16.夢のゴブリン
「ほんとに気をつけるのよ!」
お母さんは心配そうに言う。
「わかった。フリードもいるから大丈夫だと思うけど、気をつけていってくるね」
昨日の晩御飯の時に、二人に森に行くことを伝えた。
お父さんの許可は簡単にもらえたが、お母さんの説得には時間がかかった。
俺はバッグを持ち、厩舎へ向かう。
▽ ▽ ▽
フリードに乗ってるおかげで道中は何も起きず、疲れてもいないのでそのまま森へ入っていく。
「今日は二人でレベル上げだから一緒に戦うぞ!」
ヒヒーン
フリードが嘶く。
「お!スライムだ。フリード、まずは俺に任せてくれ。エアアーム!!」
肩の上に風の腕が出現した。
草むらからスライムが5匹現れていた。
シャドーボクシングのようにパンチを何回も繰り出す。
風の腕も同じように動き、スライム達にダメージを与える。
「おら!おら!こうだ!こうして!こうして!よし!」
武術の心得がない俺の不恰好なシャドーボクシングの先では核を取られてしまったスライムの残骸が残っている。
「はぁ、はぁ、はぁ、体力も筋力も全然ついてない状態でこの戦闘の仕方はダメだー!流石にきつい、フリードごめん交代」
次々に現るスライムをフリードは踏みつけたり、空歩で高い位置からのしかかったりして殲滅していく。
「フリード普通に強くね?ちょっとレベル上げたら、いじめてた石の鳥も倒せるようになりそうだな。フリードごめん!ちょっと横にならせて」
今までは、距離をとった相手に魔法で攻撃していたからか、久々に激しく身体を動かしたせいで思った以上に体力を持っていかれたようだ。
▽ ▽ ▽
「やば、寝ちゃってた、フリードは・・・うわ!すげぇ倒してる!魔石拾い大変なのに」
フリードの周りには大量のスライムの残骸と見たことない魔物の残骸が散らばっていた。
「これはなんだ?おー!!異世界転生して、まだ出会ってなかったゴブリンじゃん!すげぇー!やっぱりスライムの森じゃなかったんだな!安心したわ!」
散らばる魔石を拾っていると、目の前に汚らしい手作りのナイフが落ちていた。
拾おうとするとフリードが袖に噛みついてきた。
「どうした?これ触っちゃダメなのか?」
フリードは袖を噛んだまま頷く。
ナイフをよく見てみると刃先に変な色の液体が付着していた。
「これ、毒だったりする?」
フリードは袖を噛むのをやめて頷く。
「危なかった!ありがとうフリード!これは危ないから土に埋めておこう。てか毒のナイフ持ってるやつに勝つなんてすごいな!」
フリードの頭を撫でる。
現在の成果は
スライムの魔石72個
ゴブリンの魔石10個
「ゴブリンの魔石は鳥のモンスターの魔石とサイズが同じだから5Pか、だから266P。足りない。しかも俺はほとんど寝てたから経験値が入ってない!!フリードもうちょっとだけ奥行こう」
▽ ▽ ▽
フリードに乗って少し進むと、花畑が広がっていた。
「すげぇ綺麗。なにこれ、こんないいところあるの?」
花畑を鑑賞しているとサイズの大きいさまざまな虫が飛んでいることに気づいた。
蜂・蝶・てんとう虫・クワガタみたいなのがいっぱい飛んでいた。
「サイズでかい虫って気持ち悪いかと思ったけど、蝶とてんとう虫は綺麗だし、蜂とクワガタはかっこいいな!てかこいつらもモンスターなのか?でも全然攻撃してこないけど」
俺やフリードがいるのに目の前を通り過ぎたり、近づいても逃げていかない。
「中立?のモンスターもいるんだな、巣にちょっかい出したり、攻撃したりすると一斉に襲いかかってきそうだな。中立をわざわざ倒す必要ないから、この場を離れるか。フリード、いくよー!」
フリードに乗り、その場を離れた。
▽ ▽ ▽
「フリード!ゴブリン見つけた。こいつらは俺にやらせてくれ」
目の前にはゴブリンが6体。
グギャギャ
グギャグギャ
ゴブリン達は俺達に気付き、戦闘態勢を取り始めた。
「くらえ!エアショット!エアショット!エアショット!」
エアショット3体のゴブリンの身体にめり込み、ゴブリンが倒れる。
「うお、あぶね!」
死角から現れた新しいゴブリンが棍棒で殴ってきた。
それを華麗にかわし、
「ウィンドアロー!」
4本の風の矢は最初に接敵したゴブリン3体と棍棒で攻撃してきたゴブリンを貫く。
グギャグギャ
棍棒を持ったゴブリンの集団は残り4体。
「ウィンドアロー!」
残りのゴブリンの身体を矢が貫いた。
「なかなかいいじゃん魔法での戦闘。どうだったフリード?」
ブルルルル
フリードは嬉しそうに頷いた。
「いや、でも魔石回収は大変だなー、ぐちゃぐちゃだし」
肉片や血が散らばっていた。
「あ!いいこと思いついた。ステータス!」
俺はステータスのディスプレイをいじり始めた。
「よし、やってみるか。掃除!」
俺の身体が一瞬うっすらと光った。
「あれ?これ発動してんのか?まあやってみるか」
魔石を拾おうとすると身体がものすごい速さで勝手に動き始めた。
「うおーこれすごい。勝手に身体が動いてくれるし、全然疲れない」
あっという間にゴブリンの肉片は1箇所に集められ、
ゴブリンの魔石11個とゴブリンの棍棒5本が目の前に置かれていた。
「掃除スキルは神スキルだ。棍棒ももしかしたら売れるかもしれないし、持ち帰るか」
棍棒と魔石をバッグに入れる。
「よし、フリード!ゴブリン探しだ」
フリードは俺を乗せて走り出した。
現在の成果は
スライムの魔石72個
ゴブリンの魔石21個




