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189.キレるライル

俺とヒューズさんは冒険者ギルドについた。

いつものカウンターにはマリーナさんがいた。

俺の顔を見るとひきつったような顔になった。

「マリーナさん。ギルドマスターと話したいんですが」

「ど、どうしたのライルくん」

「さっき家で預かっている獣人の子供たちが冒険者ギルドで泣かされたと聞いたんで」

マリーナさんは納得したようだ。

「なるほど、すぐにマスターを呼ぶから奥の応接室で待ってて」

「わかりました」

「すまんなマリーナ」

「大丈夫よ、私もマスターに気を引き締めてほしいし」

マリーナさんはそういうと2階へあがって行った


俺とヒューズさんは応接室に入った。

「どうする?」

「なにがですか?」

「お前が話してやばくなったら止めるか、俺が全部話すか」

「俺が話してやばくなっても止めないでください」

「はぁー」

ヒューズさんは頭を抱えた。



少しするとギルドマスターとマリーナさんが部屋に入ってきた。

「おうヒューズとライル!何か用か?」

「ギルドマスターお久しぶりです。先ほどうちの獣人の子供が3人来たと思うのですが」

「おー会ったぞ。強そうだったからサプライズで試験を受けさせて、冒険者登録してあげたら泣いて喜んでいたぞ!」

「なるほど」

「それがどうした?」

「ライル、一旦俺が話すからお前は黙ってくれ。ギルドマスター、その子たちは村にいる他の獣人の子供たちと一緒に冒険者になることを夢見て頑張ってきたんです」

「え?」

ギルドマスターは一瞬止まった。


「泣いていたのは喜んでるんではなく、悲しんでたんです。村で待ってるやつらとの約束を破ってしまったから」

「え?え?」

ギルドマスターの顔がどんどん青ざめている。

俺と目が合うともっと青ざめた。

俺は笑顔をキープしているはずだが。


「それで察していただいた通り、ライルはぶちぎれております。村の最大戦力がカラッカに向かっています」

「さ、最大戦力?」

「エンペラースライムを含めたテイムモンスターが11体」

「え、エンペラースライム?11体?」

「ウォーターコッコキングにキングクリーミーカウも居ます」

「え?」

「ライルの現在の意志は冒険者ギルドをつぶすと言ってます」


「すまなかったー!!」

ギルドマスターは頭を下げた。

「冒険者を目指す3人を喜ばせようと思ったのだ!!本当に申し訳ない!!」

「私からも謝らせて。この馬鹿を私が見張っておくべきでした。ごめんなさい」

マリーナさんも頭を下げた。


「俺ではなくジョシュ達に謝ってください」

「わかった。今夜謝罪に伺おう」

ギルドマスターは頭をこすりつけて謝った。

「ヒューズさん」

「ん?」

「なんかありがとうございます」

「お前さっきまでマジで鬼だったぞ」

「すみません。頭に血が上るとどうしても。昔っからの悪い癖かもしれないですね」

「昔ってガキが何言ってんだよ!」

「ははは。俺はゴーレのところに行って、出発を止めてきますね」

「おう。急いでいけ」

顔をあげたギルドマスターが口を開いた。

「ライル、本当に申し訳なかった」

「それは本人たちにお願いしますね」

「わかった…」

ギルドマスターの顔は青を通り越して黄色になっていた。


俺はマジックバッグから割れたダンジョンコアを出した。

「ヒューズさん。ダンジョン攻略の話、お願いしますね」

「「ダンジョン???」」

ギルドマスターとマリーナさんは声を荒げた。


面倒事はヒューズさんに任せて、俺は家に帰った。



▽ ▽ ▽



俺はダンジョンについてギルドマスターとマリーナに話した。

「ダンジョンがカラッカ領で見つかるとはな」

「そうですね、初めてですよね?」

ギルドマスターとマリーナは頭を抱えていた。


「攻略済みでダンジョンも消滅したらしいから、気にしないでいいと思うぞ?」

「そうですね」

「それにしてもヒューズ。あのライルはものすごいな」

「ははは。殺気ですか?」

「そうだ。この街を救ってくれた時から並みの冒険者ではないとは思っていたが、あれほどとは」

「元Aランク冒険者でもそう感じましたか」

「ああ、ライルは大物だな」

「あそこであいつの怒りを鎮めないと本当にギルドが潰されてましたよ」

「さっき言っていたテイムモンスターは本当なのか?」

「本当ですよ。ウォーターコッコキングとキングクリーミーカウ以外はギルドに登録してますよ。今日も3体追加で登録したので14体と配下のモンスターがいるのも居ますので100体くらいはいると思います」

「そんなにか」

「ライルは頭がいいのでいつもは冷静ですが、キレると歯止めがきかない。まだ子供なんでね」

「なるほど。大人びているとは思っていたが、子供らしいところもあるんだな」

「そうですね」

「ちなみにギルドをつぶそうとしていたモンスターと疾風の斧が戦ったらどうなる?」


俺は少し悩んだ。

「うーん。モンスター達だけなら、勝てますね。こっちの誰かは死にますけど」

「ほんとか!」

「ライルが指揮をとる場合、開始と同時にライルを仕留められなかったら3人とも死にます」

「本当に止められて良かった」

「ギルドマスターも今後は馬鹿なことをしないでくださいね。いつも良いことをしてるつもりで迷惑かけちゃうんですから」

「すまん」

ギルドマスターは落ち込んでいた。


「まあ基本は無害な良いやつなんで。自分の周りの人間が馬鹿にされたり傷つけさせられない限り大丈夫です」

「光剣の輝きの時もそうだったですもんね」

「そういえばそうだったな。なので、貴族やアホな冒険者には出来るだけ関わらせないでください」

「わかった」

「一応アイザック様とセフィーナ様とは深く交流はしているので領主様なら大丈夫かもしれませんが、出来るだけ関わらないようにお願いします」

「本当にお前のところのライルには気をつけないといかんな」

「俺のところのライルじゃないですよ。ライルのところの俺です」



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