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184.謎の洞窟

ワオーン!

チェスターさんが吠え、目の前のアイアントータスのヘイトを買う。

「土纏!」

コルカーさんが腕に土を纏い、大きな腕を作る。

その腕でアイアントータスを持ち上げてひっくり返す。

「重いな。オリバー頼む!」

「はい」

オリバーさんはひっくり返ったアイアントータスの腹に剣を刺す。

ギャアアアアア!

アイアントータスは叫び、消えて行った。


「また消えた」

私はアイアントータスがいた場所を見るが、居た形跡が全くなかった。


「ニーナちゃん。これは一体」

チェスターさんが不思議そうに聞いてくる。

私は首を横に振った。

私にも答えはわからなかった。

「ごめんなさい。でも、この森で何かおかしなことが起きているのかもしれないです」

「そうだよね、なんかおかしいよね」

「さっきから倒した魔物が全員消えているし」

「このまま森の奥に進んでいけば、何かわかるかもしれません」

「よし、なら進もう。カイリは大丈夫か?」

「うん!だいじょーぶ」

カイリは何がおかしいのか気付いていないため呑気だった。

「では、向かいましょう」


私達はさらに森の奥に進んだ。


▽ ▽ ▽


森を進むと、アイアントータスが数匹いた。

「ニーナちゃん。あいつらあの洞窟から出て来たんじゃないか?」

オリバーさんが指をさす方向を見ると、森の中に不自然な洞窟があった。

「チェスターさん。あれってなんだかわかりますか?」

「あれはもしかすると、ダンジョンかもしれない」

「「「ダンジョン??」」」


チェスターさんはダンジョンについて教えてくれた。

「俺が知っているのは獣王国のダンジョンだ。獣王国には数か所ダンジョンと言われる洞窟がある。中は何階層にもなっていて、モンスターがあふれている」

「モンスターが?」

「しかもそのモンスターは、倒しても死体にならずに消えてしまう」

「さっきのモンスター達と同じだ」

「だがダンジョンのモンスターを倒すと死体の代わりにアイテムを落とすはずなんだが、ダンジョン外で倒したからさっきは出なかったんだと思う」

「なるほど」

「でもこの状況はなかなかまずい。すぐライル様に伝えるべきだ」

「何でですか?」

「基本ダンジョンで生まれたモンスターはダンジョンから出てこないんだ」

「え?」

「ダンジョンからモンスターがでて来るときは、スタンピードが起こる予兆だ」

「スタンピード?」

「スタンピードはダンジョン内でモンスターが溢れ返ってしまい、ダンジョンから大量のモンスターが出てきてしまう現象の事だ」

「大量のモンスター!」

「今みたいに少しずつではなく、ダンジョン内にいるモンスターが一気に出てくると言われている。このダンジョンは何階層になっているかわからないが、相当な数のモンスターが出てくる可能性がある」

