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190.ダンジョン消滅

俺はゴーレ達の出発を止め、学び舎でダンジョンで特訓をしているみんなを待ちながら反省をしていた。

「俺もう33だぞ?何でキレるとあんな感じになるんだ」

自分の子供っぽさを思い出し苦しくなった。

「あのまま俺が話していたら、多分攻め込んでいただろうな。ギルドマスターが悪意がないことにもすぐに気付けなかったし。本当にヒューズさんには感謝だな」


反省しながら待っていると、みんながやってきた。

「みんなお疲れ様―!」

俺が声をかけるとみんなの顔が引きつった。

「ん?どうしたの?まさか全然周回できなかった?」

みんなは黙って下を向く。


「どうしたの?」

するとルークとカシムが一歩前に出た。

「し、師匠」「ライルー」

「ん?」

二人は涙ぐんでいる。

「どうしたの本当に」


するとアメリアが話し始めた。

「ライル。ダンジョンが消滅してしまいました」

「え????」

俺は驚いた。


「責任はその時指揮をしていた私よ。本当にごめんなさい!」

「いや、お姉ちゃんじゃない!カシムと僕で合わせ技の練習をしていたんだ」

「それで?」

「俺が討ったリフレクトアローをルークが弾いて攻撃してみようとしたら、弾いた先がダンジョンコアで」

「なるほど」

「賭博師の弓の能力で矢が貫通しちゃって」

みんなはだいぶ申し訳なさそうにしている。


「その合わせ技面白そうだね」

「「え?」」

「ダンジョンなんて気にしないでいいよ。それより最下層のモンスター相手に合わせ技の練習ができるなんて、結構余裕だったの?」

「えっと4週目だった」

「すごい!みんなちゃんと成長してるってことだね」


ルークとカシムはキョトンとしている。

「許してくれるの?」

「うん。怒ってないしね」

「ありがとうライルー」

「ししょー!」


2人は泣き出した。その他のみんなは安堵の表情だった。


「まあ気にしないで!怪我とかじゃなくてよかったよ」

ルークとカシムは涙を拭いてこっちを見てきた。

「でも罰は欲しい!」

「ん?」

「ライルは許してくれたけど、何かしら罰がないとダメだと思う」

「うーん」

「何でもやる!」


ルークとカシムは年上だらけの後輩たちにちゃんとけじめを見せたいみたいだ。

「じゃあ、俺と3人で超大変な特訓にする?」


「「「「「「「ずるい!!!」」」」」」」

みんなが一斉に叫んだ。

「え?」


ニーナとアメリアが一歩前に出て口を開く。

「それは罰じゃなくてご褒美だと思う」

「そうよ。ここにいるみんながしてほしいことだわ」

「えーむずかしいな。じゃあ10日間レストラン使用禁止?」


「「「「「「ひどい!!」」」」」」

みんなが一斉に叫んだ。


「もうわかんないよー。じゃあ10日間ジュース禁止ね」

「「わかった」」

ルークとカシムは納得してくれたようだ。


「あーそういえば、ジョシュ達がギルドマスター達の手違いで冒険者になりました」

「「「「「「え!」」」」」」

「カイリ達の約束を破ってしまったと落ち込んでるから、みんなで慰めてくれ。カイリ達の方もね」

「「「「「「「はい!」」」」」」」


「ジョシュ達が元気になっているなら、明日パーティをしようと思うのでよろしくね」

「師匠!明日からは?」

「ヒューズさん達が帰ってくるから、学び舎で授業で」

「「「「「「「はい!」」」」」」

「じゃあ今日は解散!」


みんなは散り散りになって帰って行った。



▽ ▽ ▽



俺はカラッカの家に戻った。

既にマリーナさんは帰ってきていた。

ジョシュ達を見てみると落ち込んでいる様子ではなくなっていた。

ジョシュ達が俺に気付き、近づいてきた。

「ライル様!冒険者頑張ります!」

「ん?大丈夫なの?」

「ギルドマスターが謝ってくれました。それにヒューズさん達にいろいろ話を聞いてもらって、カイリ達が冒険者になる前に先輩として少し経験を積むことにしました」

ギルドマスターはもう来ていたのか。

それにしてもヒューズさん達は頼りになる。

ジョシュ達が前向きになるように言葉をかけてくれたようだ。

「そうか。頑張ろう」

「「「はい!!」」」

「カイリ達にはどう伝える?」

「自分たちでちゃんと考えたことを伝えます!」


もう泣きそうだよ。

ヒューズさんを見るとヒューズさんも泣きそうだった。


「そうか。なんかあったらいつでも頼ってね」

「「「はい」」」

「じゃあ3人が冒険者になったので、秘密の事を教えます」


俺は3人に秘密の通路を教えて、家に帰した。



俺はリビングに戻りヒューズさん達に謝った。

「さっきはキレて暴走してすみませんでした」

俺は頭を下げた。

「ははは!気にすんな、お前はまだガキなんだからちゃんと俺らを頼れ」

「そうよ、なかなかすごい殺気でびっくりしたけどね」

「私が目を離したのも悪いんだよー。ごめんねー」

「マリーナさんもすみません。ピリピリした態度をとってしまって」

「いいのよ。原因はあのバカギルドマスターなんだから」

俺は再度頭を下げた。


「ジョシュ達が元気になったので、明日はパーティです」

「おーいいな!」

「マリーナさんも来てください」

「絶対行くわ」


俺は伝え忘れていたことをみんなに伝えた。

「そういえば言い忘れていましたが、ダンジョンコアが壊れてしまいダンジョンが消滅しました」

「「「えー!」」」

疾風の斧は少し残念そうだ。


「あれ?私理解してないんだけど、ダンジョンって2つあったの?報告では1つだったよね?」

「あー俺がスキル使ってダンジョンマスターになれて、管理が出来そうだったので黙ってました」

「もー。疾風の斧も知ってたの?」

「うん!さっきリリアンから聞いた―」

「ほんとあなたたちわ」

「消滅しちゃったので、今回は諦めてください」

ヒューズさんは少しすねているようだ。


「原因は?」

「ん?」

「原因は?」

「えーっと、カシムとルークが合わせ技を練習中に矢に貫通の効果が付いちゃってって感じです」

それを聞くとヒューズさんは落ち込んだ。

「くー!それは怒れねー。頑張ってるあいつらを俺は怒れない」

「そうね。みんなが成長したら、遠征してダンジョン攻略しましょ」

「そうだな」

「リーダーってダンジョン好きだよね」

「好きっていうか、まだクララがパーティに入ってない時に挑戦したけどうまくいかなかったんだ。だからちょっとダンジョンって聞くと挑戦してみたくなるんだよ」

「へーそうなんだー」

クララさんは納得していた。


「壊れたダンジョンコアはどうします?」

「預かってもどうしようもないから、ライルくん持ってていいわ」

「あー使い道あるのかな?」

「たぶんないけど、ライルくんならどうにかしそうね」

「なんですかそれ。俺そろそろ帰りますけど、皆さんはどうします?」

「俺達も帰るぞ」

「私もレストランでご飯食べに行きます」


俺達はカラッカの家をあとにした。




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