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原初の星  作者: 煌煌
第十三話 今日は彼女の戦い
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パールと空へ

 一足先に飛んでいた気持ちに体も追い付いた。パールと密室に二人きり。朝の日差しに照らされて増す、彼女の輝き。追い付いたと思っていた気持ちは、僕らの遥か上空へ。

 エアカーは自動運転。目的地を決めると勝手に運んでくれる。人が運転して空で事故を起こせば、死に繋がりかねない。というパールの人に対する思い遣りが分かるようなマシン。


「レンが戦闘中に飛ぶときもこれくらい飛んでるよな。改めてゆっくり眺めると、違って見えるんじゃないか?」


 鉄で作られている建物が多い灰の町並み。光に溢れる夜景とは違って、お世辞にも綺麗だとは言えない。けれど、僕にとっても彼女にとっても、かけがえのない町。


「数えるほどだけど、戦って守ったと考えると、やっぱり感慨深いものがあるよね」


 パールの装置の力か、壊されていた建物や公園の木は直されている。もしも彼女を奪われていれば、今も壊れたままか、さらに崩壊していたかもしれない。


「パールの力って本当に凄いよね。あんなに壊れていた建物をもう元通りにして」


 横の彼女を見ると複雑な表情をしている。何か気掛かりなことがあるのだろうか。


「だけど、私がいなければ壊れることもなく済んだかもしれない。レンに危ない思いをさせることもなかっただろうし」


 もし彼女がいなければ。エレバーは総攻撃を仕掛けて来るのだろう。今は機械の秘密を探ろうとして僕を付け狙っているハズ。フレアさんや父さんも言っていたことだ。いや。他の理由は関係なくて、何よりも僕が耐えられない。


「パールは僕にも、世界にも必要だよ。だからそんな悲しいことは考えちゃいけない」


 僕の言葉に彼女は頷く。けれど表情は複雑なまま。簡単に割り切れるものではないだろう。なら僕が支えれば良いだけ。




 目的地のカフェに着いた。気分転換に良さそうな空の旅で浮かない顔になったパール。なら彼女の好きなイチゴパフェで、甘い笑顔に戻ってもらおう。

 運ばれてきたパフェを見ても表情は曇ったまま。けれど、何かを思い出したかのような顔をすると、いきなりご機嫌に戻った。


「え? どうしたのいきなり?」


 甘い物の魔法にしてはまだ食べていない。なら何が彼女のご機嫌を取り戻したのか。


「いや。やっぱりレンは優しいなって」


 僕にとっては謎のまま。だけど大切なのはパールが喜んでくれること。


「パールは嬉しそうにしてる方が可愛いよ」


 僕の言葉に彼女の顔は口に運んだイチゴのように赤くなった。喜んでもらえる程度で褒め言葉を止めるのは難しい。パールが相手だと少しの褒め言葉では止まらなくなるから。




「まだ時間はあるし、公園にでも行こうか」


 すっかり機嫌が直ったパール。僕の提案に頷くと、僕の手を取り走り出す。


「ここからなら近いし、走っていこう」




 走ってきた疲れを公園の自然とパールとの会話で癒した。前回は襲撃された公園。今回も襲われる可能性を考えたが、余計な心配であった模様。何事もなく時計は正午を示す。


「久々のデートも終わりか。今日は連れてきてくれてありがとう。楽しかったよ。もしもレンが良かったら。その」


 来週もデートしようと言うのかな。だとしたら、むしろ僕の望むところ。


「明日もどこかに連れて行ってくれないか」


 確かに明日も休日。修行の開始も昼食後。なら時間だってあるだろう。


「もちろん。どこへでも」


 今日の修行はなんだか頑張れる気がする。


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