会長と共に部屋に入ってきた。

「こちらが、今回ライル様にお売りしたいエルフ15名の代表のバイロとドワーフで細工師のイルデンです」

「2人共、初めましてライルと言います」

2人は俺の事を無視した。


「ヤリネさん。助けてくれたのには感謝していますが、こんな子供の奴隷になれって言うんですか?」

「アタイも嫌だよ。目的があってここまで来たのに。子供の奴隷になったら、目的をあきらめなきゃいけなくなる」

「ははは。まあそうなりますよね。今回は難しそうですよヤリネ商会長」

ヤリネ商会長の意図があると思っているので、完全には諦めていなかったが、

今までで1番感触が良くないので俺はほとんど諦めていた。


「うーん。このままでは良くないですね。ではまずイルデンさん。貴方の目的を聞いてもよろしいですか?」

イルデンは少しあきれたようだった。

「話すのかい?」

「はい。お願いします」

イルデンはいやいや口を開いた。

「アタイは最近この辺で売り出されている武器を探しに来たんだ」

「武器?」

「その武器はどこからどう見てもアタイの知っているドワーフが作ったものなんだ。もう鍛冶なんてできないはずなのになんで売り出されているのか調べに来たんだ」

「なるほど」

ヤリネ商会長が進める理由が分かった。

「ちなみにその鍛冶師とはどんな関係なんですか?」

「妹だよ!」

「わかりました」

「こんな話して何になるんだよ」


「では続いてバイロさん。貴方の場合は、家族構成をお話しするのがいいと思います」

「いいですよ、ヤリネ商会長。顔が似すぎてます」

「さすがライル様」

「とりあえず1回家帰っていいですか?ちょうど家にいるので」

「わかりました。お待ちしております」


俺の能力なのかヤリネ商会長の能力なのか。

こんなドンピシャなことがあっていいのだろうか。

俺はヤリネ商会長の底知れぬ凄さについて考えながら、家に帰った。


▽ ▽ ▽


俺はまた奴隷商に来ていた。

今度はガルスタン・マデリン・ビューロ・フォーリアを連れてだ。

「なんか数日前にここにいたのに懐かしいですな」

「そうですね。村に来てからが濃いですから」

「ライル様はなんでここに私達を連れてきたんですか?」

「まさかオイラ達を売りに?んなわけないか。そうなると謎が深まる」

「ははは。なんか俺もわかんないんだよね。うまくいけばサプライズで、うまくいかなかったら変な空気になると思う」

4人は俺の言ってることが理解できていないようだった。


「わかりました。変なサプライズでも喜びます」

「私も喜べます」

「私も」

「おいらも出来るだけ喜ぶようにします」

「ははは。その気遣いがつらいんだけど」


俺達は従業員にさっきまでいた部屋に案内された。

扉を開けると、4人が言葉を失った。


「え?イルデン?」

「イルデンちゃん」

「あ、兄貴?それに姉貴!」

「バイロなのか?」

「え?バイロ君よね?」

「兄さん?それに義姉さんも。何でここに?」

両家族は泣きながら抱き合っていた。


積もる話もあるようだから、俺とヤリネ商会長は部屋を出た。

「繋がりのある奴隷を見つけてくるのはスキルなんですか?」

「ははは。そんなスキルはありませんよ」

「じゃあなんで?」

「奴隷になるべくしてなったものも居ますが、無理やり奴隷にさせられたり、志半ばで奴隷になるしかなかった人を私のもとへ連れてきてくれる人達がいらっしゃるんですよ」

「人達?」

「まあそこは企業秘密です。お得意様のライル様に話せる秘密だと、私が元奴隷だったということくらいですかね」

「え?」

「私の理念はその奴隷時代から救ってくれた人の理念をまねているだけなんです」

「なるほど」

「なので今、奴隷たちが一番幸せに生きられるライル様のところに今後も売りますのでよろしくお願いしますね」

「値引きとかしてくれると助かるんですけどね」

「私も商売でやらせていただいておりますので」


初めてヤリネ商会長とちゃんと話し、なんとなくだが信用できるととても感じた。


▽ ▽ ▽


数分経ち、部屋に入ると両家族落ち着いていた。

「ライル様すまねぇ。これは素敵なサプライズだ」

「ありがとうございます」

「ライル様には今まで以上に感謝しかないです」

「本当にその通りです」

4人は俺に感謝を伝えてくれた。その様子を見ていたイルデンとバイロはきょとんとしていた。



「兄貴、なんでその子供に感謝してるんだ?」

「そうですよ。兄さんも義姉さんも!」

そういうイルデンとバイロの頭をガルスタンとビューロが殴った。

「何馬鹿なこと言ってんだ!お前、この腕が見えないのか?」

「腕?え?あれ?出会えたことがうれしくて気付いてなかったけど、兄貴の腕が治ってる」

「これを治してくれたのがライル様だ」

「え?」

「そしてオラとマデリンはライル様のもとで働いている」

「え?」


「私達もエルフの国から逃げ出して村を作って細々と暮らしていたら、エルフ狩りにあって奴隷になったところを助けてくれたのがライル様だ」

「え?奴隷に?」

イルデンもバイロも理解が追い付いていないようだった。


「本当にごめんなんだけど、俺この後予定があって」

「すみませんライル様、時間を取らせてしまい」

「いや、だいじょうぶなんだけど。さっきの話の続きだけどイルデンさんとバイロさんはどうする?」

「「え?」」

「いや、俺のような子供に買われるのがいやだって言ってたからさ」

ガルスタンとビューロがまた2人の頭を殴る。

「何生意気な口きいてんだ!」

「ライル様に失礼だぞ!」

「いやガルスタンも同じ感じだったけどな」

ガルスタンは少し気まずそうにした。

「とにかく、ライル様に頭を下げろ!それで一緒に暮らそう」

「バイロも、村のみんなを連れて一緒に暮らそう」


イルデンさんとバイロさんは少し悩んだが、一歩前に出てしゃべり始めた。

「ライル様、先ほどは失礼しました。買っていただきたいです」

「私もお願いします。村の者も一緒に購入いただけないでしょうか」

2人は頭を下げた。

「わかったー。ヤリネさんとりあえず奴隷購入費」

「確かにいただきました」

「あと奴隷解放費」

「今回も解放されるのですね」

「分かってましたよね?」

「ははは」


そのやり取りを見て、イルデンとバイロはきょとんとしている。

「ガルスタンとビューロ。悪いんだけど、なんで奴隷解放を?とかこれから何を?とか答えといてもらえる?」

「「わかりました」」


俺はビューロに近づき耳元で話した。

「秘密の通路使って村に行って、食事と温泉を宜しく」

「わかりました」

「秘密厳守ね。守れなそうな子が居たら、申し訳ないけど村には連れていけないから」

「はい。わかっております」


俺はヤリネ商会長の方を向いた。

「ヤリネ商会長。また何かあったら、いつでも呼んでください」

「ありがとうございます。またのご利用をお待ちしております」


俺はすぐに村に向かった。




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