129.ライムとノコ
門の前にみんなが集まった。
「ノコ、ライムを掴んでこんな位置まで飛んでいってくれ」
ジジジジジジ!
俺は地図を指差してノコに伝えた。
「ライムは街に向かってるコボルトを全員食べちゃっていいからね」
ポニョポニョ!
ライムは嬉しそうに飛び跳ねた。
「もし早めにコボルトの処理が終わったら、冒険者が対応してるゴブリンの手伝いに行ってくれ」
ジジジ!
ポニョ!
「鬼将軍の剱とシモンとキリーはオレたちと途中まで馬車で移動。戦闘の指揮はニーナ頼んだ」
「はい!」
「シモンとキリーも緊急時以外はニーナの指示に従ってくれ」
チチチ!
シャシャシャ!
「なんか聞いておきたいことあるか?」
「「「「「大丈夫です」」」」」
「よし!みんな馬車に乗って!出発するよ」
みんなは馬車に乗り、ノコはライムを掴んで飛んでいった。
▽ ▽ ▽
ジジジジジジ!
ノコはライムを掴み、ライルに言われた地点に向かっていた。
ジジジ?
ノコは向かってる方向に大量のコボルトがいるのを発見した。
驚いたのは、コボルト達がきちんと並び進軍しているということだ。
統率が取れてるということは、それなりの上位種がいるということだ。
ジジジジジジ!
ポニョポニョ!
ノコはライムをコボルトの軍の前に落とした。
ポニョポニョ!
ライムは地面に着地した瞬間、巨大化した。
コボルト達とカラッカの街の間に壁のように立ち塞がった。
ワォーーン!
エリートコボルトがライムの存在に気づき、叫ぶ。
それと同時に100体近くのコボルト達が走ってライムに向かっていった。
ポニョ!
ライムは向かってくるコボルトに動じない。
先頭のコボルトがライムに攻撃を仕掛けた瞬間、体を少し転がして突っ込んできたコボルトを飲み込んだ。
ライムの体の中にいるコボルト達はみるみる溶かされ、跡形も無くなった。
ワォーーン!
次々とエリートコボルトの指示でコボルト達が突っ込んでくるが、どんどん飲まれて溶けていった。
ポニョ!
ライムはいっぱい食べられて満足そうだ。
ドン!ドン!ドン!
シュ!シュ!シュ!
ライムに沢山の火の球と矢が飛んできた。
コボルトメイジとコボルトアーチャーの攻撃だった。
矢は体に吸収して溶かすが、魔法攻撃を無効にできないライムは少しダメージを受ける。
ワォーーン!!
その様子を見逃さなかった、エリートコボルトはメイジに指示を出した。
大量の火の玉がライムを襲う。
ライムは全弾くらってしまった。
怯んでいるライムに追い討ちをかけるように、火の矢と雷の矢が飛んで来る。
後方にいたコボルトウィザード攻撃だった。
防戦一方になるライム。
ジジジジジジ!
その様子を見ていたノコがライムに何かを伝えた。
ポニョ!
ノコに何かを言われたライムは今の5倍ほどコボルトたちの方向に巨大化した。
魔法攻撃するコボルトメイジとコボルトウィザードも、
矢を放ち続けるコボルトアーチャーも、
指揮を取るエリートコボルトも、
後方に居るコボルトナイトも、
一瞬にしてライムに飲み込まれた。
最後尾に居る、コボルトジェネラル以外全員飲まれた。
ジジジジジジ!
コボルトジェネラルの首をノコがギロチンで刎ねた。
その死体をライムは飲み込んだ。
▽ ▽ ▽
私はカラッカの冒険者達と大量のゴブリン戦っていた。
矢を放ち、エリートゴブリン2体の頭を貫通させた。
「上位種は私がやるから!みんながんばってーー」
「「「「おー!!」」」」
みんなの士気を上げるけど、戦況は苦しかった。
Bランク冒険者は私だけ。
C・Dランクも数は少なく、殆どがE・Fランクが殆どだった。
E・Fランクでもゴブリン数匹なら倒すことはできるが、こんな大量なゴブリンの対応は初めてだからうまくいってないようだ。
「クララさん!別モンスターの増援です!」
こんな状況で増援なんて最悪だ。
これは最悪、撤退の可能性もあるぞ。
私は報告してきた冒険者の指さす方向見ると、今までの考えが全部なくなった。
「あれは、私たちの増援だよー!」
指差す方向には山のようにでかいスライムと見慣れたクワガタのモンスターがいた。
「ノコ!ライム!お願いやっちゃって!」
ジジジジジジ!
ポニョ!
ライムはさらに巨大化し、ゴブリンの集団を丸呑みした。




