1.チートスキル
農家の息子のライルは、母親マイアの朝食の手伝いをしていた。
「ライルはお手伝いできて偉いわね」
マイアはテーブルに皿を並べるライルを褒めながら、スープを温めている。
「お母さんのお手伝いを少しでもできたらいいなって思って」
「5歳になったばかりなのにお手伝いができて偉いわ。頑張ってくれてるからライルのスープには沢山具を入れてあげるからね」
「ありがとうお母さん」
マイアが具が少ないスープをかき混ぜていると、父親のカインが起きてきた。
「おはよう!ライルは今日も朝から手伝いとは偉いな」
強面でガタイの良い見た目のカインは笑みを浮かべながらライルの頭を撫でる。
「おはようお父さん」
マイアはそんな二人を微笑ましそうにみていた。
「二人共、ごはん出来たから早く食べちゃいましょ」
「「はーい」」
3人がテーブルにつき、食事が始まる。
朝食はパンと野菜スープ。
パンはカチカチでスープは具が少なく、決して豪華ではない朝食だが、
ライル達は笑顔で食事をしていた。
カインは硬いパンを齧りながら話し始めた
「そういえば、次に行商人が村に来るのがだいぶ先になったみたいだぞ」
「やっぱりね。この村も本当に人が減ってしまったから。このままだとお肉や調味料を買うのもだいぶ先になっちゃいそうね」
マイアはパンをスープに浸しながら、苦悩の表情を浮かべる。
「うちは畑がそれなりに広いからギリギリ生活できるが、他の家は大変かもしれないな。村長とも話したけど人口がこれ以上減るようなら、なんか策を考えないといけないよなー」
両親の話を静かに聞いていたライルが口を開いた。
「お母さん!僕にも何かできることある?」
マイアはライルの頭を撫でなる。
「ライルは今みたいにお手伝いしてくれればいいからね。ありがとう」
「わかった」
ライルは小さく頷いた。
(俺にもできることがあるかもしれないな。このスキルをつかえば……)
▽ ▽ ▽
2日前の夜中
急な頭痛に襲われ気を失った俺は、
起きた時に前世28年の記憶とライルの5年の記憶が混ざり合ったことを感じた。
なんだ?この身体は?てか俺はタバコを買いに出掛けて・・・
家に帰ってる最中に、トラックに轢かれてそのまま・・・
前世の最期を思い出した俺は現状の確認を始めた。
名前はライル、農家のカインとマイアの息子で、今日5歳の誕生日を迎えた。
てかこれって転生ってことだよな?漫画とかアニメとかは引きこもってた時によく見てたけど、まじかー。
俺は頭を抱えた。
「一応、お決まりのやつは試したほうがいいか。『ステータス』」
目の前に半透明のディスプレイが現れた。
「まじか!できちゃうのか」
戸惑いながらもディスプレイを確認する。
【名前】 ライル
【年齢】 5
【職業】 農家
【レベル】 1
【生命力】 50
【魔力】 50
【筋力】 10
【防御力】 10
【俊敏力】 10
【スキル】
○エクストラスキル
ガチャ
○パッシブスキル
スロット1:スキルホルダー
○通常スキル
スロット1:なし
なるほど、こんな感じか。比較対象ないからわからないけどステータスにはチート感ないよな。
あるとしたら『ガチャ』と『スキルホルダー』か
目の前のディスプレイの【ガチャ】の部分をタップすると、ステータス画面がガチャ画面になった。
「スマホゲームのまんまだな」
ディスプレイには大きな文字で
[ログイン初回特典ボーナス10連ガチャ]と書かれていた。
「これが多分俺のチートだよな。初回10連も異世界あるあるだし、とりあえず回してみるか」
ディスプレイの右端にある【回す】の部分をタップする。するとディスプレイが光り、10枚のカードが映し出された。
ディスプレイに映るカードをタップするとカードが捲れた。
N スキル:風魔法
N ジャガイモの種芋
R ポーション(中級)
N 昆虫ゼリー
R マジックバッグ(低級)
R スキル:騎乗
R 生命力アップ(中)
R 筋力アップ(中)
SR スキル:秘密基地
R モンスタースナック
カードが10枚捲れるとディスプレイから
マジックバッグ・昆虫ゼリー・ポーション・種芋・モンスタースナックが出てきた。
「これは当たりなのかな?マジックバッグは基本だよな。低級だと容量どんなもんなんだ?とりあえずマジックバッグに全部入れといて、アイテムの検証は明日だな」
俺は自然とわくわくし始めていた。
出てきたアイテムをマジックバッグにしまい、
ステータス画面を再度見る。
【名前】 ライル
【年齢】 5
【職業】 農家
【レベル】 1
【生命力】 60
【魔力】 50
【筋力】 20
【防御力】 10
【俊敏力】 10
【スキル】
○エクストラスキル
ガチャ
○パッシブスキル
スロット1:スキルホルダー
○通常スキル
スロット1:なし
○スキルホルダー
風魔法LV1
→エアショットLV1
騎乗
秘密基地 LV1
→畑作成LV1
「ステータスはそのまま増加する感じか。スキルはすぐに確認できそうなやつはないから、後日確認するしかなさそうだな。ふぁ~」
俺は急な眠気に襲われた。
やはり身体は5歳だということだろう。
俺は重い身体を動かし、ベッドに入った。
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