171.新しい従業員
カラッカの拠点で鬼将軍の剛角と話していると、ゴーレが呼びにきた。
「マスター。ネイサンさんがいらっしゃいました」
「ネイサンさん?誰だっけ?」
「ヤリネ奴隷商の従業員の方です」
「あー思い出した」
「ヤリネさんからの伝言を伝えて、お帰りなられました」
「またか。奴隷商に来てほしいってやつだよね?」
「その通りです」
「また預かってほしい奴隷がいるってことか。とりあえず話を聞きに行くか」
俺とゴーレは奴隷商に向かった。
▽ ▽ ▽
ヤリネ奴隷商に着くと、いつもの豪華な部屋に通された。
「ヤリネ奴隷商へようこそ。ライル様」
「こんにちはヤリネさん。また救ってほしい奴隷がいるんですか?」
「そうですね。いつものようにお気に召さないようでしたら購入しなくて結構です」
「まあ一度会わせてくれ」
「承知致しました。少々お待ちください」
ヤリネさんは一度部屋から出た。
数分待つと、20人近い奴隷を連れて戻ってきた。その奴隷はエルフだった。
「多いですね。エルフですか?」
「そうです。隣国のダラーガ帝国の近くの森で暮らしていたエルフです。エルフ狩りで捕まり、違法奴隷として売り出されようとしていたところを私の知り合いが保護致しました」
「ダラーガ帝国っていうところではそういうことが日常茶飯事なのですか?」
「帝国は人族以外の種族を迫害している国です。エルフや獣人などを無理矢理捕まえて、奴隷にしています」
「なるほど、このエルフ達は俺の奴隷になることを認めているんですか?」
「ライル様とお話をしていただいてから決めてもらおうと思っています」
「わかりました。じゃあ話してみます」
俺はエルフ達の前に行き、話しかけた。
「こんにちは。ヤリネさんに皆さんを買うように勧められたライルと言います」
するとエルフの男性が1歩前に出て喋り出した。
「私はこのエルフの代表をしておりますビューロと申します。よろしくお願いします」
「よろしく。ヤリネさんから君達を買ってくれって言われたんだけど、俺の奴隷になることに抵抗ない?」
「抵抗がないと言われたら嘘になります。しかし、帝国で奴隷になるよりかマシだと思ってます。それに私達を助けてくれた人の知人であるヤリネさんがライル様を勧められました。よくわからない人達に買われてバラバラになるくらいなら、ヤリネさんが勧めてくれたあなたの奴隷になります。びっくりするくらい子供ですが」
「わかりました。ちなみに俺は5歳です。それでもいいですか?」
「故郷は焼かれた。私は私達を救ってくれたヤリネさんを信じたいと思います」
エルフ達のヤリネさんへの信頼をものすごく感じた。
「ヤリネさん、ヤリネさんが雇ってあげれば良くないですか?」
「流石に23名分の仕事がございません。仕事が多そうなライル様のところが1番イキイキできると思いますよ」
「わかりました。そこまで言うなら23人購入します」
「ありがとうございます」
「奴隷解放もお願いしますね」
「承知致しました」
「「「「え?」」」」
エルフ達が驚いた。
「ライル様、ヤリネさん、今何とおっしゃいましたか?」
「ライル様は貴方達を奴隷から解放するとおっしゃいました」
「なんで・・・」
「毎回この説明をしているのですが、ライル様を良く知っておられる方のお言葉です。ライル様はだいぶお人好しとのことですよ。恩義を返すか、自由に生きるか皆さんで話し合ってください」
「そうですね。自由に生きる場合は、数日は生活できるようにお金は少し渡しますよ」
驚いていたエルフ達は話し合いを始めた。
1分ほど待つと、代表のビューロが口を開いた。
「ライル様、奴隷解放ありがとうございます。私達23名全員、ライル様の商会で働かせてください」
「わかったよ、よろしくね」
俺はピューロと握手をした。
▽ ▽ ▽
俺はピューロ達を連れ、拠点に戻った。
アメリア以外の鬼将軍の剛角にエルフ達を任せた。
俺はエルフ達に目隠しをしてもらった。
「秘密の通路を使って、温泉に連れていってあげて。温泉で綺麗にしたら、シモンキリーの服を着させてレストランで食事させてあげて」
「「「「はい!」」」」
「村のアパートは増築しとくから、空いてるところを使ってもらうようにしといて」
「「「「わかりました」」」」
みんなはエルフ達を連れて村へ向かった。
「アメリアはマリーナさんが来るまでここに待機だからね」
「はい!」
俺はすぐに『秘密基地』のマップを使い、従業員アパートをカスタマイズした。
元々は風呂トイレ付きの1LDKを1階に8部屋、風呂トイレ付きの2LDKを2階に4部屋、大きいダイニングとキッチンを3階に作ってあったが、4階・5階・6階を追加した。
4階・5階・6階には風呂トイレ付きの1LDKを8部屋ずつ用意した。
「こんなもんか」
俺はアメリアとマリーナさんが来るのを待った。




