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原初の星  作者: 煌煌
第十話 フレアの過去
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柔らかい日常

 今日はフレアさんとの訓練はない。学校が終わった僕たちは、いつもの四人で家路に就く。テレフープを使うことで一瞬で到着した我が家。そして僕たちに手を振って帰って行くキハたち。二人が見えなくなるまで見送ると、パールと二人で家へと入った。


「流石にまだ二人とも帰ってないな。なぁレン。今日学校でレコに言われたことだけど」


 不安気なパールの声。二人分の荷物を置いて、僕が振り向くと。


「レンは私の彼氏。だよな?」


 両手を僕の胸に着けて、顔をくっ付くかと思うほどに近付けた彼女。眉を下げた表情からも、声と同じ感情が読み取れる。

 何を心配する必要があるんだろう。パール以外の女の子に目移りするハズもないのに。


「僕はパールの彼氏。君が良いと言うまで、側で守り続けるって誓ったでしょ」


 彼女の眉は下がったまま。けれど僕の返事を聞いてからは、表情に浮かんでいるのは不安ではない。

 凄く良い雰囲気。静かな家の中で静かな時間が流れる。


「あの」


 僕が口を開いた時。玄関のドアも開いた。そして顔を見せた父さん。


「ただいま。えーと。もう一度出掛けて来ようか?」


 密着状態で固まる僕たちの目に、父さんの後ろから現れた母さんが映る。


「疲れて帰ってきたのに何でまた出掛けないといけないの。って、あらまぁ」


 呆れ顔からにやけ顔へ。急速に変わった母さんの表情。二人の様子を見て、くっ付いていたパールが離れる。


「おかえり二人とも。疲れただろう。今すぐご飯にしよう。な」


 顔を赤らめたパールが場を取り繕う。彼女の慌てぶりに、父さんも母さんもにやけ顔を加速させるのだった。




 夕食を終えて、片付けも済ませ、ベッドに入った僕とパール。さっきと同じ雰囲気になるかと想像していた僕。しかし彼女から発される空気感は、安心と信頼。落ち着いた様子で彼女は話す。


「さっきの言葉嬉しかったぞ。それに、今日の戦いも格好良かったと思う。じゃあ。おやすみ」


 目を瞑って寝息を立てるパール。期待通りの展開ではないけれど、彼女が喜んでくれることだけが、僕にとっては一番大切。




 翌朝。新しい生活のいつもと変わらない朝の風景。両親に見送られて愛しい彼女と親友たちと登校する。テレフープを使うから学校にも一瞬で着く。すると、パールに人だかりができて身動きが取れなくなる僕たち。

 困っていると人混みを掻き分けてアグルさんが現れる。彼女に手を引かれて群衆の中を教室へと向かう。

 アグルさんにお礼を述べて教室に入ると、今度は僕の制服の袖が引かれる。

 昨日のパールの心配の種。イオンさんが現れた。


「おはようレンさん。今日も素敵ですわね」


 パール以外の女の子に、好意を向けられたのは初めて。何も感じない訳はない。


「おはようレコ。朝から宣戦布告かな。私も絶対に負けないからな」


 僕の返事より先に、パールが返事をした。多分。毎朝の恒例になるであろう。新しい僕と彼女の風景。


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