新しい仲間
目を離していた訳ではない。光の渦に吸い込まれるような転送装置での脱出とは違い、まるで風に流れるように消えた敵群。生気のない顔からも連想させるのは、幽霊。
「みなさんありがとうございます。みなさんがいなければ、今頃どうなっていたことか」
震える声で話すトリーさん。敵の消失に気を揉む前に、彼女に事情を説明しなければ。
父さんやフレアさんに注意された通り。僕はパールが機械であることは伏せて話した。機械が禁止する強力な武器を貰ったこと。敵が僕を狙ってアダマス学園を襲うことを。
青白かったトリーさんの顔が赤く染まっている。小刻みに震える彼女の肩。
「機械の秘密を知っていると勘違いしてるだなんて、許せません」
口角を下げてしかめっ面。僕たちのために怒ってくれているのだろう。気持ちとしてはすぐにでも秘密を打ち明けたいが、パールの秘密は彼女自身の判断で明かさなければ。
「ありがとう。だから僕たちにはあまり近付かない方が安全だよ」
何故だか力を失くす僕の言葉。物寂しさを感じているとでもいうのだろうか。
するとトリーさんは朝の様子とは違い、瞳に強い意思を灯す。
「嫌です。私を助けてくれた人を裏切るような真似はしたくありません。だから」
強かった語気が急に弱まる。同時に彼女は俯いて、しばらくの沈黙。そしてもう一度。
「みなさんが良ければ、お友達になってくれませんか」
もう一度下げられた頭。今度は確固とした意思を持って。
顔を見合わせる現在の仲間六人。パールとアグルさんは微笑み、キハとセイラちゃんとイオンさんは嬉し気にやれやれといった表情を浮かべる。そして頭を上げた七人目。
残り僅かな昼休みの時間。僕たちは急いで昼食を流し込む。喉に食べ物を詰まらせても僕らの顔は晴れやか。
昼休みの終わりを告げるチャイム。オートウォークよりも速く走れる僕たちは階段を駆け下り、トリーさんの手を引く。
午後の休み時間も五人だと新鮮。話している内にイオンさんとアグルさんも顔を出す。
そしてあっという間に放課後。トリーさんとは明日までお別れ。
「みなさんお揃いでどこに行くんですか? 私も付いて行きたいです」
瞳を輝かせるトリーさん。テレフープには別に人数制限はない。友達一人増えたとしても、問題ないだろう。ただ、フレアさんたちが何と言うか。
「分かった。お姉様好きの仲間だし、私が責任を取るわ。一緒に行きましょう」
アグルさんがデコに手を当てながら話す。動作は仕方ないといった具合だが、眼鏡の奥の瞳は嬉しそう。
喜ぶトリーさんと共に、僕たち七人は今日も訓練場へ向けてテレフープを潜り抜ける。




