本当にアツいのは
フレアさんの打ち込みと敵が防御する音が聞こえる。鉄同士のぶつかる音よりも、数段も高い金属音。戦闘モードの切れた僕には、マシンガンの如く連続して聞こえる。
フレアさんが打ち込む度に起きる衝撃波がバリアを揺らす。揺れっぱなしのバリアの中では、外の様子は見えない。しかし伝わる音と振動が、フレアさんの奮闘を窺わせる。
「ええい。やっていられるか。今度会うときにはドレイグを頂くからな」
敵の声に続いて聞こえた、一際大きな風の音。敵が去ったのだろうか。バリアの揺れは収まり。僕の鎧も消えた。
「四人とも無事ですか? 頂いた剣のおかげで勝てましたよ」
聞こえたフレアさんの声は、いつもよりも熱と光に満ちているよう。
フレアさんに引っ張られて地上へと戻った僕たち。さっき感じたように、フレアさんには笑顔が満ち溢れている。なんだか暑さも倍増しているような。
「機械特製の武器。本当に凄いですね。もしこれが警察全員に渡れば、レンさんや機械を狙う犯行もなくなるかもしれませんね」
彼の言葉に一番早く反応したのはパール。彼女の表情は暗い。
「機械は一つの国に圧倒的な軍事力を持たせるのは反対らしいじゃないか」
彼女の言葉にセイラちゃんが付け足す。
「役所が襲われた時に機械を守ったレンくんと、私たちは友達だから信頼して武器を渡すのだって言ってました。だからどこかの国にアダマント製の物を大量に渡すとは思えないんです」
フレアさんにはそろそろ本当のことを言っても良いだろうけれど。既に真っ暗な町中。今から話せば日付が変わりそう。
「機械については、レンさんは自分にも話せないことがあると思います。しかし、それで良いのです」
何故か嬉しそうなフレアさん。終始笑顔を絶やさずに、敬礼をすると後方に下がった。すると彼の部隊が彼方に見える。遠くからでも分かる部隊員の疲労。彼らの様子に、フレアさんの足の速さと体力が、尋常なものではないと改めて思い知った。
「いや本当。フレアさんが味方で良かった」
ようやく戦闘の緊張感が解けたのか、地面にへたり込むキハ。僕もすぐにでも倒れたいが、家に帰ってからにしよう。きっと両親も心配しているだろうし。
「レーン。パールちゃーん。大丈夫かーい」
キハに手を差し出して起き上がらせようとしていた僕の後ろ。聞こえたのは父の声。そして僕を襲う衝撃。敵の攻撃なんかより遥かに痛い父の抱擁。
「父さん。力加減間違えてるから。くるし」
言い終える前に僕の意識は途絶えた。
次に気が付いたのは家のベッドの上。横には寝息を立てる天使が一人。起こさないようにベッドから出ようとした僕を、全身の筋肉痛が阻む。そして彼女の手も。
「起きたのか? 何か食べる?」
寝惚け眼のパール。僕たちの周りをゆったりと時間が動く。僕が食べたいのは。




