オープニング ~〖現実〗においての予知夢の現実と、そのなかにある【現実】の予知夢~
「球根かよここ!」
<ダイタイオマエハ一体、何者ナノダ…………>
「なにものって!? 俺は泣く子も更に泣きわめく!! 蛮勇のなかの蛮勇! て」
<ソウカ。オマエハ静謐二生キトシ生ケルモノノ先導者トシテ、ソノ身ヲワタシニ委ネナイ者カ>
「な、な、何をいきなりいってんだ!! さっぱり訳がわかんねえよ!!」
<オマエハソノ『人鞘』トナル者ナノカ、期待シテイタノダガナ>
さっそくだが主人公。いつものようにガーガー喚いて辺りをキョロキョロ見回す「騒ぐ」が止まらない。いつものように落ち着かなく青ざめた表情を浮かべている具合だ。
「透明な青白い空間だ、でも先はなぜか見通すことが出来ないぞ。何かモヤでもかかっているようにも見えるけど」
異空間ともいえるのか。想像が現実に追いつかない。ってな場所に童は放り投げられた、なので。
なんーーとか、柔軟~~、に。彼は気張ろうとする。頭がおかしくならなく、アホになる程度で……そもそも何かorすべてが、おかしい?!
「何だよこの空間! とっくりみたいな形状した変な有り得ねえの!!『神聖な青』っていう色彩が辺り一面にそれはそれは広がってるけど、そのとっくりの下部分にあたる形半透明だし、床がホールみたいになってるのに凹んでらっしゃるから、会議とかしようにも不安定過ぎて怪しい『不安亭』でするってことだほー?」
<オマエコソ何ヲ言ッテイルノダ!? 褒メテイルノカ、自分ノ〘アホ〙ヲコッチニモ、アテガッテイルノカ>
「そこで俺もう浮いちゃってるしいぃ、あほー?! だし〜〜!! 変な会議何かゴメンだあふオ、グ。ゴ、ゴオオオオオオォォォゥゥウウウゥゥゥゥウウゥルゥゥゥゥゥルウウゥゥウウウウォォオオオ、ォ、オ、オ~~シャン?! 」
そこで三連発の自白はね。
しっかり転じてフロアから凹みへと。
そのまま海へのゴールホール? ホア〜イLURE・ゴーグル号……?!
<オマエハ、コノワタシノ砂時計ノ真ン中ノクビレ『オリフィス』ノ下側ノ『過去ノガラス部分ノ破片』ノナカデ、タッタ今現在埋モレテシマッテイル状況ゾヨ>
問いかけてくる。謎の主の声は二重三重に童へと重々しく。しかしながら当の彼本人の身体はどうでしょう。
釣鉢状のホールの端っこ側で、それはフワッと浮いちゃってしまっているし。してこの謎の声も、それはこれで「ジュワッ」と漂っちゃってしまっているし。それこれあれだわ。どんな所だってさえね、
不明朗極まりない境地のなかでは、粛々と正座なんか、してられっこ、ないよ!!…… 。
浮いちゃってて正座してるのだから、やっぱし凄いよな〜。……私も、出来ることなら!! そういう自分はこの物語のなかでは。ありのままに〘変〙になっては。いきま、せん。クック……
モウッ、ダサイ。ワ·タ·シ·ハ『冬咲花モネミ』デス…… くさっ
「上を見上げたら、丸く広がっている円錐型の形貌の穂先がどんどん細くなって、仰げば仰ぐほどに彩度が薄くなってゆく、青光りする輝きが汗をかくほどに眩しい」
童は見上げた、乖離した万丈を。自分が知るすべての素養を遥か彼方まで凌駕する、その存在を。
「その先は、更なる〖天〗へいき着くか。あまりにも透き通ってて判断はつきそうもないな〜」
いっそのことさ、楽しんできて~~!
