206.再チャレンジと防具の発注
翌日。
疾風の斧とレオとゴーレとライムはヤルクダンジョンに向かった。
弟子達には、ライルダンジョンのモンスター討伐と周辺で大量発生が起きているかのパトロールを頼んだ。
アイザックさんも疾風の斧がダンジョンに向かった少し後にカラッカに戻って行った。
俺はガルスタンがいる鍛冶屋に居た。
ついでにお願いしたいことがあったため、母さんとアリソンとマデリンも居た。
「防寒具を作ってもらったばっかりなのにごめんね」
「いいわよ。ライルのお手伝いならお母さんやる気が出ちゃうから」
「ありがとう」
「オラ達も元奴隷ですし、ライル商会の従業員ですから」
「ありがとう。助かるよ」
俺はまず確認を始めた。
「母さん。縫製部で今売り出せる服は?」
「持っていた服をシモン布で作ったものが男性3パターンと女性4パターン。シモン布の色も増えたから、それなりに種類はあるわ」
「俺が落書きで描いたやつは?」
「ワイシャツ・ポロシャツ・被るタイプのパーカー・ワンピース・ロングスカートは試作品はもうできてるわ。ジャケットはモンスターの素材を使って作ってみたけど何とかなりそう」
「小物は?」
「布で作った花が付いる髪をまとめる紐とカチューシャと髪留めのピンとクッションは販売用にもう作り出してるよ」
「了解。いい感じだね」
「楽しくできてるわ」
母さんは嬉しそうだ。
俺は4人に本題を伝えた。
「作りたいものは、ライル商会の制服なんだけど」
「制服?」
「見ただけでライル商会の従業員ってわかる服かな」
「なるほど、デザインは?」
「偉い人とかに会う人はシャツとジャケット。接客とか作業系の人はポロシャツとかかな」
「それなら試作品を持ってきますね」
アリソンが外に出て行った。
「マデリンにはその制服が暑かったり寒かったりしても着れるような能力を付与してほしい」
「わかりました。考えてみます」
少し待つとアリソンが戻ってきた。
「これはどうですか?」
渡されたシャツとジャケットはほぼ完ぺきだった。
「高級感あっていいね。シャツはシモン布の白でいいと思うけど、ジャケットはもっと暗い色でいいかもね」
「わかりました。いろいろ試してみます」
「あと、ロゴを作ってどこかに入れたいね」
「シモンキリーのロゴとは別にですか?」
「そうだね。ライル商会のロゴ」
「頑張って考えます」
「冒険者チームにも着てもらうから、パターン欲しいかも」
俺はそういうと下手な絵で前が開いているパーカーやツナギなどを描いた。
「冒険者チームはパーカー固定で、色はパーティごとに分けたいかな。あんま明るくない色で」
「わかりました。みなさんに色の要望聞いておきます」
「冒険者用のパーカーは装備の上から着るし、いろいろ能力付けたいからマデリンよろしくね」
「わかりました」
「ツナギは農業部門と酪農部門には重宝しそうなんだよね」
「作ってみます」
制服はポロシャツ・ジャケット・シャツは従業員全員に支給して、使いどころは各々に任せることになった。
農業部門と酪農部門はツナギを、食品部門にはコックコートか法被タイプの調理白衣を作ってもらうことにした。
俺の落書きがどこまで通じるだろうか。
制服提案が終わり、大本命の話を進めた。
「ガルスタン。ゴーレから疾風の斧がダンジョンで手に入れた素材は受けとった?」
「受け取りましたよ」
「それで弟子達で自分の武器と装備を持ってない人の分を作ってほしいんだけど」
「わかりました。何を作るかと、どういう戦い方をするか教えてほしいです」
「わかった。まず作るのは、ニーナとナーリアの杖」
「ライル様、杖だけは作れないです」
「え?」
俺は驚いた。
「杖は鍛冶屋や武器職人とはまた違う技術が必要なんです」
「そうなんだ。じゃあ杖は俺の方でどうにかするね」
「すみません」
「いいよ。じゃあカシムとルーシーとジョシュとララの鎧かな」
「鎧なら任せてください」
「4人とも機動力メインだから頑丈だけど動きやすくて軽い方がいいかな。カシムは弓がメインでルーシーは剣でジョシュとララは槌がメイン予定。ララだけ機動力が上がりそうな足鎧とか靴が欲しいかも」
「わかりました」
ガルスタンは俺の話を聞きながらメモを取った。
「ベラはローブかなー魔法メインなんでそういう能力があるとうれしいかな」
「マデリンと相談してみます。」
「ジョシュとララの槌とコルカーの大剣と大槌もお願いしたいな」
「コルカーは武器を2つ使うんですか?」
「俺は大槌とかが向いてると思うんだけど、まだどうなるかわからないからね」
「わかりました」
「あとコルカーは小盾が欲しいかな。あとこれもお試しなんだけど鉄扇ってわかる?」
「珍しいものを知ってますね。それはどなたが使うんですか?」
「ルーシーかな」
「わかりました。最高のものを作ります。」
俺とガルスタンとマデリンはヒューズさんから貰ったダンジョンの素材を見ながら何を作るかを相談した。
「まずジョシュとララの槌ですが、これで作りたいです」
ガルスタンは大きな歯を手に取った。
「ロックイーターの歯です。これなら頑丈で強い槌が作れます」
「数は足りてる?」
「いえ、これ1つです」
俺は別の歯を見つけた。
「これは違うの?」
「それはデザートイーターの歯で、ロックイーターはその上位種になります」
