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195.勧誘

大改造を終えた3日後。


ヒューズさん達はまだ帰ってきていない。

マリーナさんもバタバタなのか、ご飯を食べに来ていない。

俺は村の細かい改造をちょこちょこしながら過ごしていた。


アイザックさんと雷虎の拳が村にやってきた。

「ライルさん!ダンジョンが出来たって聞きましたけど大丈夫ですか?地震が原因って聞いたので食器とか多めに持ってきました」

「ライル!ダンジョン入らせろ!」

「アイザックさんありがとうございます。ダンジョンはセフィーナさんの管轄なので俺には権限はないですよ」

ゴリゴリに来るガッツさんをあしらい、アイザックさんと話を進める。


「アイザックさん。来てくれてありがとうございます」

「当然ですよ。また村の様子が変わっているようですが」

「ははは。ダンジョンが出来たので、人が来てもいいように改造しました」

「ライルさんのスキルはほんとすごいですね」

「まあ話はセフィーナさんも交えて中で話しましょう。ガッツさん達、家をちょっと広く改造したので見てきたらどうですか?」

「本当か?」

「ポーラさんに会いに行くついでに、セフィーナさんを呼んできてもらえます?場所は伝えなくてもわかると思うので」

「そうか?わかった」

ガッツさん達は領主代行館に向かった。


「あれ?僕達は行かなくていいんですか?」

領主代行館に行かないことに疑問を覚えているようだ。

「あー良いんです。新しい建物があるのでそっちに行きましょう」

俺は商人ギルド(仮)にアイザックさんと向かった。


▽ ▽ ▽


商人ギルド(仮)の応接室。

「あのーライルさん」

「ん?どうしました?」

「この建物、そしてこの部屋、なんか見覚えと言いますか」

「あーまあそうですよね」

「カラッカの商人ギルドに似ているつくりをしているんですが」

「ははは。まあそういう話はセフィーナさんが来てからにしましょう」

「は、はい」


セフィーナさんが部屋に入ってきた。

「お兄様、ライル様、お待たせいたしました」

「セフィーナ、これは一体」

アイザックさんはセフィーナさんを問い詰め始めた。

俺相手だと問い詰めても答えが出ないと思っていたのか、吹き出すように質問攻めをし始めた。


「この商人ギルドそっくりな建物はなんなんだ」

「お兄様、それはライル様に聞いていただかないと」

「どこから話しますかね」

俺はアイザックさんの勧誘を始める。


「アイザックさん」

「はい」

「この村にダンジョンが現れたのですが、それについて商人ギルドはどういう動きをするか決まってますか?」

「え?カラッカの街の近くにもダンジョンが出現しているかもということを出発日に聞いたので、具体的な話は出来ずに村に向かってしまいました」

「なるほど」

「すみません」

「セフィーナさんうまいやり方が思いつかないです。いつもみたいにやっていいですか?」

セフィーナさんは頷いた。

「変な方向にいったら、修正を入れますので」

「ありがとうございます」


俺は再度アイザックさんに話始めた

「えーっと。ここは商人ギルドです。アイザックさんにあげます。商人ギルドマスターにグリモスの件もあるから、うちの村の商人ギルドのマスターをアイザックさんにしろとお伝えください。拒否をすれば、二度と商品は納品しないと付け加えて」