一頻りこの虚空へのエニグマな疑問は、こうする。願いを身勝手に、宙へかけ浮遊させた〔身勝手きりない!〕
この、謎の声の主は、どこでどのように存在しているのでショーーカ?! そう思った彼は、辺り一面を探ってみることにする。
《この声の発生場所はどこから聞こえるのか、わっからないからねい。球根、もといとっくりの形をした「フワッと」俺が宙に浮いている場所の真向かいへと、適当〘バカ〙りに、妄想の釣り竿を放つことと、しよっかねい》
今度は適当にボケ〜〜ッと考えながら〔主人公変化多いよね 〕彼は頬ずえをつく。
童お手製〘……誰にも。見えない…… 〙を謳い文句にする「妙竿」を、正面へと垂らしていた。
するとLUREに何かが食いついたかと思ったら、主人公の〘真のアホ〙が引っかからず。
彼は悟った。
「声が聞こえる場所はというと。この空間全体にそれはそれは偉く威張らず、厳かに佇むような体裁で、聞こえるんだ……な!!」
急に閃く。そう思えたから。
だが童は仮にも「一緒ニナルゾヨ」とも解釈できる『謎の声の主』の一つ一つの言葉を受けつけ、ながら次。
身体に「力」を入れては、声も『然』すらも。すべてを跳ね除けていた、誰も救えないように。
<ワタシノ声ヲ退カセル勢イモソノママ、半透明ナコノ青ノホール、トイウ名ノ? ベーゴマ台ノ、上デエッ?! ッテ、厳カッテ言ッテルクセ二ヤッテルコト言ワセテルコト、メッチャ失礼ダナ、オマエ! >
「いっただろう、俺は蛮勇のなかの蛮勇! だからこんなことも、許されちゃうのだあァうげエエェ! 」
童は『青い頭』を、身体ごとヘッドスピンのように廻していたはいいものの、
〔いいの? いいの?! それ…… 〕
<スカサズアホノ塊。サスガノアホ丸出シ天然男児、ダ、ナ。自分気ヅクノメッチャ遅イケド、身体ヲヨジリ恥ズカシナガラモ、ウジウジト形体ヲ人型ヘト、戻シツツ…… >
「仕方がないだろう! 向う見ずな生き方をしてきた俺にとってこの状況は。裁判所内で暴れちゃって、その場で禿げ頭から無限に伸びる「ドレットヘアー」刑を言い渡され」
童は謎の声の主に、真正直に意味不明な〘論説〙を訴える……
「その後牢獄内で、同じ囚人の中でもまさにドンな・禿げな。一年前に『ドレットヘアーの勇者・自称』の『ドックリ』様に! 毎日毎日髪の毛を1本ずつむしりとられる。そんな、かわいがられちゃってるような状況なんだ、からああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! 」
<……ワタシ、ソノ自称・勇者ニオメニカカッタコト、アルカモ??>
〔どんな展開なのだよ?! これ…… 〕
<セメテ、自分ノミットモナイ〘変ナ〙行動カラ来タルデアロウ〘ンヘナ〙リアクションハ、コノ物語ヲ読ンデイル読者様ニハ、悟ラレマイトシテ…… >
童の次なる一手『いろんな意味』で。涙目になってる顔面の前、両手の甲を並べてくっつけ捻りつつ、上に持っていき必死に〘バンザーーイ! 〙
酔いに打ち勝つことも併せ、それをするしか彼にはもう為す術はなかった〔何なんだろうね、主人公とこの筆者 〕
とはいいつつ。
いったい謎の声の主からどう対処すれば、この意味わからん状況下のなかで俺を解放してくれるのだろうか、と、
彼はいったん自身を落ち着けてから『謎の声の主』へ耳を傾け、渋々考え込むかーと決めた。しかし。
<オマエハ、窮地ニ落トサレル『道』モアル、ソノ豪奢ナ装束モ。ドンナ人間ナノカ、今度コソ拝見シテミルゾヨ>
「今は俺のターンよ!? この場所脱出計画考え中の順番だったのにッッ! 今度は何をっ、てっ。何だ!!『ボヤッとした幻影』を写すかのように、ホールの真ん中で俺が透影されてるのがみえるぞ。暗い林の中を何か焚きつけられてるようにもみえるけど、……どんな状況何だ?」
~【~
【ザ、ザ、ザザッ……。タンッ!!、バサッッ! ザザ、ザ……】
【……なんだ、薄気味悪い変態な格好をしたコイツら。ま、いいだろう。お前らのそのへなちょこな『飛び技』を、俺の身なりも交え紹介しながらかわそうじゃないかのん〜〜!!】
<フムフム、戦ッテオルノカ、ソノ『童』。オマエトイッタラ、見ルカラニモウソリァア>
【まず俺の一番の特徴をあげるとすれば……。あ〜らよっとっとーお! 紺鼠色の。坊主頭だ、頭のてっぺんには鉄で出来たなにかが、チラッチラッと『ピカッ』。と見えるっけ!!】
