142.レストラン計画
朝起きると片付けなかったアイテムが散らばっている。
アイテムをバッグにしまい、久々に家族と朝ごはんを食べた。
「畑の調子はどう?」
「快調すぎて困ってる、アカ・アオ・キー・ドリーがすごい手伝ってくれるから、正直楽だ」
「ライル、お母さんまた洋服作り手伝いたいんだけど」
「あーそしたら農業部門の責任者は父さんだから、母さんには縫製部門の責任者をしてもらおうかな?」
「本当?いいの?」
「今ちょっと忙しいから、それが終わったら縫製部門をしっかり作るから」
「わかったわ」
俺は朝ごはんを食い終わると、鍛冶屋に向かった。
▽ ▽ ▽
鍛冶屋に来ると、マデリンが掃除をしていた。
「マデリン、おはよう」
「おはようございます、ライル様」
「ちょっと渡したいものがあるから、中入っていい?」
「はい、どうぞ」
作業場に入ると、ガルスタンが作業をしていた。
「おはよう、ガルスタン。いきなりなんだけど、2人とも魔力ってある?」
「おはようございます。鉄を打つ時に魔力を込めるので、人よりはだいぶ多めにありますね」
「私もです」
「なら大丈夫か」
俺はカスタマイズで、炉を消した。
「「え?」」
驚く2人を横目に、
バッグからカードを取り出し、魔力を注ぐ。
ポンッ
炉があったところにマジック炉が設置された。
「これ魔力で動く炉だから。これ使って」
2人はまだ驚いたままだ。
「あと、鍛冶用のハンマーと素材を置いておくね」
カバンからハンマーと鉄と金とミスリルを出した。
「ミスリルは俺らの装備の強化に使ってね」
「「ミ、ミスリル?」」
2人はもっと驚いた。
「2人とも驚いてばっかだけど、そろそろ慣れてね。俺は別のところに用事あるから行くね」
固まった2人を放置して、俺は移動した。
▽ ▽ ▽
俺は3Bを道にして、レストランエリアの裏の2Bに大きめの小屋を立てた。
「ここを食品工場にしよう」
中に入り、ちょっとしたキッチンを作り、
昨日ガチャで手に入れたものを色々と設置し設定した。
・マジックジューサー
・マジック分離機
・マジック製麺機
・マジック乾燥機
・マジック燻製機
・液体調味料製造タンク×6
(醤油・お酢・中濃ソース)
・マジック容器製造機
(100mlボトル・2Lボトル・20Lボトル・残り2枠)
ジューサーは果物のジュースやイチゴミルクを作ろうと思う。
分離機は生クリームくらいしか思いつかないから、一旦牛乳から生クリーム作り。
製麺機と乾燥機はまだ使い道はない。
液体調味料製造タンクは全部設置したが、まだ三つしか登録していない。
マジック容器製造機はジュースや調味料を売るつもりなので、それ用で容器の登録をした。
マジックボックスを数個設置した。
俺は試しに液体調味料タンクから醤油を出して舐めてみた。
「醤油だ。うまい!これで色々作れるぞ」
小さいウィンドウが出てきた。
同期するマジックアイテムを選択してください。
ゴーレム達とマジックアイテムの同期を済ませた。
設置し終わると、新しく召喚したゴーレムが近づいてきた。
「みんなにはレストランとこの工場の管理をお願いするから、よろしくね」
調理ゴーレムはワー・ヨー・チュー・イーという名前で、配膳ゴーレムはトレスとターだ。
俺の言葉を聞いたワー達は頷き、どこかへ行った。
多分果物とか取りに行ったのだろう。
俺は魔力が必要な道具に魔力を入れ、工場から出た。
▽ ▽ ▽
レストランに向かった。
「おしゃれ酒場だなー。真ん中に調理場があるのがいいね」
俺は調理場にガチャで出た調理器具とマジックアイテムを置く。
マジック黒板
マジックジューサー×1
マジック製氷機
マジックドリンク製造タンク×3
(コーラ•ビール)
マジックエプロン×5
「これでドリンク系はガンガン出せるな。ジョッキが俺がガチャで出したやつしかないから、ガルスタンに作ってもらうか」
マジックアイテムの動作確認していたら、腕が治ったゴーレが居た。
「マスター」
「ちゃんと治ったんだね。よかったー」
「お手数をおかけしました」
「いやー治ってよかったよ本当。いつかあのワーウルフと決着つけないとな」
「はい。マスター何かご指示などありますか?」
「うーん。新しいゴーレムが6体いるんだけど」
「すでに同期は済ませております」
