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原初の星  作者: 煌煌
第十五話 ハンデマッチ
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兆し

 今日も最初は手合わせから。けれども一日では何が変わる訳でもないような気がする。


「良いよ。父さん」


 父さんが構えてから踏み込む姿が見えた。しかし、走り出した瞬間に僕の目から姿を消す。

 昨日と同じように右のこめかみに触れる鉄の塊。もしも昼間の装置を使えば、父さんの動きも止まるのだろうか。でも父さんが動けなくなった姿は見たくないな。


「昨日よりも反応が良くなってるよ。フレアくんの指導の賜物かな」


 僕自身には分からない違い。僕の合図と共に父さんが消えたのは昨日と全く同じ。一体何が違うというのだろう。




 次も昨日同様に素振り。けれど今日は剣を振る僕に父さんが話し掛ける。


「レンの武器はイメージ通りの物になるんだよね。だとしたら見えている部分と攻撃範囲をずらしたりもできる訳だよね」


 敵に避けられるのは見えているから。なら見えている部分より攻撃の範囲が広ければ。刃を投擲するのと理屈は一緒のハズ。しかし効果は段違いだろう。見えない刃。




「素振りはもういいだろう。最後にさっきの剣を想像して見せて欲しい」


 一時間の素振りの後。息が上がったままで想像剣を取り出す。そしてイメージ。

 父さんとの距離には全然足らない刃。しかし振ればきちんと届く。何故なら誰にも見えない透明な刃が伸びているから。


「じゃあ、やるよ」


 僕の言葉に父さんは頷く。振り上げて、何もない空間へ斬り下ろす。すると地面に突き刺さる刀身。父さんの方はというと。無傷。


「いや。想像以上の物だね」


 微かな焦りを感じる声。父さんの近くまで寄り足元を見ると、細い切れ目がある。


「成功してるよ。僕の前だけ急に裂けた」


 爪で引っ掻いたような小さな裂け目。しかし確かに斬り裂かれている。完成すれば僕の剣で使える攻撃の最強技であろう。見えない刃の第一の爪痕。


「ありがとう父さん。これを使いこなせればどんな奴にもきっと勝てる」


 肉体と精神を鍛える。父さんが昨日言っていたことと主旨は違うのだろうけど、やることは同じ。僕の武器で最も大切なのは、想像する力。頭の中でイメージすることだ。




 敵を前に必殺技の名前を叫ぶ。というのは僕の主義ではない。けれどもしものときの切り札を手に入れられたのは嬉しいこと。

 ベッドの中でも嬉しそうな僕に呼応するかのように、パールの顔にも喜びが浮かぶ。


「パールの敵を止める装置と、見えない刃があれば。この前の風使いにも負けないよね」


 リベンジに燃える僕。だけどパールは別のことに喜んでいる様子。

 もしかしたら、父さんにも母さんにも二人の隠れ家の話をしなかったこと。なのかな。


「やっぱりレンだったら使いこなせると思ってたよ。それと朝のこと。二人の秘密にしてくれてありがとう」


 もしも秘密基地のことだとしたら可愛いなと思っていた僕に会心の一撃。


「気兼ねなく二人きりになれる場所が欲しいなって僕も思ってたから。また二人で行こうね」


 パールと父さんの想いを受けて、明日からのゴランさんとの修行も受ければ、きっと僕の快進撃が始まるハズ。


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