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原初の星  作者: 煌煌
第十三話 今日は彼女の戦い
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今日は彼女の戦い(後編)

 とは言ったものの。彼女たちを怪我させる訳にはいかないし、やっぱり女の子に手を上げるような真似はできない。スポンジの剣で気絶してもらうとしよう。


「ちゃんとやるって言った早々に手を止めて考え事だなんて」


 右から左へ斬り払われる剣。タイミングを合わせて剣で受け止めると、勢いを殺さないようにして上へと受け流した。

 目の前にはアグルさんの右脇腹。隙だらけの目標に柔らかい突きを叩き込む。


「あっ。そうか終わりですね」


 への字に結んでいた口を緩ませると、彼女は表情全体を和らげた。そして、右手の親指を立てて自身の後ろを指す。


「けど、キハさんやられてますよ」


 僕とアグルさんが斬り合っている間、キハは一人で三人の相手をしていた。僕が視線を彼へと向けると、タコ殴りにされる無惨な姿が映る。一番残酷なのは、セイラちゃんが嬉しそうに剣で刺していること。


「見ぃぃたぁぁなぁぁ」


 一斉に振り向く彼女たち。僕を待ち受けるのもキハと同じ運命か。

 突撃して来たパールを凌ぐ。するとセイラちゃんが横から斬り掛かり、僕は当たる寸前で後ろへ跳ぶ。着地したところに後ろからイオンさんが振り下ろす一撃。見事僕の後頭部へ命中。

 間違いなく有利な射撃武器を持つキハを、瞬く間に血祭りにしたチームワーク。三人。いや、囮役のアグルさんを含めた四人の連携の前に、僕たちは為す術もなく敗れた。



「自分の思っていた内容とは違いましたが、それぞれに得た教訓はあると思います。敵は女性でも構わず襲い掛かる筈。なら、皆さん全員が自身を守る必要があるのです」


 フレアさんの言葉に僕はイオンさんのことを見る。以前のこともある彼女に今の言葉は酷。もしかしたら怯えているかもしれない。

 僕の視線に気付いたイオンさん。すると、意外と元気そうな笑顔を見せて手を振る。


「なのでこれからの訓練は全員で行いましょう。この後は基礎訓練をしてから解散です」




 さっきは元気そうにしていたイオンさん。そして模擬戦では怒濤の攻めを見せたアグルさんも。マラソンまで終えた後では地面とお友達状態になっていた。

 けど意外とパールとセイラちゃんは平気そう。


「明日は副署長との訓練前日。なので皆さんと自分とでの模擬戦をしましょう」




 いつも通りの流れの後。僕たちはアグルさんの家へと向かった。疲れ果てた彼女を家族の方にお願いし、次はイオンさんの家へ。


「私はここで休憩してから帰りますので、皆様また明日お会いしましょう」


 僕の目一点を見つめて話すイオンさん。もしも敵に襲われたらと思い、四人で送ると言うものの、彼女は首を縦に振らない。


「何となく大丈夫な気がしますし、もし敵に襲われたら直ぐに連絡致しますから」




 結局イオンさんに押し切られた僕たち四人は、僕とパールの家の前に着いた。キハとセイラちゃんを見送り家の中に入る。


「レンとは全然回数が違うけど、基礎訓練の辛さが分かったよ。こんなことを毎日してたなんて、やっぱりレンは偉いな。けど、これからは私も一緒に頑張るから」


 真剣に戦うと決めてもパールにスポンジを向けた時、僕には抵抗感があった。終わった後にイオンさんを見たのも、罪悪感や緊張感から逃れようとしたのかもしれない。


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