193.新しいダンジョン
セフィーナさんに秘密の通路の説明をした。
「そんなものが!そういえばいろいろとおかしなところがありました」
「ですよねー。一応冒険者は全員カラッカに住んでいることになってますからね」
「それを使えば、マリーナさんに間に合いますか?」
「大丈夫だと思います」
「ではこれは私が行かないとだめですよね?」
「わかりました、俺もついて行きますので行きましょう」
俺とセフィーナさんが秘密の通路がある学び舎に向かおうとすると、クララさんが部屋に入ってきた。
「リーダー!ライル!」
「お前、領主代行館にそんな感じで入ってくるな!」
「緊急事態!」
「どうした?」
「カリム家の撤去作業をしようとしてたらダンジョンが」
「「は?」」
「ダンジョンができてた」
「「は?」」
俺達はカリム宅があった場所へ向かった。
▽ ▽ ▽
「おい、本当にダンジョンじゃねーか」
「あの地震は2つ分だったってことですかね?」
「かもな。俺が見たことあるサイズはこのサイズだ」
「ちょっとした山じゃないですか」
俺達の目の前には昨日見た洞窟より大きな洞窟だった。
「昨日は暗くて気付かなかったのか?」
「かもしれないですね、ちょっとカリム宅から外れてますし」
「どうしようか」
「うーん」
俺は悩んだ。
「こっちのダンジョンの方が階層が多いってことですよね?」
「その可能性はある」
「わかりました。ヒューズさん、セフィーナさんと一緒にカラッカにいってください」
「わかった」
「畑の裏のダンジョンは僕が私的利用するので、報告するのはこのダンジョンだけにしてください」
「わかった」
「あと、疾風の斧と鬼将軍の弟子達が冒険者ギルドができるまでは対応するからと言ってください。あと、マリーナさんにギルドマスターをやらせろと脅してください」
「脅しはしないが打診はしておく」
「お願いします」
ヒューズさんはセフィーナさんを連れてカラッカの街へ向かった。
「よし、じゃあ撤去作業を始めるか」
▽ ▽ ▽
夕方手前、撤去作業はあらかた終わった。
「今日も申し訳ないですが、あの空き家で暮らしてください」
「いいのか?」
「もう4人ともうちの商会の仲間ですから。気にしないでください。食事もブライズさんに頼んでレストランで食べてください」
「何から何まですまん。ありがとうライル」
「いえいえ。カシムとアメリアはご両親を案内して」
「「はーい」」
みんなと別れるとヒューズさんとセフィーナさん、それにマリーナさんがやってきた。
「どうでした?」
「成功です」
「よかったー」
「冒険者ギルドはダンジョンがあるってバタバタしてたけどな」
「え?マリーナさんと数人が来るだけじゃないんですか?」
「あーそっちじゃないんだ。地震がカラッカでも1回起きてたらしくて、ダンジョンと地震が関係してるかもって教えたらバタバタし始めた」
「なるほど」
「マリーナさんのギルドマスターの話はすんなり?」
「はい。思ったよりも評価されてたみたい。カリム夫妻の派遣もあっさり」
「お父様にも報告してきました」
「おっ?どうでした?」
「任せてもらうことになりました。まあ私の場合は認められていたというよりかは、ついて来てくれたヒューズさんのおかげでした」
「どういうこと?」
「疾風の斧がいれば危険はないだろうってことです」
「なるほど」
セフィーナさんは少し落ち込んでいた。
「ヒューズさん。マリーナさんに話は?」
「まだしてない」
「何?まだ何かあるの?」
「ダンジョンがもう1つありました」
「え?」
マリーナさんは驚いている。
「それも昨日発見したダンジョンよりも大きいので、階層が深い可能性があります」
「どうしよう。1個としか報告してないわ」
「マリーナさん。この村に数回しか来てないですが、この村は好きですか?」
俺は真剣な表情で問いかけた。
その雰囲気に気付いたのか、真面目な表情で口を開いた。
「まだわからない。だけど疾風の斧は好きだし鬼将軍の弟子たちもみんないい子だから好き。それにライルくんの事も大好きよ。今はまだ好きかどうかわからないけど、私はこの村が好きな村になるように働くわ」
「ありがとうございます。俺も好きになってもらえるように頑張ります」
「それで?秘密の通路を話してもらった時の温度感を感じたのだけど」
「察しがいいですね」
俺はマリーナさんにダンジョンマスターについて話した。
「えっ?うそでしょ?」
「本当です」
「それなら、冒険者が危険にならない様にダンジョンを作れる?」
「どういうことですか?」
「モンスターを弱くしたいとか、難易度を下げたいとかじゃないの。ダンジョン内で死なないようにできたりしない?」
「今はまだわかりません。ですが出来るかトライすることは可能だと思います」
「それが出来たらダンジョン内で死んでしまって遺品も何にもない状態にならなくて済むと思うの。ダンジョン内で死んだ冒険者の家族は遺品もなく悲しむだけって先輩に聞いたことがあって、もしそれが出来るならお願いしたい」
「わかりました、やってみます」
「おねがいね」
マリーナさんの目はものすごく熱かった。
「セフィーナさん、ダンジョン周りの土地を買いたいんだけど」
「わかってます。お父様にも村の周りの土地の販売権を譲ってもらってきました」
「さすが!」
俺達は領主代行館で土地購入の手続きを済ませた。
「先に簡単に済ませちゃうか、秘密基地!」
俺はマップを開き、ディスプレイをいじった。
バッフン
遠くから音が聞こえた。
畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑 K
畑畑畑畑ダ畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑 J
畑畑畑畑道畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑畑 I
畑畑畑畑道畑畑畑畑畑庭庭庭庭庭畑畑畑畑 H
畑畑畑畑道畑畑畑畑畑庭庭庭庭庭畑畑畑畑 G
畑畑畑畑道畑畑畑畑畑庭庭庭庭庭畑畑畑畑 F
畑畑畑畑道畑畑畑畑畑庭厩家倉庭畑畑牛鶏 E
道道道道道道道道道道道道道道道道道道道 D
未未未未道畑畑畑畑畑風服道畑畑畑畑畑道 C
未未未未道畑畑畑畑畑工木道畑畑畑畑畑道 B
未未未未道未未未未店食鍛道学学疾疾従道 A+
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道道道道広広領領住温温温未未未未未未未 B
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廃ダ未未未道未未未温温温未未未未未未未 D
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87654321012345678910
- +
テイムモンスターが増えてきたので庭を広くし、ダンジョンへ向かう道を作った。
E~Kで未開拓だったところは全部畑にした。
村長宅とカリム宅があったエリアまで買ってみた。
「いつ見ても、お前のスキルはすごいな」
「ははは、俺なんもしてないんですけどね」
ヒューズさんが感心していた。
「暗くなるので、他の作業は明日にします」
「わかった。俺もそろそろ帰るわ」
俺達は領主代行館をあとにした。