「えー!」

「ライル様、また脅迫になっています」

「だって難しいんですもん」

「お兄様、伝え方はあれでしたが要点は理解いただけましたか?」

セフィーナさんががんばって軌道修正してくれている。


「商人ギルドとして建物をくれる、僕がギルドマスターとしてこの村で暮らすように説得をしろ。失敗したらライル商会は手を切る」

「まあそんなところですわ」

「ライルさん、もうちょっとうまく伝えられないですか?」

「すみません。まどろっこしくしないようにしたんですが」

「お兄様、返答を頂けますか?」


アイザックさんは悩み始めた。

「うーん。問題ないと思います」

「え?」

「ライル商会のおかげで売り上げ成績もずっとトップですし、ギルドマスターはライルさんの事を知っているので少し話したら通ると思います」

「本当ですか?」

「しかも建物も既にあるとなると断る理由がないですね。断って、ライル様との縁が切れる方が困ります」


俺はセフィーナさんを見た。

セフィーナさんは静かに頷き、口を開いた。

「お兄様」

「なんだ?」

「私はお兄様にもお父様にも言えない秘密があります」

「え?」

「その秘密をお兄様に共有しようと思うのですが、覚悟はおありですか?」

「覚悟?」

「そうです。誰にも話せない大きな秘密数個を抱えながら生活をできますか?」

「誰にも?そんな秘密がセフィーナに」

「はい」

なんか変な空気になってる。

貴族が悪巧みしている会話みたいになってる。


「セフィーナさん!俺についての秘密って言わないと」

「え?」

「変な空気になっていたよ」

「申し訳ございません。お兄様、ライル様とこの村の発展のため尽力する気がありますか」

「全力を出そうと思う」

「お兄様が全力を出すには、ライル様の秘密を共有しないといけませんが覚悟はおありですか」

「ライルさんには今までいろいろ驚かされた。いまさら何を聞かされても驚かない」

「どうですか、ライル様」

「話しましょうか」


俺は秘密の通路を使い、今いる部屋とカラッカの家をつないだ。

「え?ドアが!」

「入ってみてください」


ドアを通ったアイザックさんは驚いていた。

「え?ここは、カラッカの」

「そうです。カラッカの俺の家です」

バタッ

アイザックさんは気絶して倒れてしまった。


▽ ▽ ▽


俺達はアカ達を呼んで、アイザックさんを運んでもらった。

「気絶しちゃいましたね」

「この後、同じくらいすごい話があるのに」

俺とセフィーナさんはアイザックさんが起きるのを待った。



「え?あ?」

アイザックさんが目覚めた。

「大丈夫ですか?」

「すみません。意識を失ってたみたいですね」

「先ほど通ってもらったのは僕のスキルです」

「なるほど」

「これを使ってカラッカの街へ行っています。アイザックさんにも今後使ってもらうことになると思います」

「はあ。でも時間をかけてカラッカに行かなくてもいいのは大きいですね。まさかこんな秘密があるなんて」

「お兄様、同じくらいの内容の秘密がまだあります」

「え?」

「実は俺達は既にダンジョンを2つ攻略しています」

「え?」

「1つはすぐ消滅したんですが、もう1つはダンジョンコアと俺のスキルを同期してダンジョンの管理ができるようになりました」

「管理?」

「モンスターの種類や量、階層の数、モンスターがダンジョンから出てこないにようしたり、スタンピードを起きないようにしたりとかです」

「え?」

「管理していたダンジョンは事故で消滅してしまいましたが、先日出現したダンジョンも攻略すれば管理することができると思います」

「えー!?」

アイザックさんはだいぶ驚いている。

「ということは、ダンジョンを使って村の発展をする気ですか?」

「そのつもりです。冒険者も集まってくると思いますし、難易度も何回も挑みたくなるようなものにしようかと」

「ははは。すごすぎる」

「お兄様それだけではないです。今冒険者ギルドに報告をしているダンジョンの他にもう1つダンジョンがあるんです」

「へ?」

アイザックさんの脳みそは話に追い付いていないようだ。

「ライル様はそれを私的利用するつもりなんです」

「ははは。凄すぎて言葉が出ません」

「アイザックさん、この村のためにご協力していただけますか?」

アイザックさんは真剣な目つきになった。

「はい。グリモスに感謝する日が来るとは。ライル様の担当になれて本当に良かったです。これから宜しくお願いします」

俺とアイザックさんは握手を交わした。


「ちなみに冒険者ギルドマスターはマリーナさんです」

「え!!!本当ですか?」

「頑張ってくださいね」

「お兄様、応援してます」

アイザックさんは少し照れていた。




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