202.ダンジョン情報
俺はみんなにダンジョンを案内した後、商人ギルドの内装をアイザックさんと一緒に変更した。
今はマリーナさんと冒険者ギルドの内装を変更していた。
「ライルくん。この奥はマールさん達が解体できるように広くして、外と倉庫に行けるようにしてもらえる?」
バッフン
「こんな感じですか?」
「ありがとう」
「各所においているマジックボックスは登録者しか使えないんで、新しい人が来たら面倒ですが登録作業をお願いします」
「わかったわ」
マリーナさんは満足そうだった。
「そういえば、カラッカの街にもダンジョンが出来たって聞いたんですけど」
「そうよ、地震が2回あったわ。カラッカ領の別の街でも地震が報告されているから、何組か冒険者が調査に行っているわ」
「なんかカラッカのダンジョン探索は王女殿下が指揮をとるとか」
「あー、一応ね。でも大量発生の原因究明の調査団を作るのがメインだから、ダンジョンの方は冒険者に言葉をかけてあげるレベルよ」
「あーそれならよかった」
「よかった?」
「ダンジョンコアに割れたダンジョンコアを吸収させると、ダンジョンのレベルが上がってやれることが増えるんですよ。なのでカラッカの街のダンジョンを攻略しようかなと」
「そうなのね。前回の報告の時に預かったダンジョンコア返す?」
俺は驚いた。
「え?そんなこと出来るんですか?」
「ギルドで持ってても使い道ないしね。冒険者ギルドの本部では研究材料として使われてるみたいだけど、それなりの数を本部では確保済みみたいだからね」
なぜかマリーナはドヤ顔だった。
「それに、カラッカの冒険者ギルドもダンジョンの状態によっては、管理するつもりみたいだし」
「え?」
「ライルくんみたいに管理は出来ないけど、冒険者にモンスターの間引きを依頼して時間をかけて成長させるつもりみたいよ」
「そうなると、コアを壊すの問題になるかもですよね」
「そうね。ギルドが管理できないレベルの魔物が出てきたりしたら、ダンジョン消滅をさせるとは思うけど」
「わかりました。ちょっと様子見しますね」
「そうしてくれるとありがたいわ」
「ヒューズさん達がダンジョンから帰ってくるタイミングで、弟子達をカラッカのダンジョンに挑戦させるのでよろしくお願いします」
「わかったわ。まだ1つしか見つかってないけど、すぐにもう1つも見つかるはずだから」
「あとこれからの事なんですが、弟子達のランク上げは物凄く厳しくしてください」
「え?なんで?」
マリーナからしたら理解できないお願いだったようだ。
「みんなが過信しすぎないようにしたいのと、貴族とかに目を付けられたくないからです」
「なるほど」
「あとランクが低くて強かったら、それだけで奇襲みたいなもんですからね」
「鬼将軍の部分が出てるわよ」
「ははは」
俺は冒険者ギルドの内装を終わらせ家に帰った。
▽ ▽ ▽
夕飯を食べにレストランに来ていた。
すると鬼将軍の強弓とケルバン夫妻が食事をしながら話をしていた。
「うーん。素材がないから今すぐには無理だな」
「そうね。でもこのまま使っていたら壊れてしまうわ」
「やっぱりトレントの素材を取りにいかないと駄目か」
ケルバン夫妻は強弓達がいつも使う装備品を手に取って見ていた。
「どうしたの?」
俺は声をかけた。
「あっ!ライル様」
「なんか装備の素材が足りないの?シモン布とかうちにある素材なら使ってもいいよ」
「ありがとうございます。でもこの装備は特殊で」
ケルバンは申し訳なさそうに言った。
「特殊?」
「エルフに伝わる製法で作った装備なんです。トレントを使っていて」
「トレントかー。オリバーがエルダートレントの木鎧を使ってるけど、それとは違うの?」
「エルダートレント!それはすごいですね。ですがエルフの伝統装備はトレント木材を鎧にするではなく木材から繊維を取り出してエルフの秘薬と呼ばれる液体と混ぜて布を作るんです」
「おーそれは興味あるな」
「その布は当然鎧よりも軽いし、鎧と同じくらいの防御力があります。しかも使用者と共に少しずつ成長をするのです。エルフは長寿なので幼い時から使っているモノを修繕していくのが決まりとなっています」
「ほー。なんか新しい装備を上げれば済む話だと思ったけど、そうはいかなそうだね」
「はい。ライル様。ライルダンジョンにトレントはいないですよね?」
「残念ながらいないな」
俺とケルバンが話しているとレストランのドアが開いた。
疾風の斧がレストランに入ってきた。
「ちょうどいいから聞いてみようか」
「「「「え?」」」」
俺は疾風の斧に声をかけた。
「ヒューズさん!トレントの魔石って持ってますか?」
「トレント?いやー木材がダンジョンのドロップで少しあったけど、魔石は出なかったな」
「あーその木材をあとでケルバン達に渡してもらえます?」
「おういいぞ!てかダンジョンの素材は全部お前にやるから。ゴーレさんに渡しておくから、あとで確認しとけ」
「はい。ありがとうございます」
俺はケルバン達のテーブルに戻った。
「とりあえずトレントの木材は手に入れたよ」
「ありがとうございます。ライル様。これで少しは修理できると思います」
「「「「ありがとうございます!」」」」
ケルバン達と話しているとクララさんがやってきた。
「ライル―!トレントの魔石じゃないと駄目なの?」
「ん?」
「エルダートレントの魔石なら何個かあるよ」
「「「え?」」」
「ケルバン、エルダートレントの木材でもいいの?」
「良いというか最高です。エルダートレントの木材を使えば今よりももっと良い装備にできます」
「ほんと?じゃあすぐに安定供給できるようにするね」
「ありがとうございます。疾風の斧のみなさんもありがとうございます」
「全然いいよー!」
クララさんは席に戻って行った。
「ケルバン、ついでになんだけどこれをすごい精密に作れたりしない?」
俺はマジックバックから自作で作った箸を見せた。
「これは?」
「箸って言って食事するときに使うものだよ」
俺は目の前のサラダを掴んで見せた。
「これ流行らせたいんだよね」
「わかりました。作ってみます」
ケルバンは俺からの直接依頼がうれしいのかやる気を見せている。
さすが木工部門の責任者だ。
「コルカー達の武器も特殊なやつ?」
「弓は装備と同じようにトレントの木材でできてますが、私の剣やナーリアの杖は特殊なものではないです」
「じゃあなんか使えそうなものを見繕っておくね」
「「ありがとうございます」」
俺は強弓とケルバン夫妻と食事を済ませて、
ライルダンジョンのエアキャットの階層をエルダートレントに変えておいた。




