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原初の星  作者: 煌煌
第八話 能力解放
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謝罪

 学校に到着すると、校門前には長蛇の列。そして、パールを見付けると、全員が雄叫びを上げる。


「パール様が御登校なされたぞぉー。総員道を開けるのだ」


 並んでいるのは男子だけではない。目を輝かせている生徒たちの中には女子も大勢。むしろ全校生徒よりも多いんじゃないか。

 以前の騒動が嘘のように気品のある態度の彼ら。なんだか不気味ですらある。




「フフッ。作戦成功ね」


 教室に到着した僕たち。セイラちゃんが他のクラスメイトには聞こえないような小さな声で話す。


「パールちゃんの好みのタイプを聞かれたから、思い遣りのある人って答えたの」


 今までの付き合いで見せたことのない悪い顔で笑うセイラちゃん。もしかしたら敵に回すと一番厄介かも。


「じゃあパールちゃんの彼氏は優しくて思い遣りの塊みたいな奴なんだな」


 キハの言葉で自身を振り返ってみても、我ながら性格は悪くはないと思う。パールと釣り合うほどなのかと言われると、自信はないけれど。

 何にしても予想よりは穏やかな学生生活が送れそうな予感。セイラちゃんには足を向けて寝られないな。




 授業中も休み時間も学校中が穏やか。まさかの事態に一番焦っているのは先生方。悟りを開いたかのような生徒たちに怯えてすらいる様子。

 たった一度の登場で学校の歴史を塗り替えた女神は、帰り際まで楽しそうな表情を見せ続けていた。


「みんなさようなら。また明日」


 機嫌よく笑顔で挨拶するパール。すれ違う人全員に笑顔を振り撒く。


「嬉しそうにしていたら、レンやキハやセイラと過ごす時間を邪魔されなくて済むだろ」


 またしても現れた小悪魔。彼女なら生徒どころか先生方も子供扱いだろう。今日は学校内では僕の出番はなさそうだ。




 帰り道も敵襲はない模様。思ったよりも早くフレアさんの元に着いた。


「レンさんの彼女さんお久しぶりです。それからお友達のお二人。はじめまして。この度レンさんの戦闘能力アップのお手伝いをしているフレアです。よろしくお願いします」


 堅苦しく暑苦しい僕の師匠。良く言えば真面目なのだ。けどキハたちも両手を握りしめて元気よく挨拶したフレアさんに困惑気味。




 昨日はいきなり戦闘になってするべきことが一つできなかった。


「実は公園で助けてくれた時も、昨日の模擬戦も、もしかしたらフレアさんがスパイなのかと疑ってました。ごめんなさい」


 謝って頭を下げた僕に、優しく答えるフレアさん。


「昨日はそういう狙いですし、一昨日は自分の到着が早かったので疑われても当然です。それに、体を鍛えるよりも情報を制した者が戦争だと有利になるのです。だから気にせずにご家族や友人以外は疑いから入ることを忘れずに」


 謝った僕の倍以上の言葉でフォローしてくれた彼。厳しくて優しい師匠との特訓二日目が幕を開ける。


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