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192.緊急対策会議

俺は朝から領主代行館に来ていた。

集まっているのは俺・ゴーレ・ヒューズさん・カリム夫妻・村長夫妻・マリーナさん・セフィーナさんだ。


「とりあえず昨夜いろいろありました。既に報告をしましたが改めて共有します」

ヒューズさんが話し始めた。

「まず地震が原因で村長宅とカリム宅が倒壊しました。こちらの復旧は本日中に終わらせるつもりです」

「そんな簡単にですか?」

「ライルとニーナとゴーレさんのマジックバッグを使用すれば瓦礫はすぐに撤去できると思います」

「なるほど、わかりました」

「ですので村長夫妻とカリム夫妻もご協力お願いします」

「はい。ありがとうございます」

「「「ありがとうございます」」」

4人は頭を下げた。


「今後ですが、新たな家が建つまではライルの所有する空き家で生活することになると思います」

「あっ!ちょっとまってください!」

俺はヒューズさんの話を止めた。


「どうした?」

「ちょっといいですか?」

「変なことするなよ?」

「しませんよ!」

俺は心配そうに見るヒューズさんを無視して話し始めた。


「マリーナさん。ダンジョンがある村を冒険者ギルドとしてどうしますか?」

「普通なら、冒険者ギルドを建てて管理ができるようにするわ。最低でも出張所は作るかな」

「この村に冒険者ギルドができた場合、大きな事案の相談や決定相手は誰になります?」

「領主様が近くにいらっしゃらないので普通は村長ですが、この村の場合はセフィーナ様になりますね」

「なるほど」

「これは予想で返答してもらっていいんですが、ダンジョンがある村って人が来ます?」

「来ると思うわ」

「そうなると商人ギルドもできちゃったり?」

「その可能性もあるわ」

「ありがとうございます」


「ライル!何の質問なんだ?」

俺はヒューズさんを無視した。


「セフィーナさん」

「は、はい」

「俺も子供ですが、セフィーナさんも子供ですよね?」

「はい」

「今後、冒険者ギルドや商人ギルドなどの対応を1人でできますか?」

「いえ、できません」

セフィーナさんは悔しそうだが、俺の意図が分かったようだ。


「では村長夫妻に聞きたいのですが、今の村長としての仕事をしていきたいですか?」

「「え?」」

「完全にセフィーナさんに丸投げするなら今のタイミングだと思いますよ」


村長は少し悩んだ。

「先祖からこの村を村長として守ってきました。廃村寸前になってしまったし村のために何もやれていないが、村のみんなが許してくれるなら村長として働きたい」

「私もサポートをしていきたいと思ってます」

「わかりました。村長、うちの従業員として働きませんか?」

「「え?」」

「おい!今村長として働きたいって言ってたじゃねーか」

ヒューズさんを無視して話を進める。


「村長としてこの村を支えるためにうちの従業員になってセフィーナさんのところに派遣されればよくないですか?」

「派遣?」

「まあうちの従業員ってのは建前です。家と食事がほぼタダになるから、セフィーナさんのところで派遣されて働いてくれってことです。給金はうちでもらいますけどね。冒険者ギルドや商人ギルドができるとなったら、俺一人じゃ対応できなくなる。それならば、貴族や役人相手の顔として働いてもらいたいなーってことですよ」


