208.レストラン改革
今日は久々にレストランに籠ると決めた。
チャールズ兄以外の弟子は、今日は休みだ。
休みだが、大半がライルダンジョンに行っているみたいだ。
チャールズ兄は強制的に俺に付き合わせている。
「ライルくん。今日は一体何を作るんだい?」
ブライズさんが目を輝かせながら聞いてくる。
「いろいろ応用が利く調味料をもってきましたので楽しみにしてくださいね」
俺はキッチンに入り調理を始めた。
俺が今回、粉末調味料製造タンクで作ったのはカレー粉だった。
まずは薄力粉を炒め、カレー粉を入れてルーになるものを作る。
その間に切っていたタマネギを炒め、水を少量入れてしんなりなるまで蒸し焼きをする。
水分を飛ばしたら、フレイムコッコの肉・ニンジン・ジャガイモ・ニンニク・ショウガを入れて炒める。
水は入れて少し煮込んだら、ルーを入れて少し煮込めば完成だ。
毎回料理を作るときに思うが、前世の記憶以上に料理ができるようになっている。
料理スキルのおかげなんだろうか。
「できました!パンと一緒に食べてみてください」
俺の調理工程を見ていた2人にカレーを差し出す。
「作っている段階でいい匂いがしていたからすごい楽しみだよ」
「どんな味か楽しみ」
2人はカレーをスプーンで掬い、口に入れた。
「え!美味し!」
「ちょっと辛いね」
2人はカレーの味に驚いていた。
「でしょ。これをもうちょっと硬くして、パン生地で包んでパン粉をつけてあげるとカレーパンというのができるよ」
「ホント?やってみたい!」
「いろいろ試してみて」
チャールズ兄は早く試したくてそわそわしていた。
「他にはどんな使い方が?」
「基本何でも合います。炒め物に入れてもおいしいし。やり過ぎると全部カレー味になっちゃうから気をつけて」
「わかったよ」
「じゃあいろいろ試してみて。ニンニクと一緒にいれたショウガも結構なんにでも使えるから、試してね」
「「わかった」」
チャールズ兄とブライズさんがキッチンに入り、いろいろ試し始めた。
「あっ!やばい忘れてた」
俺は急いで領主代行館に行き、セフィーナさんを呼びに行った。
新作を作ったと話したら、すぐにレストランに向かうことになった。
「セフィーナさん。これがカレーですよ」
俺はカレーは差し出した。
「あーいい匂い」
セフィーナさんはカレーを口に入れた。
「おいしいー!こんな美味しい料理初めてです」
「それはよかったです」
「スイーツの次に好きです。このカレーという料理」
セフィーナさんはカレーにはまったようだ。
ブライズさんとチャールズ兄が近づいてきた。
「ライルくん、セフィーナさん。私達の試作品の味見をお願いできますか?」
「是非」
「食べさせてほしいですわ」
そういうとブライズさんがスープを出してきた。
「あまり煮込めてないのですが、野菜とベーコンのカレースープです」
俺達はスープを口にした。
「ブライズさん!マジでうまいですよこれ」
「本当においしいです。朝ごはんのスープのメニューに追加してほしいです」
「わかりました」
「味の深みを出すために、野菜がなくなるぐらいまで煮込んでもよさそうですね」
「そうか。やってみよう」
ブライズさんはすぐに鍋を取り出し、調理を始めた。
次はチャールズ兄が料理をもってきた。
「ちょっとカレーの味が薄いんですが。食べてみてください」
チャールズ兄が持ってきたのはフレイムコッコのカレー風味から揚げだった。
俺達は1口食べた。
「チャールズ兄、これ最高」
「美味しいです。でもカレーの味がもっと濃くてもいいかもです」
「わかりました。改良してみます」
チャールズ兄もすぐに調理場へ戻った。
「今日じゃなくてもいいから、カレーパンの試作もお願いね」
「任せて!!」
ヒューズさん達が帰ってきたら、激ウマのカレーを食べさせてやろう。
▽ ▽ ▽
俺もキッチンに入った。
手にしているのはオークナイトの肉だった。
見るからにオーク肉より上質だった。
「薄くてしゃばしゃばの奴が好きなんだよな」
俺はオークナイトの肉を薄くスライスした。
ショウガをすりおろしてしょうゆや砂糖と混ぜて、薄くスライスしたオークナイト肉とタマネギを炒めた。
それをパンにレタスと一緒に乗っけて、マヨネーズを少し入れてパンで挟んだ。
「セフィーナさん。ショウガ焼きバーガーです。食べてみてください」
「食べます!!ハンバーガーってことは、手で食べていいのですか?」
「がぶっといっちゃってください」
セフィーナさんはバーガーは手でつかみ、大きな口を開けてかぶりついた。
「不思議な味です!ショウガ?って独特な風味なのにどんどん進んでしまう味です」
「でしょ?本当はお米で食べたかった」
「そのお米というものを早くアイザック兄様に見つけてもらいましょう」
「そうですね」
試作品作りはそのあとも続き、夕飯を食べにレストランに来た人達は試作品を食べさせられ、問答無用でカレーの虜になっていった。




