黒
新しい朝が来た。僕とパールはキハたちと学校に向かう。そして繰り返される昨日と同じ光景。むしろ昨日よりも人数が増えているような。アグルさんによる救出もイオンさんのパールへの挑発も、選ぶ言葉は違うがみんなの行動自体は昨日と変わらない。やはり僕たちを取り囲む世界は緩やかに、けれど確実に変化していっている。全てはパールを中心として。
「俺の銃は光線弾と実弾とを切り替えられるんだ。レンのみたいに派手なのも良かったけど、戦ってる最中に武器をイメージするなんて俺には向かないだろうしな」
屋上でのランチタイム。パールとイオンさんに挟まれた僕を見つめてキハが話す。彼の言葉通り、思春期の想像力といっても個人差がある。
「戦いながら次の武器を考えるのって中々に大変だからね。けど、この武器でなければ、生き残っていられなかったとも思うよ」
キハに話し掛けながらイメージソードを取り出す。今ならみんなの意見を聞きながら、次の戦いや模擬戦に使えそうな武器を想像できるのではと考えたから。
伝説の素材オリハルコン。前回咄嗟に思い付いた素材だけれど、もっと硬いものもあるだろう。いや、ないと困るのだけど。
「次の訓練に備えて、新しい武器を作りたいんだ。それでみんなの意見も聞かせてもらえたら、もっと良い武器ができるんじゃないかと思うんだけど」
パール以外のみんなの顔が曇る。僕からの質問が予想外だったのだろうか。アグルさんやセイラちゃんなんかは、何か思い付くかなと期待していたのだけれど。
「硬さだけならオリハルコンよりもアダマントの方が多少上だ。けれど。そんな物よりもずっと硬くて、レンの武器とピッタリの素材がある」
一人ご機嫌な表情のパール。やはり世界中の情報を管理していただけはあり、金属にも詳しいらしい。けれど伝説の素材よりも硬いものなんて、本当に存在するのだろうか。
「けど先にアダマントだな。敵がレンの武器の素材を元に防具を作っているのなら、私が言ったものは最後の切り札だ」
自信満々な彼女は、話し終えると一冊の本を見せてきた。開かれたページにはアダマントの項目。黒い金属であり加工した後も黒い剣や鎧などになるという。黒い装備か。
「あぁ。この装備って」
急にイオンさんが怯えた声を出す。僕の左に座る彼女へと視線を遣ると、真っ青な顔が飛び込んできた。
「私を襲った人と同じ色じゃありませんか」
震える彼女の指の先。彼女の言う通り。敵の鎧や服に似て見える。
鉄やダイヤで傷付かず。オリハルコンや水圧では破れた敵の装備。辻褄は合うのかも。
「ならアダマントより硬い素材なら、負けることはないってことか」
キハの大声が響く。常に後手後手だった僕たちに、一筋の光明が差す。




