132.大敗北
目が覚めた。俺はベッドで寝てるようだ。
「いてぇててて」
頭が少し痛む、ウィンドアローを30本を同時使用はやはり無理しすぎたようだ。
外を見ると夕方だ。
そしてすごい腹が減っている。
「そういえば、みんなは?」
リビングに行くと、みんながいて安心した。
「おはよう。何日くらい寝てた?」
そうみんなに声かけると、泣きながら俺の元へ来た。
「師匠ー!負けちゃったよー」
「2日だよー師匠」
「約束守れなくてごめんねー」
「僕がもっとできたらー」
「ライルくんごめんなさいー」
「大丈夫だよ。俺もとどめさせなかったんだごめん」
みんなは泣き止まなかった。
みんなを宥めていると、クララさんが話してきた。
「ゴブリンとコボルトはライムのおかげで全滅できたよー!他の2箇所についての報告は、ライルが起きたらギルドに来て欲しいってさー!みんなもずっとこの感じだからーライルにまとめて欲しいみたいだよー!」
「わかりました。今日はみんなから話聞いて、明日報告に行きます」
「わかった!マリーナに伝えてくるねー!」
クララさんは家を出た。
「じゃあ、みんなに何があったか教えてもらえる?」
▽ ▽ ▽
俺は部屋に戻り1人考え事をしていた。
みんなを宥めて話を聞いたが驚くべきことが多かった。
・鬼将軍の剱はオークの大量発生を止めることが出来たが、卵から生まれたと思われるオークに全滅させられた。
・そのオークは人間に近いような姿だった。
・そのオークが乗ってきたドラゴンにルークが連れて行かれたが、シモンが糸を繋いでついていき、ドラゴンを討伐しようとした。
・ルークがドラゴンのテイムに挑戦したら上手くいってしまった。
・俺とゴーレとフリードはそのドラゴンとルークとシモンに発見された。
・鬼将軍の剱とキリーはライムとノコとクララさんに発見された。
・俺とみんなの怪我は回復魔法で治ったが、ゴーレの左腕は治らなかった。
「俺がとどめをさせなかったワーウルフを連れて行ったのは、やっぱりオークだったのか」
あのワーウルフもオークも変な感じがした。
なんてモンスターなのかも分からないほど強いやつなのか?
「マスター」
俺の部屋にゴーレがやってきた。
「ゴーレ、大丈夫?」
「申し訳ありません。マスターを危険に晒してしまいました」
「気にしないで、あれは化け物だったよ。まずは腕直す方法を考えないとね。まあガチャに頼るよ」
「申し訳ありません」
ゴーレの表情は変わらないが、落ち込んでるように見えた。
「明日冒険者ギルドに行くから、ゴーレも同行してね」
「わかりました。失礼いたします」
ゴーレは部屋を出て行った。
「はぁー。今回は大敗北か」
俺は涙が出そうになるのを押さえた。
▽ ▽ ▽
俺は冒険者ギルドに来ていた。
目の前にはマリーナさんとダンディでガタイのいいおじさまがいた。
「ライルと言ったな。はじめまして、ギルドマスターのガイガットだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
俺は頭を下げた。
「まず今回のことに関して説明してもらいたいのだが、可能か?」
「昨日のうちにまとめておきました」
俺は紙を2人に渡した。
それを読むガイガットさんとマリーナさん。
「なるほど、オークとワーウルフの未確認の上位種か」
「これは王都に報告しないといけなそうですね」
「そうだな。ライルよ、このドラゴンをお主の弟子がテイムしたのは本当か?」
「本当です。昨日のうちに確認しました。ライトニングドラゴンという種類で口から電撃を吐きます。サイズは大人1人が乗れるサイズです」
「ほぉー鬼将軍の剱の今後は期待できそうだな」
「ありがとうございます」
「今回の件だが、お主が捕まえた盗賊から地図を見つけ、お主がテイムしたエンペラースライムが2箇所、鬼将軍の剱が1箇所、お主が1箇所を防衛してくれた。そのおかげでこの街に被害がなかった。本当にありがとう」
ガイガットさんとマリーナさんは頭を下げてきた。
「いやいやいや、僕らは上位種を逃がしているし」
「それはそうかもしれんが、お主たちがいなければこの街は終わっていた。本当にありがとう」
「わかりました。そのお気持ちは受け取ります」
「ありがとう。それで素材と魔石と報酬についてだが、、、」
「冒険者ギルドで使ってください。手伝ってくれた冒険者にでも配ってあげてください。出来れば魔石を200個くらい頂けたらなーとは思いますが」
「そんなもん渡すに決まってるだろ!素材や報酬は本当にいいのか?」
「商会をやっていますので貯蓄はそれなりにあります。あ!鬼将軍の剱に少しでいいので与えていただけたらそれでいいです」
「ほー欲がない男だな」
「じゃあ2つだけお願いをしてもいいですか?」
「言ってみろ」
「未確認のオークとワーウルフの情報は僕にも教えてください。村に手紙でも、商人ギルドのアイザックさんに伝えるでもいいので。あと鬼将軍の剱の活動を少しでいいんでフォローしてあげて欲しいです。子供だけのパーティなので、色々巻き込まれる可能性があるので」
「お主も子供じゃろ。お主のフォローは要らんのか?」
「僕は冒険者をメインに活動するつもりはないので。メインは村の発展と商会の発展なんで」
「そうか、わかった。お前の要望は受けよう」
「ありがとうございます!」
俺は話を終え、冒険者ギルドを後にした。




