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原初の星  作者: 煌煌
第二十話 進化
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トリーのキモチ

「凄いなレンは。昨日の今日で本当に勝てるだなんて。驚きだよ」


 嬉しそうな声と共にパールが後ろから抱き付く。気のせいかいつもより甘い香りがするような。


「ありがとう。けど今回は偶然に助けられたところもあるし、いつかは真正面から勝てるようになりたいな」


 初勝利に胸は高鳴っているが、運に助けられているようでは僕の理想には程遠い。

 フレアさんだけじゃなくて、本気の父さんにだっていずれは追い付かなければ。


「確かに最後の一撃はオマケのような攻撃ではありましたが、少なくとも自分は本気でしたよ。パールさんの言うように本当に凄い」


 いつの間にか立ち上がっていたフレアさんが、拍手を贈ってくれた。彼の顔には悔しさなど微塵もなく、ただただ僕の成長を喜んでくれている模様。パールとフレアさん。いや他のみんなの期待にも応えられるように、今まで以上に精進しよう。




 僕とフレアさんの模擬戦が終わると、キハの射撃訓練も終了。僕たちはお礼を述べると訓練場を出た。今日こそトリーさんを送り届けようではないか。


「昨日より今日の方がお疲れでしょう? なので。その。お気持ちはありがたいのですが今日もフレアさんに送っていただこうかと」


 確かに僕の疲労は昨日よりも大きい。だが模擬戦で本気を出したフレアさんだって同じハズ。テレフープなら一瞬で着くのだし、友達を安全に送り届けるのは僕たちの役目。

 もう一度送ることを提案しようとしたが、キハに先を越された。


「フレアさんも訓練で疲れてるだろうし」


 話している途中のキハにセイラちゃんの肘打ち。すると周りの女子から威圧感が漂う。

 イマイチ状況が飲み込めない僕とキハは、引き摺られるようにしてテレフープに押し込まれる。いきなりの肘打ちに、流石の彼もご立腹の様子。


「もう。暫くはトリーさんを送ろうって誘うのは禁止ね。二人して鈍いんだから」


 アグルさんの発言で女子の意図に気付く。分かってしまえば簡単なこと。あとは二人が上手くいくように祈ろう。


「で、なんで俺は肘打ちされたんだよ」




 アグルさんの家の前。今日もイオンさんは寄ってから帰るらしい。セイラちゃんを見て貴女も大変ねと言い残して中へ消えた二人。

 次はキハの家へ送る。セイラちゃんは彼氏に話すことがあると言って二人で家の中へ。




「で。レンは分かってるよな?」


 何となく自分の彼氏は大丈夫かチェックされているような雰囲気。ちゃんと考えていて助かった。


「トリーさんにもフレアさんにも余計なこと言ったら駄目ってことだよね」


 我ながら遠回しな言い方。なんだか洒落た返しができたような。しかし、パールは僕の答えに渋い表情。残念ながら百点は貰えないらしい。


「今日の模擬戦勝ってて良かった」


 渾身のジョークで僕の女神は漸く笑った。近い将来戦いが得意になったとしても、人の気持ちに疎くなったのでは意味がない。

 パールの体だけじゃなく、心も守ると誓ったのだから。


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