六人の作戦
ならばアドバイス通りに六人での連携攻撃を見てもらおう。だけど先に目の前のフレアさんを遠ざけねば。僕一人だけが分断されて他のみんなはフレアさんの背後。連携を取るにも合流しなければならない。
いや。むしろ今の布陣は僕らに有利。背後から五人で掛かれば、いくらフレアさんでも易々と捌き切れはしないだろう。
ならば派手にタイマンを繰り広げて、囮役を務めて見せようじゃないか。
「僕の動きを封じてもいないのに、勝ちを宣言するのは早いんじゃないですか」
我ながら安い挑発。しかし効果はあったようだ。僕の意図に気付いているのか、ニヒルな笑いを浮かべてフレアさんが剣を振るう。全ての攻撃が辛くも捌ける精度。今よりも鋭ければ、あっという間に地面に伏している。
「さて、お手並みを見せてもらいますよ」
なんだかフレアさんは嬉しそうな顔。巧妙な手加減から伝わる僕らへの期待。今、六人の全力で応えよう。
「せいやっ」
アグルさんとイオンさんが後方から接近して、斜めに斬り下ろし。僕への攻撃を止めたフレアさんは、身を反らせて後ろへと回避。他の三人の位置を確認しようと後方へ視線を移す。しかし、彼に見えるであろう範囲には既に誰もいない。
パールとセイラちゃんが、フレアさんの左右から挟み撃ち。三人の援護のために、僕は風を起こして目標の体勢を崩す。
するとフレアさんは逆に風を利用して、前へ跳ぶことで左右からの攻撃を避けた。
「いや、驚きました。良い連携ですよ」
満足気な表情で僕たちに振り返ったフレアさんは忘れている模様。攻撃の直前にパールたちが上へ飛ばし、僕の風が空に留まらせていたキハの存在を。
「もらった」
フレアさんが上を向いた時にはもう遅い。キハが降らせる銃弾の雨は、無防備なフレアさんを撃ち貫く。ハズだった。
「甘いですよ。折角のチャンスなのに、相手を倒し切るまでは油断してはいけません」
降下しながらのキハの攻撃を、フレアさんは完全回避。ペイント弾は地面を濡らす。
確かに彼の言う通り。全ての弾を集中して撃ち込めば当たっていたかもしれない。だがキハを責めるのは酷な話。弾の軌道を見た後での回避。誰にも予想できない芸当だから。
着地したキハを捉えるフレアさんの突き。一人目撃破。続いてパールに斬り掛かろうとする彼。だが僕とアグルさんが許さない。
「ん、勝ちの流れに乗り損ねるとは」
フレアさんの斬り下ろしを、僕たち二人掛かりで受け止める。鈍い音が耳に響き、僕は左目を閉じた。すると剣を上へと放り投げ、フレアさんは僕たちに足払い。アグルさんと僕に突き付けられた剣。三人撃破。
「私だって守られてばかりではない」
格好よく想いも乗せたパールの一撃。見事にフレアさんを捉える。
しかし当たったのは、彼の武器。あと少しというところで倒し切れなかった彼女へと、フレアさんは反撃を繰り出す。四人目撃破。
イオンさんとセイラちゃんは二人で同時に攻撃を仕掛けて、長い間斬り結んでいた。
けれど決め手を欠き徐々に失速。座り込む二人の間にフレアさんは剣を当てる。
六人全員撃破。僕たちの負け。




