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原初の星  作者: 煌煌
第十七話 六人の作戦
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勝利と敗北の方程式

 今日も父さんとの模擬戦から。昨日と同じ位置に立つと武器を構える。父さんの動きを目で追えるようになれば、敵の対処も容易になるだろう。毎日少しずつ。けれども確実に反応速度を上げてみせる。

 意気込んでみても、昨日見た光景から急に変わる訳はない。構えた父さんが足に力を込めて、僕に向け踏み込む。一歩目が地に着くと同時に後ろの足を蹴り上げる。

 今日見えたのは二歩目まで。正確に見えたと言って良いのかは疑問だけれど。


「確かに昨日よりも目で追えているね。けどレンにはそれと同時に体も動くようになってもらわないと困るな」


 今日は目で追おうと全神経を注いだ。もし実戦であれば、今頃僕の命はない。防御でも回避でも反撃でも、何らかの反応を行いつつ敵の動きを目で追う。集中すると忘れがちになるが、勝つためには最低条件。


「もう一度。お願いします」


 父さんの教えを叩き込もうと思い、何度も何度も手合わせを頼んだ。

 手合わせ、模擬戦と言うにはまだまだ烏滸がましいだろう。反応を意識すると踏み込む姿すら捉えきれず。逆に目に神経を集中すると、ほぼ体を動かせない。戦いと呼ぶには、あまりにも未熟。


「今のことを頭に置いたままで素振りをするんだ。攻撃の動作を意識せずにできるようになれば、相手の動きを見ることに集中してもそれなりの動きが取れるようになるからね」


 父さんは優しい笑顔を崩さない。僕は指示に頷くと、昨日とは違い目的を持って頭の中で仮想敵を浮かべる。

 襲い掛かる敵に向けて攻撃を繰り返す。何度も剣を振る内に、今までの戦闘の記憶が頭を駆け巡る。そして同時に父さんの教えと、昼間のフレアさんの言葉を意識してみた。

 相手の動きに合わせて動作を行う。勝ちの流れに乗る。一見共通点がないように思える二人の言葉。だけど。今までの戦闘と照らし合わせると一つのことに気付く。


「それぞれ戦いのリズムがあるんだ。僕らが負けたときには相手の流れに飲まれてる」


 加速する敵に飲まれ。風を扱う相手に翻弄されて。フレアさんの勢いに対応できず。

 全て相手の作り出した空気の中に僕はいたのだ。逆に勝てたときには、戦いの流れを制していたのは僕。

 相手のリズムを崩して、自分の得意とする戦いの流れに持っていくことが重要。

 気付いたからといって突然動作が早くなる訳ではない。特殊能力を得られる訳でもないのだから、今はただ基礎能力の向上に励む。




 一時間の素振りの後。僕の唯一の得意分野を伸ばす時間。見えない刃を想像する時。

 剣を振り上げてイメージ。父さんの足元を斬り裂き、深く広い穴をあける見えない剣。

 斬り下ろした後に目を開いた僕が見たものは、昨日より理想に近いモノ。しかし、まだ完成とは言えない。


「見えない物をイメージするのは難しいね。今日も威力不足って感じだし」


 落とした僕の肩をパールが後ろから叩く。


「私から見ても毎日進歩しているように思うよ。だからきっと、明日は上手くいくさ」


 優しい言葉と笑顔に僕は元気を取り戻す。そして、一階へ戻ろうと階段に足を置いた。


「グレン。いい加減にしないとパールちゃんの用意した地下が崩れるでしょ」


 後ろから聞こえた母さんの声に振り向く。僕の目に映ったのは、父さんの剣の衝撃波で今にも崩れようとしているアダマントの壁。


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