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原初の星  作者: 煌煌
第八話 能力解放
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能力解放

「では今日のメニューを発表します。腕立て四十回と腹筋を四十回。そして訓練場の周りを二周走ること。以上です」


 正直昨日よりもハードな内容を覚悟していた。本当に今のメニューだけなら日没前には終わりそう。




 僕の予想通りに陽が落ちる前に全てをやり遂げた。すると微笑みを浮かべたフレアさんが近付く。


「学生の本分は勉強だと言いますし、学校がある日はこのメニューの回数だけを増やしていきましょう」


 今の僕に合った特訓を考えてくれているのだろう。何となく寝不足気味なようにも見える。今日はフレアさんがゆっくり眠れたら良いのだけれど。

 僕たちが帰らないとフレアさんも帰れないハズ。少しでも睡眠時間を取れるようにと、僕は今日の訓練にお礼を述べて、訓練場を後にした。




「フレアさんって何か暑苦しいけどさ。いい人だな。レンと一緒に俺も鍛えてもらえたらいいのになぁ」


 初日の激闘を知らないからキハはお気楽なことを言う。けどいつ襲われるかも分からない状況。またキハに救われる日が来る可能性もある。なら二人で鍛えるのもアリか。


「決めるのはフレアさんだけど。聞くだけ聞いてみるよ」


 僕の回答はキハを喜ばせて、飛び跳ねさせるのに充分だったらしい。もしも明日断られたら相当落ち込むのだろうな。


「喜ぶのは許可されてからにしようよ」


 彼の悲しむ顔は見たくない。キハも一緒に修行を積めますように。




 訓練場を出て結構な時間を歩いた。もうすぐ僕の家の付近だという時。お馴染みの雄叫びが響く。


「見付けたぞレン・ドレイグゥ」


 そして鳴り響く警報。今回の戦闘が終わったら索敵範囲を広げてもらおう。けれど今は目の前の敵に集中。何度も倒しているが、何故か素手での登場だと油断したら僕がやられる側になる。だけど、今度こそ捕らえてしぶとい奴との因縁にケリをつけよう。


「今度こそ大人しく捕まれ。人数的にも僕らが有利だろう」


 僕が言い終えると敵は笑い出した。そして僕を睨み付ける。


「いやぁ参ったな。今までのが俺の全力だと思われてるらしいな」


 口を閉じると男はステップを踏み出す。一度目よりも二度目、二度目よりも三度目。繰り返すほどに速度を増すステップ。既に人間が出せる速さを超えている。


「相棒が能力を見せたんだってな。だから俺もやっとお披露目できる訳だ。俺のは加速」


 公園で戦った時の敵よりフレアさんの方が速いと感じた。実際間違ってはいなかったと思う。しかし。


「武器を出せよウスノロ。不意打ちの必要なんざないんだからよぉ」


 ただのステップが起こす衝撃波で奴の周りの壁は粉微塵になる。つまりは近寄られたら僕を待つのは壁と同じ運命。ならば近寄られないようにするしかない。


「精々足掻くこったな。まぁ、その暇も与えねぇけどよ」


 奴が、消えた。


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