僕の戦い(前編)
願い事を叶えてやるって言ったような。聞き間違いでないのなら目の前の女の子の正体が分かった。
「機械なの?」
僕の問いに深く頷く彼女。
「今は色々と話している余裕はない。ここで死にたいのなら別だけど」
機械だと言う女の子は、不思議な棒を僕に投げ渡した。剣の柄の部分にも見える銀色の棒。見た目よりも随分と軽く、持っている感覚がない。
「レンに合う武器を用意した。使い方次第だが、世界一の武器だと自信を持って言える」
なんとなくボタンのように見える箇所を押してみた。最強の武器と言われると銃だろうか。
武器からピンクの光が走り、僕の横の壁に穴を開けた。ボタンから指を離す。もしも自分や彼女に向けていたら。丸い穴の開いた自分の顔を想像して、背筋が凍った。
「バカ野郎! 説明も聞かずにスイッチを押す奴がいるか! いやいたな!」
両頬を右手で抑え付けられる。上手く口を動かせない。
「それは柄の中からレンの想像した武器が出てくるように作ってある。剣を想像するのでも長剣や短剣みたいに、形も想像すれば思い通りの物が出来上がるよ」
目を閉じて鼻を鳴らす彼女。やっと手を離してくれた。
「銃でも何でも? 爆弾とかも?」
邪魔者にしていた想像力。まさか助けられる日が来ようとは。
「レンの想像次第さ。色も変えられるだろうし材質も変えられるだろう」
面白い武器だとは思うのだけれど。
「僕じゃなくて自分で使えば上手に扱えるんじゃないかな?」
女の子に守られるのは情けない気もする。けれど命が懸かっている状況なら、少しでも助かる可能性を高めたい。
「私は自分で出した武器は使えない。この星の住民を傷付けることもできない。だから君がやるしかない」
元から聞いてみただけ。女の子に、しかもとびきりの美少女に頼まれているのだ。断る選択肢は初めからない。死にたくはないし。ならせめて格好付けさせてもらおう。
「分かった。絶対に君を守」
二回目の爆撃。僕は衝撃によろめいて尻餅をついた。
「カッコ付けてる場合じゃないぞ。とりあえず外に出よう」
彼女に手を掴まれて起こされる。僕の想像とは全く違う結果。
正面の玄関ホールに出た僕たち。幸い出口は崩れていない。
「早く出よう」
僕が彼女に言葉を掛けた時。自動ドアが開いた。誰もいないのに。
「なんで人がいるんだろうな。わざわざ隔絶してるのに」
何もない空間から人が現れた。見覚えのある顔が。
「しかもお邪魔虫くんじゃないか。今は一人か。いや、二人か」
学校で僕に嫌味を言ってきた男子。
「お友達の恋の邪魔だけじゃなくて、俺の仕事の邪魔までする訳か」
念のために出しておいた鉄製の長剣。柄を両手で握り締めて、正面に構える。
「いい度胸してんじゃねぇか」
度胸なんてない。死にたくないという思いと、後ろの女の子を守りたいだけ。
剣を握る手に更に力を込めた瞬間。前方の男は刺突の構えを取り飛び込んできた。