163.剛角
中立モンスター達はあれから何度も来て、キノコと木の実の手土産を持ってきてくれた。
獣人の子供達と仲良くなったようで、毎日一緒に遊んでいた。
そろそろヒューズさん達が街に到着するので、カラッカの拠点でみんなを待つことにした。
その間、獣人の子供達の面倒は父さんと母さんにお願いしてきた。
「ゴーレ、王女様を家から出さない方法って何かあるかな?」
「申し訳ありません。私には思い付きません」
「だよねー。実力行使とかも出来ないしね。やっぱり娯楽しかないのか。ガチャするしかないかー。ポイントってどのくらいあるんだっけ?ガチャ!」
ディスプレイが出てきた。
所持ポイント1,654
「なんか新しいの出てるな。娯楽ガチャのスペシャル版みたいなことか?」
☆娯楽ガチャ
大人な君に向いてるガチャだよ!
5連 500P
☆娯楽ガチャ(UR確定)
大人な君に向いてるガチャだよ!
5連 2,500P
「ポイント足りねぇ。俺が1人で外出ると目立って門兵に不審がられるよな。魔石集めは村に戻ってからにするか」
俺はリビングでガチャを色々見ていると家の扉が開いた。
ヒューズさん達が到着したようだ。
「あーライル。来てたのか」
「今さっき来ましたよ」
「ヒューズさん達は今着いたんですか?」
「俺らは朝一について、そのままこいつらの冒険者登録をしてきた」
「おっ!結果は?」
「全員合格だ。パーティ登録も済ませておいたぞ」
「よかった。ありがとうございます」
俺達が話しているとアメリア達が近付いてきた。
「ライル師匠!無事合格しました」
「みんなおめでとう」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
「ゾーイは武器に不具合ない?」
「この武器凄すぎです。私の戦い方にあってる気がします」
「それは良かった」
するとニーナが来た。
「ライルくんこれ!」
ニーナがマジックバッグから取り出したのは、大量の魔石だった。
「どうしたのこれ?」
「街に来る途中で、大量発生を2個潰してきた」
ヒューズさんが答えた。
「え?上位種とか平気でした?」
「上位種は俺達が処理した。残りの奴らは鬼将軍の剱と鬼将軍の剛角だけでやったぞ」
鬼将軍の剛角?
「ヒューズさん。またやりましたね」
「なにがだ?」
「ビールなしでいいのか?ヒューズ!」
「おい、怒りすぎて口調が変わりすぎだ!」
「誰だ考えたのはヒューズお前か?それともクララか?アメリア達が可哀想だろ!」
俺はちゃんとキレてた。鬼将軍が名前に入ってるパーティはさすがにかわいそうすぎた。
すると、アメリアが申し訳なさそうに口を開いた。
「ラ、ライル。鬼将軍の剛角って名前は私達が考えたの」
「え?」
「ニ、ニーナ達の鬼将軍の剱って名前が羨ましくて。ごめんなさい」
少し怯えてるアメリアを見て、俺は冷静になった。
「ごめん、ヒューズさん達に無理やりつけられたのかと思って。アメリア達が自発的にやっているのであれば問題ないよ」
「「「「「よかった」」」」」
アメリア達は安心していた。俺が怒ってるのが珍しかったようだ。
そんなことを思っていると、誰かが俺の頭に手を置いた。
「ライル、俺達になんかいうことないか?」
「あーですよね。今から素直に謝ったら許してもらえる感じですかね?」
「許すが、素手での模擬戦30本はやってもらうぞ」
「疑ってしまって、すみませんでした」
「よし、行くぞ」
俺は首根っこを掴まれ、庭に連れて行かれた。
そのあと俺は、ヒューズさんとクララさんと30本ずつ素手の模擬戦をやった。




