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原初の星  作者: 煌煌
第十四話 偉大なる父
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僕の選択

 トレーニングをする場所は、訓練場と家の地下で十分に事足りている。だから更に追加するのなら、パールと二人で敵襲の心配なく過ごせる施設がいい。


「公園みたいに自然があって、綺麗な空気が満ちているといいな」


 僕の意図が読み取れたのか、微笑んで頷くパール。そして今回は強烈な光を放つ。




 彼女の眩しさに瞑った目を開く。すると、僕の瞳には驚きの光景が映る。

 今いるのが家の中だとは到底思えないほどに広大な、青々と草が生い茂る草原。上空には太陽が顔を出し、雲も浮かぶ。澄み切った空気が鼻を満たしトレーニング云々を抜きにしても走り出したくなる気分。


「凄いよパール。ここに家を建てて住みたいくらいだよ。ありがとう」


 両手を広げて風を感じ、満面の笑顔を彼女に向ける。他に誰もいない二人だけの空間。願った以上。想像以上の贈り物に、疲れ顔のパールを眺めて身動きを止めた。

 ん? 疲れ顔のパール?


「大丈夫? 疲れたなら家に帰ろう」


 フラついているパールの肩を抱く。すると力なく地面に倒れ込む彼女。僕の願いを叶えるために、無理をさせたのだろうか。


「ん。力を使い過ぎたかな。しばらく休めばどうということもないから」


 弱々しい彼女の声。僕が望んだのはパールと穏やかに過ごせる場所だというのに。


「せっかく作ったのだから。走ってきたら良いよ。その間に私の具合も治るから」


 誰が弱った彼女を置いて走り回れるだろうか。心配で鍛練どころか、パールから離れることすらできやしない。


「今の僕の願いは、パールとこうしていることだよ。君が元気になったらここを一緒に散歩したいな」


 疲労から青褪めていた彼女の顔がみるみる赤みを取り戻す。そして、僕を映していた瞳は、今は斜め下の空を見つめている様子。


「えっと。その。ありがとう」


 僕の腕の中でパールは呟く。




 疲れている彼女に話させるのは悪い。だから会話もなくただ時が過ぎるのを待つ。もし他の人と同じ状況になったなら、気まずいのだろうな。だけどパールとなら、無言でただただ見つめ合うだけで楽しめる。彼女の具合が悪くなければ、最高の時間。




「ありがとう。もう大丈夫」


 言葉と共に彼女は僕の腕から発つ。少し寂しい気持ちになりながら、起き上がろうとするパールに手を差し出す。




「次はどうする? まだお昼まで時間はあるし、もう少し休んでてもいいけど」


 僕の提案にパールは首を横に振る。そして遠くに見える木々の群れを指差した。


「あそこまで散歩しよう。せっかく作ったのだから、レンにも楽しんで欲しい」


 パールは分かっていないらしい。僕は既に充分に満たされているということを。


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