「すぐにライル様に伝えないと!」

「そうだな」

私達はチェスターさんの話を聞き、すぐ村に向かって移動を始めた。



▽ ▽ ▽



「よし!完成!」

俺はレストランでみんなの景品を完成させていた。

「ライル様!食べさせてください!」

約束通り、新作料理を食べさせるためセフィーナさん達もレストランにいる。


俺はセフィーナさん達の前に皿を出した。

「オークベーコンとアボカドのハンバーガーです」

「アボカド?」

セフィーナさんはアボカドを知らないようだ。

「時々うちのサラダにも入ってるでしょ?緑色の濃厚でクリーミーな野菜」

「あーあれですか。それをオークベーコンとハンバーグと一緒にパンに挟んでいるんですね」

「マヨネーズもソースとして入れてるから食べてみて!ポーラさんとカレンさんも遠慮なく」

「「「いただきます」」」


しかし3人はハンバーガーを一向に食べ始めない。

「どうしたの?」

「これはどうやって食べるものなのでしょうか?」

「手でつかんでかぶりついちゃって」

「まあ!そんなことをしても?」

「一番おいしい食べ方だから、やってみて」

「わ、わかりました」

3人はハンバーガーを手にし、口に入れる。


「「「おいしー!!」」」

3人は叫んだ。

「よかった!よかった!」

「ライル様、これは素晴らしすぎますよ!」

「本当においしいです。今まで食べたことがないです!」

「セフィーナちゃ、様について来てよかったよ」

3人とも美味しかったようで、俺は大満足だ。


「あとこれが本日のメインだよ」

「新作のスイーツですか?待っていましたわ!」

俺は3人の前にイチゴパフェを出した。


「すごい!これは本当に食べ物なんですか?」

「これほどのものは領主館でも出てきません」

「た、食べていいんですか?」

「どうぞどうぞ!」

俺はスプーンを渡した。


パフェと言っても、自家製のコーンフレークと生クリームとイチゴだけのシンプルなものだ。

前世から考えたら、アイスが入ってないと物足りない。


3人はスプーンでパフェをすくい口に入れる。



3人は黙っている。



「あれ?失敗しちゃった?おかしいなー。俺が味見した時は美味しかったんだけどな」

なんか間違えたのかと思い、3人の器を見ようとしたその時。


「「「おいしいーーーー!」」」

「よかったー」

「なんなんですか?この白くて甘くてふわふわのものは」

「セフィーナ様、そのふわふわと中のカリカリを一緒に食べると美味ですよ」

「幸せだー」

3人の反応は面白かった。まあ喜んでくれているのだろう。


「よし!これで景品は出来上がった」

俺が作ったものをマジックバッグに入れていると、レストランのドアが思いっきり開いた。

バン!

「ライルくん!」

「ライル様!」


ドアの方向を見るとニーナとチェスター達だった。



▽ ▽ ▽



「なるほど」

俺はニーナとチェスターの報告を聞いていた。


「そのダンジョンがスタンピード起こしそうなの?」

「はい。その予兆は見られました」

「なるほどー。てかこの国って他にダンジョンあるか知ってる?」

俺の質問にチェスターが代表して答える。

「私は言ったことがありませんが、この国にも何個かあると聞いたことがあります」

「そのダンジョンは冒険者が出入りして、モンスターを間引いているからスタンピードが起きないのか」

「その通りです」

「獣王国のも?」

「はい。獣王国にも冒険者ギルドも冒険者もこの国と同じように数個ありますので、全部国で管理しております」

「わかった、ありがとう!」


「ライルくん、どうするの?」

ニーナが心配そうに俺に問いてきた。

「うーん。明日ゴーレ達と見てこようかな?」


俺は正直ワクワクしていた。

異世界、ダンジョン、あるあるの中のあるあるだ。

レアなアイテムが出たり、ダンジョンの最下層にある玉みたいなのを触るとスキルがもらえたり、ダンジョンを管理したりする。これがお決まりだ。


「モンスターのレベルを探って、みんなに攻略してもらうのもいいかもね」

「やってみたい!」

「私もやってみたいです!」

「僕も!」

「俺も!」

みんなやる気のようだ。


「まあスタンピードが起きたら困るから、みんなを探して特訓終了を伝えてきてもらってもいい?」

「「「「わかりました!」」」」


ニーナ達はレストランから出て、みんなを探しにいった。



ドン!

レストランのドアがまた開いた。

ドアの方を見るとハーマンとゴーレだった。


「お!お疲れ。どうだった?」

ハーマンの顔はなぜか引きつっていた。

ゴーレの表情はわかんないが、何か申し訳なさそうにしている。


「「申し訳ありません!」」

「ん?どうしたの?」

いきなり頭を下げるハーマンとゴーレ。


「ゴーレ、説明してくれる?」

「承知致しました」


ゴーレはマジックバッグから球状の水晶のようなものを取り出した。

良く見るとその水晶には半分に割れていた。


「マスター、ダンジョンを発見いたしました」

「え?ゴーレ達も?」

「そしてダンジョンを攻略し、こちらの核のようなものを破壊してしまいました」

「えーーーー!!」




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