「じゃあ、ブレイズ夫妻とニーナとチャールズ兄をここに呼んで。俺はセフィーナさんのところに行って戻ってくるから」
「承知しました」
ゴーレはレストランを出て行った。
俺もセフィーナさんのところに向かった。
▽ ▽ ▽
ポーラさんに案内され、セフィーナさんのところに着くと昼食を食べていた。
「こんにちはーセフィーナさん。え?」
「ライル様、どうしました?」
俺が驚いている様子を見てびっくりしていた。
「えっと…昼食これだけですか?」
セフィーナさん達はうちの村が昔食べていたような硬いパンとサラダと薄いスープを食べていた。
「実は、私としたことが1つミスをしてしまって」
「ミス?」
「実はポーラとカレンは料理が得意ではないのです。カラッカでは領主館で料理人を雇っていたのと、この村に来てからはライル様のところでご飯をいただいていたので完全に失念していました」
セフィーナさんはちょっと落ち込んでいた。
「セフィーナさん達は家でご飯を食べなくても平気ですか?」
「ん?どういうことですか?」
「毎日昼と夜は外で食事を取り、朝ご飯は作り置きしたものをマジックボックスに入れておいてお皿に盛るだけってのはどうかなーって思ったんですけどね」
「それは嬉しいのですが、ライル様のご負担になりません?」
「俺が作らないので問題ないです。料理を作る人に少し給金を渡していただけたら頑張ってくれると思いますよ」
「構いません。ライル様にご紹介いただきたいです」
「わかりました」
「ありがとうございます」
「とりあえず、今日の夕飯は領主代行館の向かいにあるレストランに来てください」
「わかりました!」
ポーラさんとカレンさんも頭を下げた。
「ライル様、領主代行館って名前どうにかなりませんか?」
「領主館じゃまずいでしょ?セフィーナ城とかでもいいけど」
「領主代行館で大丈夫です」
▽ ▽ ▽
レストランに着くとブライズ家とチャールズ兄が到着していた。
「すみません、呼び出してしまって」
俺が目に入るとブライズさんが興奮しながら、
「ライルくん!ここはなんだ?すごいじゃないか!」
と言ってきた。
「一旦落ち着いて話聞いてもらえます?」
「ああ、すまない」
「今日はブライズさん、そして奥さんのマリーさんとニーナに提案があってお呼びしました」
「提案?」
「ブライズさんとマリーさん、うちの従業員になりませんか?」
「「え?」」
「もしなってもらえるなら、ブライズさんにはライル商会の食品部門の責任者をしながら、このレストランの店長をし、領主代行の食事を作る仕事。
マリーさんはエクストラスキルが裁縫向きと聞いたので、うちの母と一緒にシモン布を使った衣服作成をして欲しいです」
「え?本当か?」
「私がいいの?」
「お2人はニーナの親ということでだいぶ信頼してますし、ブライズさんには何度かお世話になってますしね」
ブライズさんとマリーさんが黙っている。
「ライルくん。いやライル会長、俺にここのレストランをやらせてくれ」
「私も縫製の仕事やらせてもらいたいです」
「わかりました。1つ条件があります」
「「はい」」
「俺はニーナの幼馴染です。なので態度は今まで通りでお願いします」
「わかった」
「わかったわ」
「あと、このレストランの裏に家があるんですけど引っ越します?」
「いいのか?」
「構いませんよ。ブライズさん達が引っ越してくれたら、うちの敷地を西に広げられますし」
「じゃあ、頼む」
「ゴーレ」
「すでにアカアオキードリーが荷物を運び出しております」
「優秀だけど、ブライズさん達に許可取らなきゃダメだよ!」
「大変申し訳ありません」
「ブライズさん達は、家に戻って引っ越しをお願いします。ゴーレ達が手伝ってくれるので」
「わかった。すぐ行ってくる」
ブライズさんとマリーさんは家に向かった。
ニーナが俺のところに来た。
「ライルくんありがとね」
「ニーナ。信用しすぎだぞ。俺がお前の両親を無茶苦茶こき使うつもりかもよ?」
「ライルくん。そんなことしたら、負けるとわかってても全力で戦うよ?」
「ほんと誰に似たんだよ」
「ライルくんかな?」
ニーナは引っ越しに向かった。
「あの・・・」
チャールズ兄が申し訳なさそうに立っていた。
「何で僕は呼ばれたのかな?」
「チャールズ兄、うちで働かない?」




