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原初の星  作者: 煌煌
第十三話 今日は彼女の戦い
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穏やかな時間

 眠りに就いてから何時間経っただろうか。寝たのは九時頃だったかな。時計を確認しようと、僕は目を開く。


「起きたのか。私も起きてるぞ。じゃあ出掛けようか?」


 僕を見つめる輝く瞳。綺麗な鼻筋から送り出される息はいつもよりも荒い。デートが楽しみで早く起きたのは、彼女も同じのよう。時刻は午前三時。外はまだ暗いが、僕と彼女は明るい。


「思ってたより早いけど。出掛けようか」




 身支度を済ませると夜道へと繰り出した。静かな町を街頭が照らす。夜中に出掛けるなんて初めて。誰もいない道の空気は新鮮で、いつもの景色も違って見える。空気や明るさだけのせいかは分からないが。


「どこに連れて行ってくれるんだ?」


 僕の景色を変えている存在。パールが嬉しそうに話し掛ける。彼女の周りだけは七色に輝いて見えるような。


「夜景の見える高台の公園に行こうか。この時間ならきっと誰もいないだろうし、貸切状態で前より空気もいいハズだよ」


 夜景の綺麗な高台。僕の思い付くスポットの一つ。言った後だが考えてみれば前回も今回も公園。代わり映えしないとか思われないだろうか。


「夜景か。うん。楽しみだな」


 彼女の瞳の輝きからすると、余計な心配であった模様。僕たちはテレフープで目的地へ向かう。




「本当に綺麗。作り出した時には高い所からの眺めなんて考えなかったけど。確かに良いものだな。連れてきてくれてありがとう」


 貴重な木々が並ぶ中。微笑むパールは夜景よりずっと輝いて見える。そして色々な匂いが漂う町中とは違い、彼女の甘い香りが僕を満たす。予想通りの景色の中で、髪を靡かせる彼女に対する胸の高鳴りだけが予想外。


「ううん。こちらこそ」


 返事をした後で気付いたが、ちゃんと応えられていない気がする。


「レンが隣にいるから感動するんだろうな。レンもそうだろう?」


 やはり彼女には僕の考えはお見通しのようだ。なら、余計なことは言わずに頷こう。




 町の向こうから太陽が顔を出す。二人で過ごした静かな時間の終わり。だけどデートが終わる訳ではない。次の目的地を決めよう。


「エアカーで空中デートがいいか。それともこの前のカフェで甘い物でも食べようか」


 僕の示した二つの選択肢。甘い物を食べていた時の彼女の嬉しそうな顔を思えば、選ぶ答えは明らか。


「レンの選んだ所が良いな」


 やはりパールのことをもっと研究する必要がある。時間的には両方行けるだろうから、順番の問題。なら朝食から時間を空けた方がデザートも美味しく感じられるだろう。


「それじゃあ空中デートといこう」


 


 エアカー。空を飛びたいという人の願いからパールによって作り出された空飛ぶ車。

 搭乗人数によって形状も様々。大人数用のバスタイプなんて物も。当然僕たちが選ぶのは二人用の物。ボタンを押した僕らの前に、赤いスポーツカーが現れる。そして、車が現れてから僕は気付いた。


「これもパールに出してもらえばよかった」


 テレフープで訪れた貸出場の中。無計画な僕の気持ちだけが空を飛ぶ。


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