「なるほど。てかこいつはどんなモンスターなの?」
「砂漠を泳ぐ巨大魚です」
「なるほど。ロックイーターの魔石は1つあったから、ライルダンジョンで討伐するね」
「ありがとうございます」
俺達はどんどん話を進めて行った。
ジョシュ・ララの槌はロックイーターの歯。
ジョシュ・ララの鎧はデザートセンチピードの甲殻
ララのブーツはバレットアルマジロの革。
ベラのローブはシモン布。
カシムの鎧はキングロックリザードの革。
ルーシーの鎧はレインボーパラキートの羽根と革。
コルカーの大剣はミスリルと鉄で大槌はエルダートレントの木材とミスリル。
これはケルバンとガルスタンの手伝いをしているエルフのソーバスに作ってもらうそうだ。
「素材が足りないのは、ロックイーターの歯とレインボーパラキートの羽根と革か」
「そうですね。しかもレインボーパラキートは実は1色のモンスターなのです。色違いがたくさんいるので目当ての色を倒すのは難しいかもしれません」
「まあ数こなすしかないね。魔石もあったしダンジョンでどうにかするよ」
「ライル様、お願いがあるのですが」
「ん?」
マデリンからのお願いだった。
「このジュエルアイアイもダンジョンで討伐してくれないでしょうか?」
「いいけど、何がドロップするの?」
「これです」
マデリンの手には宝石が数個あった。
「え?デカ!」
「ジュエルアイアイは目がいろいろな宝石になっている魔物です。レベルが高ければ高いほど目が大きくなるのです。なので疾風の斧のみなさんは相当レベルの高いジュエルアイアイを倒したんでしょう」
「単純に売るってこと?これは何かに使えるの?」
「売ってもいいですし、加工してもいいと思います。宝石は付与をしやすいので、冒険者チーム用にアクセサリーを作れば邪魔にならず身に着けられるのかなと思いまして」
「いいね!じゃあこいつもダンジョンでやっておくね」
「ありがとうございます」
▽ ▽ ▽
俺はガルスタン達と別れ、ライルダンジョンの最下層に来ていた。
「階層を増やすしないか」
俺は地下7階層と地下8階層の間に2階層増やした。
最下層が地下10階層になった。
ライルダンジョン(ダンジョンレベル2)
スタンピード自動阻止・ダンジョン外モンスター消滅
1階層(洞窟・狭い)
出現モンスター:なし
階段の出現方法:ボタン
地下1階層(草原・広い)
出現モンスター:オーク(Lv10・武器なし・行動自由)・オークナイト(Lv10・武器なし・行動自由)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下2階層(草原・広い)
出現モンスター:ミノタウロス(Lv10・武器なし・行動自由)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下3階層(草原・広い)
出現モンスター:フレイムコッコ(Lv10・行動自由)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下4階層(草原・広い)
出現モンスター:バウンドシープ(Lv10・行動自由)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下5階層(草原・広い)
出現モンスター:ウォーリーバッファロー(Lv10・行動自由)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下6階層(草原・広い)
出現モンスター:ジュエルアイアイ(Lv1)
リスポーン:常に100体
階段の出現方法:常に
地下7階層(洞窟・広大)
出現モンスター:アイアントータス(Lv10・行動自由)・ゴールドトータス(Lv10・行動自由)・ミスリルトータス(Lv10・行動自由)
リスポーン:常に200体
階段の出現方法:常に
地下8階層(洞窟・狭い)
出現モンスター:ロックイーター(Lv1)
リスポーン:常に50体
階段の出現方法:常に
地下9階層(洞窟・狭い)
出現モンスター:レインボーパラキート(Lv1)
リスポーン:常に100体
階段の出現方法:なし
地下10階層(草原・広い)
ボスモンスター:リビングアーマージェネラル(Lv30・指示あり・意思あり)
出現モンスター:リビングアーマー(Lv30・指示あり) リビングソードアンティーク(Lv30・指示あり) リビングアックスアンティーク(Lv30・指示あり)
リスポーン:ボス1体・その他10体ずつ
階層を増やすために大量の魔石を使ってしまった。
杖とマジックバックをガチャで出さないといけないのに。
エアキャットの階層をジュエルアイアイにし、増やした階層にロックイーターとレインボーパラキートを配置した。
「また魔石を集めないと、10連2回くらいしかできないよ」
俺が家に戻ろうとすると、ロックイーターの歯をリビングアーマーが持ってきた。
「早くない?」
俺は不安になってロックイーターの階層に行くと、洞窟の硬い地面には潜れないようでリスポーンしては消えるのを繰り返していた。
「魔石の無限機関出来そうだなこれ」
俺はロックイーターの歯を数個もって、ライルダンジョンをあとにした。