<マズ。特出スベキハ、何ゾヨ?>
【俺がこしらえている衣服は!!『上衣』と八つの襞のある『袴』を『白の下衣』の上から重ね重ね着ぬる……ぅっ!『鈴懸』だ。行者が火山地帯の霊場国に入いる時身につけるッ、おんどりゃーー! 火山伏修験道独自の『衣』(以下も同)であり『色衣』は、この俺だけの特別な『僧衣』紅蓮に、いたりけり……蹴ったなー。てめえ〜〜!】
<ホウホウ。ソレデソレデ? 是ニモ子供ラシク……>
【その上に羽織りし(お寺のリアルの住職さんが着る袈裟衣装とは別の)『結袈裟』、ば……バ、痛えなバカ野郎……いくつかある袈裟の一種である、五つに縫い合わせた(五条袈裟)の綾布を細長く畳み、開かないように組紐で結んで連ねたもの。わっかるっかな♪ 解らないかな……⤵ 】
<……ンンッッッ?!>
【結袈裟に付属す『白銀』の、まあるい・フワフワ、マリモみたいなモンをば……『梵天』というモン……でし。お前ら弟子いんの!? 結構強いよー。梵天の色によって火山伏の階級がわかります、なりなりなりにけり蹴り……、だからワレを蹴るなやあ! ……… 】
<ン?! ワラ、童……… >
【……まだまだあ! ……ぁぁああぁあああいぃぃい否ああぁぁぅうもうえぇぃぃいぃ嫌あぁあぁぁぁ波あああぁあぁぁぁあぁ! ……フュー。……寒いや、白銀マリモ梵天(世界)。何なのでござんしょか? この三点リーダーの無駄な多さ?? も……… 】
<……等テイウナルソノ姿。疑イナク、紛レモナク>
【『ん何か変な』俺。である、狐疑なき余地! 無し!!! 】
~】~
<オマ、ヤッパリ〘変〙ダ、ナ >
「わかってるわ! そんなんもう! こちとらなあ、変へんヘンヘンヘン、んへぇっ! もう何度も幾度も言われ続けてねい、変酔い小僧とか、酷いものだと、ゲロ猿っていうぐらいなあだ名すら! つけられてるのだあッッッ! 」
〔拭うとかゲロとか……ありえんよ。嘔吐は、特に!〕
<オマエノ際ドイ人格ナド、コトサラ重要ナソレデハナイゾヨ。ドウスル? ソノ身ヲワタシ二託スノカ・ソウデハナイノカ。ユク先ヲ混沌ニモ変エラレルガ、泰平ニモ出来ルノゾヨ>
「待てって!! 俺の自己紹介は終わっただろう! 今度はあんたの番だ」〔この場所脱出計画は?!〕
<……コタエナサレヨ……>
謎の声の主は途端に厳格な問いで突きつけてきた。だが童も。童、とて、
「こっちの質問には答えないってことかよ。まあ、もうどうでもいいや。俺は、俺は! 自分自身の為だけに生きる‼ この自分の為だけに生きてくれている、そいつにとってもな!」
言いきった。それは確かに瓦全ではない。しかし類推は成り得ないことは……。
明瞭に自分の『心を』童は想いのままに発した。すると謎の声は先程よりもより口調を強めて、戒めるようにこう告げる。
<ダガ、オマエノ此ノ世二留マル真ノ狙イハ、自分ノソノ俗心ノ為【ダケ】ニ生キルタメニアル、ゾヨ。本当ニ果タスコトハ、視野ヲモット変革スルコトデアル>
「はあぁああぁっっ?! 俗心だなんて、俺には」
《個人的な煩悩があるなど、考えたこともなかった、俺は唯『気のみ・心の内』のまま、まあ。確かにではあるけれど、好きなように生きて来ただけだ。だがその在り処を。この声の主は、見破ったのか……》
そんなものがあるなど、童は知らなんだ。
<心臓ヲアタカモ看破サレタカノヨウナコノ神業ニハ、ヒレ伏ス態勢ニスラナラザルヲ得ナイダロウ。心ノ内部ニアル自身ノ痛イ所ヲ射抜カレテ、打チヒシガレテイルゾヨ、カ?>
荘厳な空間にこだます謎の主の声。推測どうり。童は自分の「負の面」を打ち当てられ、声を出せずにただ立ち尽くしていた。
しかし。ではここはひとつ。謎の声の主に、童は自分のその心奥について尋ねようとするのだが。
「……俺の、どこにそんナ醜悪ナ所がアルのデシヨーーカ?! 」
<シカシナガラ。デハ、ヨカロウ、ソンナオマエニハ。コノ現実ヲ──>
「ありゃ!! ありゃりゃ?! あ〜〜りいいぃやあぁあ〜〜……」。
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〖光〗が【闇】になる。
ここから始まる。この物語の冒頭では、夢見悪かった童の仮想は、決して望みたくもなかった非現実へと、有無を言わさず様変わりする。
一進一退。殺戮と愛憎の入り交じる私闘にまで、波及して。