村長夫妻は唖然とした表情をしていたが、すぐに真剣な顔つきになった。

「ライル。ありがとう。その話を飲ませてもらおう」

「はーよかったー!」

「セフィーナさんもいいですよね」

「もちろんです。ライル様、まどろっこしいのはやめた方がいいですよ、ズバッと言った方が分かりやすいです」

「すみません」


俺はセフィーナさんに注意された内容を気をつけて話を始める。

「マリーナさん」

「な、なに?」

「冒険者ギルドをこの村に作る場合、マリーナさんがギルドマスターじゃないと全勢力でカラッカの街に攻め込むとギルドマスターにお伝えください」

「え?え?」

「あと猟と解体が得意な職員を派遣するつもりなので、そのつもりでいてください」

「「「え?え?」」」

マリーナさんとカリム夫妻は混乱している。


「ライル様!ズバッと言い過ぎです!」

「あーむずかしいな。まどろっこしい言い方しか慣れてないんですよ」

ヒューズさんはだいぶ前に諦めていた。


「何が伝わってないですか?」

カリムさんが手を挙げた。

「はい」

「えーっと。俺達がギルド職員として働くのかな?」

「違います。ライル商会の従業員になり、ギルドに派遣します」

「あーなるほど。村長の話と同じ?」

「そうです」

「あーわかった。冒険者ギルドの許可はまだ」

「取れてないです」

「なるほど」

カリム夫妻は困っていた。


「マリーナさん。ギルドマスターに伝えてくださいね」

「ライルくん無茶言わないで!私がギルドマスターをやるのも難しいし、ギルドを建てる予算も」

マリーナさんは俺を見て固まった。

「マリーナさんがギルドマスターをやるのが難しいって問題だけですね」

「う、うん」

「できないんですか?」

「え?」

「任命されるされないの話ではなく、実力的にできないんですか?」

「え、いや」

「できないんですか?」

「できます」

マリーナさんも諦めた。


「でも任命されないわ。他の地区から新しい職員が来たり、経歴が長い人間や元Aランクの人だったりがなるのよ」

「だからギルドマスターを脅してるんですよ。違いました、要望を出してるんです」

マリーナさんが困っているとセフィーナさんが助け舟を出してくれた。

「私からお父様に推薦状を出します」

「え?」

「それでもだめなら、ライル様に攻め込んでもらいます」

「えー!!」


とりあえずセフィーナさんが報告書と推薦状を出し、それをもってマリーナさんはカラッカの街に帰って行った。


「ライルくん。僕達は?」

「うーん。冒険者ギルドで働けなかったら、うちで解体屋を始めましょう。とりあえずうちの社員になるでいいですか?」

「「よろしくお願いします」」


村長夫妻とカリム夫妻は部屋を後にして撤去作業に向かった。



「じゃあヒューズさん、続きをお願いします」


ヒューズさんは俺を無視した。

ヒューズさんは少しすねているようだ。

「ヒューズさん。無視したことは謝りますから」

「はぁー。ほんとにお前ってやつは。次無視したら許さないからな」

「はーい」


俺達はダンジョンの話を進めた。

「ダンジョンはどうするつもりだ?」

「え?俺ですか?」

「考えはあるんだろ?途中で話を挟まれるのはわかってるから先に聞く」

「あーどうしようかな」

「なにがですか?」


俺はセフィーナさんにどこまで伝えるか悩んだ。

「うーん。セフィーナさん、この村どうですか?好きですか?」

「は、はい。好きです」

「この村の発展にこれからも尽力してもらえますか?」

「はい!」

「親にも話せない秘密を抱えてもいいんですか?」

「もうライル様で秘密は出来ています。1つや2つは変わらないです」

「わかりました」

俺はセフィーナさんにいろいろ話すことを決めた。


「実は先日、近くの森でダンジョンを2つ発見して攻略しました」

「えっ!」

「そのうちの1つはゴーレ達が攻略したのですぐ消滅したのですが、もう1つは僕も同行したので、ダンジョンコアと僕のスキルを同期することが出来ました」

「は?」

「僕はダンジョンマスターとしてダンジョン内の事をいろいろ調整ができます。今回出現したダンジョンもコアまでたどり着けば、いろいろ調整ができると思います」

「わかりません」

セフィーナさんは頭がショートしているようだ。

「セフィーナ様、その感情は正常ですが、ライルの前だと邪魔になってしまいます」

ヒューズさんが失礼なことを言ってる。


「なのでダンジョンに関しては、俺達が攻略するまで待ってもらえますか?」

セフィーナさんは悩んでいたが、すぐに答えた。

「わかりました。なら、疾風の斧が対処しているから問題ないと伝えないといけませんね」

「そうですね」

「マリーナさんを追いましょう!今ならまだ全然間に合います」

「「あっ!」」

「そういえば、どうしてマリーナさんがこの村に?」


俺はセフィーナさんに秘密の通路について話すことを決めた。決めたというか話すしかなくなった。




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